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脳震とうプロトコル適用問題でシーホークスに制裁

2017年12月22日(金) 09:53


シアトル・シーホークスのラッセル・ウィルソン【AP Photo/Ted S. Warren】

NFLはシーズン第10週に開催されたシアトル・シーホークス対アリゾナ・カーディナルス戦でシーホークスのクオーターバック(QB)ラッセル・ウィルソンが頭部にヒットを受けた際、脳震とうプロトコルが適切に用いられていなかったとしてチームに制裁を加えた。

NFLとNFL選手会による調査団は同チームに対して10万ドル(約1,130万円)の罰金を科し、コーチ陣や医療チームにはプロトコルの研修を受けなければならない。

同調査団は声明の中で次のように述べている。

「調査の結果、試合のオフィシャルを務めたウォルト・アンダーソンがヒットを受けたウィルソン氏には検査が必要だと判断し、サイドラインへと向かわせた。しかしながら、要求されたような検査は行われておらず、ウィルソン氏は適切な診断を受けることなくフィールドに復帰していた。オフィシャルによって医療的措置が必要と判断された場合は医療チームによる検査を経た場合のみフィールド復帰が可能となる。そのため、サイドラインで適切な診断を受けずに行われたウィルソン氏のフィールド復帰は脳震とうプロトコルに違反していた。チームの医療チームがプロトコルに則ってウィルソン氏を検査したのはその後のことだった」

調査結果を受けた直後、シーホークスは『Twitter(ツイッター)』に下記のような声明文を掲載した。

「11月9日に行われたシーホークス対カーディナルス戦についてのNFLとNFL選手会による調査結果を受け入れる。われわれは知らずして脳震とうプロトコルに反するプロセスをとっていた。今回の誤った行為は意図的ではなく、ルールの理解不足の結果だった」

カーディナルス戦の第3クオーター、ラインバッカー(LB)カルロス・ダンスビーから顎(あご)にヒットを受けた後、ウィルソンがサイドラインに下がっていたのはごくわずかな時間で、ウィルソンは医療用テントに数秒間滞在したのみでフィールド復帰していた。

現地21日(木)、ウィルソンは記者に対して「全ては正しく行われたと思っていたんだ・・・多少混乱した部分もあった。試合に復帰できる理由は正直なところよくわかっていなかった。意識ははっきりとしていた。ただ顎に痛みがあって、それの確認をしただけだ。医療チームがそういう判断をした」と明かした。

先月、試合後のウィルソンは記者に対してヒット後も状態に変化は見られなかったと語っていた。

「完璧に顎に入った。脳震とうは発症していないし、そのような感じはなかった。意識ははっきりとしていた。 “あぁ、完全に(顎に)入った”と思ったから数秒間はグランドに倒れたまま顎の状態を確認しようとしていたんだ。(オフィシャルの)ウォルトは俺がケガか何かをしたと思ったんだろうね。彼に大丈夫だと言ったら、サイドラインに行きなさいと言われた」

当時のウィルソンはこのようにも発言している。

「何より、ウォルトの仕事ぶりは完璧だったと思う。俺は全く問題なかったけど、彼は賢明な判断を下したと思う。俺は脳震とうに対する全プロトコルを終えてからフィールドに戻った。診断のための全ての質問にはちゃんと答えた。彼らが期待する以上を答えてからフィールドには戻っている」

ウィルソンのコメントとは対象的に、この件に関してNFLとNFL選手会の合同調査団はプロトコルが適切に用いられていなかったとの判断を下した。

調査後、罰金を命じたNFLは脳震とうが疑われた選手に対するプロトコルをより詳細に規定するとの声明を発表した。

「NFLとNFL選手会による決定として、オフィシャルや各チームの選手、また、コーチ陣は脳震とうが疑われた際に選手を直接医療チームの元に連れていき、検査を義務付けるようにプロトコルを更新する。NFLとNFL選手会は継続してプロトコルに関する修正点を模索し、選手の安全を守る努力をしていく」

【S】