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ブラウンズ、GバイトニオをLTに配置転換へ

2018年08月02日(木) 12:02


クリーブランド・ブラウンズ【AP Photo/Matt Dunham】

クリーブランド・ブラウンズのガード(G)ジョエル・バイトニオがオフェンシブライン(OL)の末端にポジションを変更するとのうわさが広まってから1週間、ヘッドコーチ(HC)のヒュー・ジャクソンはその配置転換に注力しているようだ。

ライトガード(RG)ケビン・ザイトラーが現地1日(水)の練習を早めに切り上げたこともあり、ブラウンズのオフェンシブライン(OL)コーチであるボブ・ウィリーは先月29日に明かしていた、バイトニオをレフトタックル(LT)にし、新人オースティン・コルベットをレフトガード(LG)にするという“オプションZ”を試した。ジャクソンHCもその場にとどまり、様子を伺っている。

『Associated Press(AP通信)』のトム・ウィザースによると、ジャクソンHCはLTのジョエルには「相手を圧倒するスピードが備わっている」と1日に述べ、実力のあるGをTに配置転換することでブラウンズが最高のフロント5を形成可能になると説明したという。

先週、殿堂入り確実視されるジョー・トーマスが予想したNFLでのコルベットの将来図に対して、敬意を持ちつつも同意しなかったコーチングスタッフだが、柔軟にその姿勢を変えている。

トーマスは「自信を持って言えるのは、オースティン・コルベットが将来的にNFLでタックルをプレーするとは思わないということ。この春からずいぶんと時間をかけて彼の映像や練習、彼に対するコーチからの指示などを見ていたが、彼は明らかにガードかセンター向きだ」と語っていたのだ。

トーマスは鈍重さとNFLのタックルで成功を収めるために必要な運動能力の欠如を挙げつつ、コルベットの明るい未来はガードかセンターにあると語った。とは言え、ブラウンズがタックルを必要とした一番の原因はトーマス自身の引退にあるのだ。

ブラウンズにとってその論理的な解決策はバイトニオをTにすることだった。だが、クリーブランドへ戻る道中にトーマスがコメントした際、その配置転換に対するジャクソンHCの心の準備がまだできておらず、コルベットをTとして起用するという考えを捨て去る前に、パッドを装着して練習を行うまでは待ちたいとも述べていようだ。

ここ1週間以内で実際にその練習は行われた。

ブラウンズには興味深い話が山積みだ。バイトニオはリーグトップクラスのGであり、2014年ドラフト2巡目でネバダ大学から指名を受けた直後からすぐにその実力を証明してきた。バイトニオ自身はむしろ、その配置転換には乗り気でないようだった。

バイトニオは以前、『Cleveland.com(クリーブランド.com)』のダン・レイビーに対して「将来的には起こりそうなことだとは思っているが、今のところはレフトガードに集中している。隣のレフトタックルに誰が来てもいいように準備をしているつもりだ」とコメントしている。

今となってはバイトニオ自身がそのLTの準備をしなくてはならないようだ。

バイトニオは「試合への準備はできている。チームがそう望むのであれば、いいんじゃないか、ブラウンズがもっと良くなるならば。それでも、4年間プレーし、5年目を迎えていたレフトガードはかなり楽かった」とも漏らした。

また、ブラウンズにはデプスチャート上の問題もある。トーマスの引退を受けたチームは数多くのTを迎え入れ、RTとしてクリス・ハバードとも契約を交わした。さらに、チームにはベテランのドナルド・スティーブンソンや元ドラフト全体2位指名のグレッグ・ロビンソンもいる。それでも、レフトサイドについてはほとんどの問題が解決されておらず、キャンプで脳震とうを発症する前までのロビンソンが短期間だけレフトサイドでのプレーを試したのみだ。彼らの他に、ション・コールマンも意外な戦力として挙げられるかもしれない。

今回のような“切り札”とも言える迅速な配置転換を行う際、ジャクソンHCの胸を高鳴らすような候補者は他にいなかったようだ。

ブラウンズにとって悪い話ではないはずだ。コルベットはチームが寝ずに熟考し、全体33位で指名したれっきとしたプロスペクト選手だ。バイトニオはコルベットのようにネバダ大学ではタックルを任されたラインマンである。チームは能力値の劣る他のラインマンにいずれかのポジションを任せるよりも、実力ある両者を時間のあるキャンプ中から一緒に育てる手法を採る。ブラウンズはまた、スペンサー・ドランゴにいずれかのガードをプレーできるよう準備させている。事実、ザイトラーが練習を早めに切り上げた際、ドランゴはその練習を行っていた。

2014年ドラフト(バイトニオも同期)にロサンゼルス・ラムズが全体2位で指名し、多方面から外れくじ、“バスト”と称されたロビンソンにもまだチャンスはあるだろう。ロースタースポットを確保するだけの実力がまだあることを脳震とうからの復帰後に証明することも可能だ。GとTの2つのポジションは似ているものの全く別のものであるということは、Gの方がよりリラックスしてプレーできるとバイトニオが認めていたことからも理解できるだろう。ただし、水曜日にバイトニオは “チームにとってベスト”な選択を望むとも語っている。

経験則から言えばおそらく正しいのだが、トーマスの言うことが正しかった場合、ブラウンズはこのラインアップに慣れていく必要がある。ジャクソンHCが水曜日に言ったように、たとえ一時的に不快感はあろうとも、これが今現在のチームのベストな形なのかもしれない。

【S】