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各チームのオーナーがレイダースのラスベガス移転を承認

2017年03月28日(火) 10:36

オークランド・レイダースの旗【AP Photo/Eric Christian Smith】

レイダースがまたオークランドを去り、眠らない街ラスベガスへと向かう。

NFL各チームのオーナーが現地27日(月)、年次リーグ会議の中でレイダースのラスベガス移転を承認。31対1で大多数が賛成の投票となり、マイアミ・ドルフィンズのオーナー、スティーブン・ロスが唯一の反対票を投じた。

何年も前からオークランドにスタジアムの新設を望んでいたオークランド・レイダースのオーナー、マーク・デービスの願いは叶わなかった。この失敗からチームがオークランド以外の土地に目を向けた結果、最終的にネバダ州が新スタジアム建設のために7億5,000万ドル(約830億円)の公的融資を承認したことでラスベガスが候補地となった。17億ドル(約1,880億円)の屋根付きドームで行われることになるレイダースの試合にはもう、『The Autumn Wind(ザ・オータム・ウインド/秋の風)』(レイダースのテーマソング)が吹き抜けることはない。

しかしながら、奇妙に感じるのはレイダースがすぐには移転をしないということだ。少なくともラスベガスに建設される新スタジアムは2020年前まで完成する予定はない。レイダースは声明の中で、2017年と2018年もオークランド・コロシアムでゲームが開催されると発表。一方、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは2019年であればレイダースがラスベガスで試合を行う可能性はあるとしている。いずれにせよ、移転するまでチーム名はオークランド・レイダースのままだ。

NFLでも象徴的存在であったオークランド・レイダースの本拠地移転は信じがたいものではあるが、NFLチームが本拠地を変更する動きは近年ルーティンとなりつつある。ラムズは去年、セントルイスからロサンゼルスへと移転。チャージャーズもサンディエゴからロサンゼルスへ。そして、今回のレイダースだ。オークランドを去ることについてコミッショナーグッデルの口からは「痛手ではある」との言葉が聞かれた。

リーグの中でもスタジアム収益が思うように上がらないことが大きな問題となっている。チャージャーズが57年もの歴史を持つサンディエゴを去った理由もスタジアムのジレンマを抜けさせなかったからだ。レイダースがオークランドを見捨てねばならない理由も同じだ。

デービスは27日、「レイダースはオークランドで生まれた。何があってもオークランドはわれわれのDNAの一部。ファンの中には非常に落ち込んだ者、怒りを感じた者もいるだろう。しかし、選手やコーチ、スタッフにその感情はぶつけないでほしい。2017年と2018年はコロシアムで試合を行う予定。新スタジアムがオープンとなるまではオークランドで試合を行う。われわれにとってこのベイ・エリアにチャンピオンシップを持って帰るという以上の目標はない」と語っている。

先週金曜日、オークランド市とアラメダ郡は実現可能な新スタジアム建設案があるとして11時間にわたってNFLオーナーの説得を試みた。リーグに提出された手紙にはオークランドのリビー・シャーフ市長が提案した、公的融資を含む13億ドル(約1,440億円)のスタジアム建設プランも記されている。レイダースファンや地方紙『San Francisco Chronicle(サンフランシスコ・クロニクル)』の編集委員会もNFLに対して死に物狂いの訴えを行った。

シャーフ市長の提案に対してグッデルは「この提案には明確性がなく、具体性もない。また、実行可能で合理的な時間設定もなされていない。さらには、不測の事態についての言及がない」と語り、レイダースをオークランドにとどめることに関して「われわれとオークランド側、双方の努力は認めるが、いまだ遂行可能な解決案を見いだせていない」と返答した。

スタジアム問題の解決案がオークランドで見つからなかった後、ネバダ州議員が新スタジアム建設費に7億5,000万ドルまでの公的資金を認めたことから一気にラスベガスが新本拠地の候補として浮上。レイダースのスタジアム建設費に対してはレイダースとNFLが5億ドル(約550億3,800万円)を支払い、『Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)』が追加融資を行なうことになる。2016年1月に提案された、レイダースとチャージャーズがロサンゼルス郊外イングルウッドの新スタジアムを共有するという提案が拒否されたのを受け、レイダースはラスベガス移転計画を本格的に始動させた。

13年間だけロサンゼルスに本拠を構えた後にオークランドへと戻って来たレイダース。その後22年が経ち、ようやくチームの大黒柱となる若きクオーターバック(QB)が頭角を現してきた。QBデレック・カーは先シーズン、チームを12勝4敗へと導いている。カーが残したこの戦績にはディフェンシブエンド(DE)カリル・マックや屈強なオフェンシブラインなどの強力な後ろ盾もあってのものだ。レイダースは今、タイトル獲得を狙えるほどの若さと実力を兼ね備えた選手が中心となっている。

レイダースは57年に及ぶ歴史の中でスーパーボウルを3度制覇し、AFL(アメリカン・フットボール・リーグ)のタイトルも1度獲得している。長い歴史の中で積み重ねられたファン層の厚みは驚くほどだ。実際、そこがデービスとNFLが頼みの綱としている部分でもある。彼らはこのファンベースがチームを追いかけてくれると踏んでいる。

しかしながら、オークランドにいるレイダースファンは忍耐強く新たなチャンピオンシップを待ち望んでいる。本拠地移転の直前にスーパーボウルを制覇するという、いまだかつて起きたことのない偉業を達成するチャンスがレイダースにはあるのだ。