ジェッツがQBハッケンバーグをレイダースにトレードで放出
2018年05月23日(水) 11:39例年とは一味違ったオフシーズンを過ごすオークランド・レイダースがまたもや興味深い動きを見せた。
レイダースはニューヨーク・ジェッツに2019年ドラフトの条件付き7巡目指名権を譲渡し、3年目のクオーターバック(QB)クリスチャン・ハッケンバーグを獲得した。これはジェッツのヘッドコーチ(HC)トッド・ボウルズが現地22日(火)に公表した内容だ。
過去2シーズンにわたって若きQBを必要としていたコーチ陣をうならせることのできなかったハッケンバーグは“ゼロから”のスタートを誓い、今オフシーズンに臨んでいた。だが、なおもジェッツコーチ陣の指導では投球動作が修正されないと嘆いたハッケンバーグは、その数時間にトレードで放出される形となった。フランチャイズ選手となったサム・ダーノルドやジョシュ・マカウン、テディ・ブリッジウォーターが在籍するQB陣のデプスチャート上にハッケンバーグが割って入るすき間はなかったのだ。
ペンシルバニア州立大学の1年時に大活躍した当時のハッケンバーグは将来的なフランチャイズ選手になるとも評されていたが、2016年ドラフト時にはジェッツから全体51番目で指名される程度の評価となっている。
それは、手当たり次第にパスを放るハッケンバーグが大学最後の2年間で記録したパス成功率がわずか54.8%だったからに違いない。ボウルズHCの下で2シーズンを過ごしたハッケンバーグだが、いまだにレギュラーシーズンのチャンスをつかめていなかった。能力値の低いブライス・ペティを試しに7試合で先発させるほどQBに困窮していたチームにとって、その判断は非難されるに値するものだ。
レイダースのHCジョン・グルーデンがハッケンバーグのキャリアを一変させるローリスクハイリターンのギャンブルに手を出したのも驚く話ではない。2016年、『ESPN』の解説を務めていたグルーデンはハッケンバーグについてドラフト1巡目での指名も大いにあり得るとの記事を執筆していた。
当時のグルーデンはこのように記している。
「2、3年前は全米ナンバーワンのプロスペクトだった。大学1年時にはNFLスタイルのオフェンスでも十分にハイレベルなプレーを生み出せる選手だった」
「ペン州大(ペンシルバニア州立大学)の1年時、コーチが代わってシステムが変更し、全てによってリズムが狂う前の若い彼が見せてくれたものは私にとって十分だった。・・・(中略)彼は正しいシステムと正しい人々のいるチームに所属し、細かな部分に集中すればいい」
あれから2年後、グルーデンHCは最低ランクのドラフト指名権と引き換えに、投球スタイルの改善を望むハッケンバーグを“正しいシステムと正しい人々のいる” 自軍に呼び寄せた。
そうは言っても、スターQBデレック・カーに次ぐEJ・マニュエルやコナー・クックを押しのけてダークホースとなる可能性は、今のところハッケンバーグのその短いキャリアからは全く示されていない。
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