将来を見越してカウボーイズに売り込むシーホークスFSトーマス
2017年12月25日(月) 13:03フリーセーフティ(FS)アール・トーマスはシアトル・シーホークス退団を見込んでいるのだろうか。
現地24日(日)に開催されたダラス・カウボーイズ戦で勝利を収め、何とか首の皮一枚でプレーオフ進出の夢をつないだシーホークス。試合後、相手チームのロッカールームに入って行ったトーマスがカウボーイズのヘッドコーチ(HC)ジェイソン・ギャレットに「チャンスがあれば俺を獲得してくれ」と伝えたようだ。
トーマスはその直後、記者に対して次のように説明している。
「小さい頃からカウボーイズの大ファンなんだ。“獲得してくれ”と言ったのは文字通り“今、獲得してくれ”という意味で言ったのではない。今の俺はキャリアの絶頂期にいるし、まだこのチームでプレーしたい。でも、いつかシアトルに別れを告げるようなことがあればカウボーイズに獲得してもらいたいと思ったんだ。もしシアトルを出ることになったらダラスこそが俺の居場所さ。これが真意だ。みんな、ちょっと真面目に考え過ぎだね。これが俺っていう奴だ」
5年契約のうち残り1年となったトーマスは来季に約1,040万ドル(約11億7,800万円)を受け取る予定だ。『Spotrac(スポトラック)』によると、もしチームがトーマスをリリースした場合に発生するデッドマネーはわずか190万ドル(約2億1,500万円)程度となり、サラリーキャップにはさほど大きな影響を与えないだろう。
トーマスはシーホークスが契約延長のオファーを与えてくれるのであれば「それは最高のクリスマスプレゼントだな」としながらも、延長のオファーを受けなかった場合には「どうか(カウボーイズさん)、俺を獲ってください」ともコメントしている。
何はともあれ、現在のトーマスはシアトルでのプレーを楽しんでおり、残留を望んでいる。それでも、テキサス州に生まれ、テキサス大学のロングホーンズでプレーしたトーマスがBCSナショナルチャンピオンシップゲームに出場した経験もあることには留意しておきたい。
先日、チームメイトのラインバッカー(LB)ボビー・ワグナーとの口論が話題となったばかりのトーマスだけに、カウボーイズ戦後に彼が発した言葉は大きな波紋を呼んだ。トーマスは先週末のロサンゼルス・ラムズ戦でワグナーがハムストリングを負傷しながらもプレーしていたことを批判。これを受けてワグナーは『Twitter(ツイッター)』にトーマスを煽るような発言を投稿していた。このツイートはすぐさま削除されている。
LOB(リージョン・オブ・ブーム)のメンバーにはトーマス以外にも重要な局面を迎えている選手がいる。コーナーバック(CB)リチャード・シャーマンの契約もまた2018年のシーズン終了と共に満期を迎え、最終年には1,300万ドル(約14億7,000万円)を手にする予定だ。また、故障中のディフェンシブエンド(DE)クリフ・アブリルも同様に800万ドル(約9億円)を手にする。一方で、ワグナーの契約は2019年までとなっており、マイケル・ベネットとカム・チャンセラーは2020年までの契約を結んでいる。しかし、『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイケル・シルバーはワグナー以外の上記5人は2018年中にもチームを去るだろうと予想する。チャンセラーに関しては首の負傷によって強制的にキャリアの最後を迎える可能性も出ている。
シーズン中のトーマスがオープンかつ正直に話すのは珍しいことではない。先シーズンも足を大ケガした後、ツイッターで引退を示唆して世間をざわつかせた。
シーホークスにはまだポストシーズン進出の可能性が残っている。シーホークスは次週での勝利に加え、アトランタ・ファルコンズが敗戦した場合にプレーオフの第6シードを獲得する。トーマスはチームの命運が自己の成績だけでは決定しないことに自身の心情を重ね、このように語った。
「ビジネスの部分には深く関わりたくない。若き才能ある選手が多数いるこのチームで自分がどうなるかなんて分からないさ」
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