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ブレイディ&ロジャース以上? マット・ライアンを侮るべからず

2017年01月25日(水) 00:45

アトランタ・ファルコンズのマット・ライアン【AP Photo/David Goldman】

トム・ブレイディとアーロン・ロジャースのクオーターバック(QB)頂上対決を待ち望みにしていたフットボール界は、マット・ライアンが“残念賞”ではないことに気付かされたことだろう。

ここ2年間に渡り、ロジャースが過去に現れたどのQBよりも高いレベルでプレーしているとコメントし続けてきたのが現在『FOX(フォックス)』で解説を務めているトロイ・エイクマンだ。

カンファレスチャンピオンシップ前までは、ブレイディが過去最高のQBであり、ロジャースは自己ベストのパフォーマンスを披露しているというのが大方の見解だった。

一方で、ブレイディとロジャースのパスの正確性や、フィールドを見渡すビジョン、そして瞬時にプレー変更の必要性を見極める判断能力を絶好長のライアンが超えられなかったとしても、ライアンが兼ね備える実力は2人と決してかけ離れたものではないとの声もある。

確かに今季途中まで4勝6敗と負け越していたグリーンベイ・パッカーズをプレーオフに導いたロジャースには多くの期待が寄せられていたが、ライアンもここ2カ月ではロジャースを上回る成績を残しているのだ。

レギュラーシーズンで今季MVP候補に挙げられるほど見事なパフォーマンスを披露したライアンが、プレーオフではそれ以上に大活躍しているのは紛れもない事実だ。

ライアンがパッカーズ戦でマークした139.4のパスレーティングは、カンファレンスチャンピオンシップ史上2番目に高い数字で、2009年1月にカート・ワーナーが記録した145.7(1位)に迫る活躍だった。パッカーズ戦では驚くべきパスの正確性を発揮したほか、細かいポケット内外での動きを披露したライアンは、スーパーボウル誕生以降としては初めてプレーオフの試合でインターセプトを奪われることなく4タッチダウンパスを通し、さらに1タッチダウンランを決めたQBとなった。

パッカーズ戦でのパフォーマンスに加え、ライアンは史上初めて6試合連続で120.0以上のパスレーティングを記録したQBとして偉業を成し遂げている。

ライアンの驚異的な好調ぶりは、ブレイディが今季にマークした6試合通算成績をすべて上回っているだけでなく、2007-2008年シーズンにブレイディが残した過去最高ともいえる6試合通算成績に酷似していることでも分かる。

「ブレイディが記録した過去最高の6試合通算成績(2007年シーズン第2週から第7週)」

「パス成功率73.1%、タッチダウンとインターセプトの割合24:2、パスレーティング136.4、チーム1試合平均得点40」

「マット・ライアンの直近6試合」

「パス成功率72.8%、タッチダウンとインターセプトの割合18:0、、パスレーティング133.3、チーム1試合平均得点39」

その他にもライアンは、ここ8試合連続でオープニングドライブでのタッチダウンを成功させている。これはロジャース、ブレイディに限らず、どのQBも成し遂げていない業績だ。

ライアンは攻撃コーディネーター(OC)カイル・シャナハンの計画的なプレーコールと相性が合っている。さらに、ワイドレシーバー(WR)フリオ・ジョーンズが所持するプレーメイキング能力も、ライアンの成功を支える重要な存在となっているのだ。

ジョーンズがライアンの仕事を楽にしたのと同様に、ブレイディには過去、最も“止めるのが困難”なWRと言われたランディ・モスがいた。ブレイディとモスは2007年シーズンにNFL史上最多となる23タッチダウンを記録している。

コーチ陣や周囲のプレーヤー抜きでは戦うことができないのがフットボールだ。

ファルコンズ首脳陣はライアンに素晴らしいコーチ陣と、空中戦の武器となるレシーバー陣を与えた。ライアンもそれを存分に生かしている。

元ファルコンズのタイトエンド(TE)トニー・ゴンザレスは先週末のライアンの活躍を感心しながら次のように振り返った。

「彼のパス能力は自己最高レベルに到達したと言えるだろう。完全に試合を支配している。だからこそ彼が今季MVPに選ばれるべきだと思う」

もし第51回スーパーボウルでライアンが再び記録的な活躍を見せれば、1シーズンのうち14試合で30点以上を稼いだチームとしてファルコンズの名前が歴史に残ることになる。