今後、チームの看板選手となるだろうクオーターバック（QB）ジミー・ガロポロを獲得したサンフランシスコ・49ersが起用法に関して相当に慎重な姿勢を見せている。

現地1日（水）、ヘッドコーチ（HC）のカイル・シャナハンはニューイングランド・ペイトリオッツとのトレードで獲得したガロポロについて次のように語った。

「ジミーが今季中にプレーするとは約束できない。彼を獲得できたことは本当に嬉しいが、彼がこのチームの救世主となるのはもう少し先のことかもしれない。私が言いたいのはつまり、ジミーを獲得したのは単に今シーズンのためだけではないということ。このトレードによってチームや組織全体に変化がもたらされるはず」

今シーズンもまた勝ち星を犠牲にすることとなるが、経験則的に言えばシャナハンHCの戦略は非常に奨励されるべきものだ。大胆だが、すでに0勝8敗となった49ersが今後の勝敗を気にする必要はない。チームはガロポロに新たなシステムを完全に理解させるのが賢明であり、デビューを焦る必要など全くないと言っていい。

シャナハンHCはこのようにも明かしている。

「活躍するとは思えない選手を出場させるつもりはない。良いパフォーマンスはプレーブックを理解するところから始まる。自分がコールするプレーを完璧に理解していることが前提となり、どの位置に誰がいるかを確認するためには他の10人ともうまくコミュニケーションを取る必要がある。そう簡単にできるものではないが、これこそが大事だ。今、私が自分の話している内容以外には何も考えられないように、人は自分の事だけに集中してしまいがち。これはみんなが思っているよりも難しいことだ」

広い視野で見ると、ガロポロにとってこれほどありがたい話はないだろう。すぐさまの活躍を期待されるプレッシャーからは逃れ、学習に十分な時間を使える。また、壊滅的なオフェンシブラインの中で無理にプレーして故障するリスクも皆無だ。

また、この流れは金銭面での問題も部分的に考慮したものと考えられる。今オフシーズン、流出阻止のために49ersはガロポロに対して市場価格に基づいた金額を用意することになるが、もしガロポロが今季終盤で試合に出場しなければ、チームは練習だけをその契約交渉の判断材料とすることができるのだ。

シーズンも後半戦に突入しているがゆえにチーム内部としてはこのタイミングで敢えて新加入のQBを起用するメリットはないだろうが、ファン目線で考えれば多少なりともガロポロという名の知れた選手の起用を案ずるべきなのだろう。それでも、シャナハンHC筆頭に、チームが今季中にガロポロに対してプレー機会を設ける雰囲気は微塵も感じられない。短期間での結果が求められる社会ではあるが、ぶれることなく長期的な目線で物事を捉えるのは間違いなく良い事だ。

正直なところ、ガロポロがいったいどれだけ優れた選手であるのかを示す実際的な情報量は多くないが、彼の潜在能力は今後の彼の起用法によってもその発揮の仕方は大きく変わってくるに違いない。少なくとも現時点ではチームがそのにじみ出るガロポロの才能を傷つけてしまう恐れはなさそうだ。

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