15年のキャリアに幕を閉じるカーディナルスQBパーマー
2018年01月03日(水) 12:10アリゾナ・カーディナルスのヘッドコーチ(HC)ブルース・エリアンスが退任を発表した翌日、今度はベテランのクオーターバック(QB)カーソン・パーマーが引退を表明した。
現地2日(火)、NFLでの15年のキャリアに終止符を打つことを決断したパーマーはチームが発行した声明の中で次のようにコメントしている。
「ここ数年はよく、引退を決めたチームメイトに、いつそのことを考え始めたのかと聞いていた。返って来る答えはいつも同じだった。“そう自分が感じたら”だとね。自分的には今がその時だと思った。なぜかと言えば、単純に、自分がそう感じたからさ」
38歳のパーマーは最後の5シーズンをアリゾナの地で過ごし、カーディナルスを2回に渡ってポストシーズンへと導いた。ただし、パーマーがプレーオフで先発出場を果たしたのは2015年のシーズン、チームがNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)覇者を決める試合でカロライナ・パンサーズに黒星を喫した時だけ。パーマーのキャリアには常にケガが付きまとった。2014年プレーオフはACL(膝前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)損傷で欠場となり、今季は9試合を残して腕を骨折している。
2003年にシンシナティ・ベンガルズからドラフト全体1位指名を受けたパーマーはすぐさまジョン・キトナから先発の座を引き継いで13試合に出場した。2005年にはチームを地区制覇へと導いたパーマーだったが、この初めてのプレーオフゲームで相手ディフェンスにタックルを受け、第1スナップにACLを損傷してスーパーボウル出場の夢が絶たれた。
2010年シーズン後には自身のトレードを要望したものの、チームに聞き入れてもらえなかったパーマーが引退の二文字をちらつかせた結果、ベンガルズはその翌年のドラフトでアンディ・ダルトンを指名。2011年10月にようやく、故障者リスト入りしていたパーマーのトレードに応じたベンガルズはオークランド・レイダースにパーマーを移籍させた。レイダース時代のパーマーは2シーズン、2人のヘッドコーチ(HC)を経験し、わずか8勝にとどまっている。
キャリア最低の期間を経てカーディナルスへと移籍したパーマーはここで復活を遂げる。ブルース・エリアンスHCの下、縦へのパスを軸としたスキームでラリー・フィッツジェラルドとの抜群のコンビネーションを見せたパーマーは13勝3敗でチームをNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区制覇とファーストラウンドバイ(1回戦免除)に導き、過去最高のシーズンを送った。この年のパーマーはキャリアハイとなるパサーレーティング104.6と35タッチダウンを記録している。
パーマーは182試合に出場して92勝88敗1分、4万6,247パスヤード、294タッチダウン、187インターセプト、87.9パサーレーティングの記録を残してフィールドを去る。通算パスヤード数とタッチダウン数はNFL歴代12位の成績だ。
エリアンスHCとパーマーの2人の絆は固い。両者共に2013年からカーディナルスに所属し、2017年レギュラーシーズンが終了した後でHCが退任を表明した翌日にパーマーは引退を発表した。
今やカーディナルスはHCとエースQB不在のままオフシーズンに突入している。さらに、スターワイドレシーバー(WR)のフィッツジェラルドの引退までもが取り沙汰されている。現在34歳のフィッツジェラルドは真剣に引退を考えており、エリアンスHCとパーマーの引退が彼の思考に影響しないはずがないだろう。それでも、なかなか評価されないジェネラルマネジャー(GM)スティーブ・カイムの下、カーディナルスには若き天才ランニングバック(RB)デイビッド・ジョンソンとタイラン・マシューやパトリック・ピーターソンといった2人の優れたディフェンシブプレーヤーが存在しており、タレントはある程度揃っているとも言える。
そうはいうものの、今オフシーズンのカーディナルスが突然、砂漠のど真ん中へと放り投げられたような状態に陥ったのは事実だ。過去5年に渡り、エリアンスHCとパーマーの2人がチームに至福の時をもたらしてきた。カーディナルスは来たる5カ月間でガラリとチームカラーを変えるのだろうか。チームの将来にとって今オフシーズンの動き方は非常に重要なものとなるだろう。
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