ジェッツ、新人QBダーノルドが躍動
2018年09月11日(火) 15:16ニューヨーク・ジェッツの新人クオーターバック(QB)サム・ダーノルドにとって、デビュー戦はこれ以上悪くなりようがないスタートを切った。
ダーノルドがプロとして初めて投じたパスはデトロイト・ライオンズのセーフティ(S)クアンドレ・ディッグスによってインターセプトされ、そのままタッチダウンを奪われた。新人QBがキャリア初のアテンプトで投じたパスがインターセプトタッチダウンとなったケースはブレット・ファーブやジェイミス・ウィンストンも経験している。
若き司令塔にとってはプロの世界でしのぎを削ってきたセカンダリー陣から“ようこそ、プロの世界へ”といった洗礼を浴びる形となった。こういったスタートを切った新人選手は普通であればそのままの流れでゲームを終えてしまうだろうが、現地10日(月)のダーノルドは違った。
48対17と大差で勝利を収めた同試合後のダーノルドは「あのインターセプトの時はね、正直に言うとかなり緊張していたんだ。でも、その後は緊張を押しやることができたよ。あのプレーの後はスタジアムが大歓声に包まれ、自分は“やってしまった”という感じだった。そこから、“OK、ここからやってやろう。これ以上悪くなることはない”と思えたんだ」と明かしている。
事実、この後のダーノルドはどんどんと良くなっていった。
ポケットから飛び出した後の正確なパスや迅速な判断能力も披露したダーノルド。ディープスレットのワイドレシーバー(WR)ロビー・アンダーソンへのキャリア初となる41ヤードのタッチダウンパスも投じた後は、再びライオンズに傾きかけた流れをわずか6プレーのうちに引き戻した。この間のダーノルドはテレル・プライアーに2回のパスを通してゲインを重ね、最後はクインシー・エヌンワにタッチダウンパスを投じている。ここからのジェッツはつかんだ流れを離さず、見事に実力を発揮した新人QBやチャンスをものにしたディフェンス陣らと共に勝利をつかみ取った。
インターセプトタッチダウンを献上した後のダーノルドはパス成功率75%、198ヤード、タッチダウン2回をマークしている。マンデーナイトゲームでダーノルドが一番のターゲットとしたのは首の故障によって先シーズンをまるまる棒に振っていたエヌンワだった。スロットターゲットとなったエヌンワはキャッチ6回で63ヤード、ターゲットは10回を記録している。
1試合の中で逆境からの華麗な復活を遂げて見せたダーノルドが試合後のロッカールームで仲間から盛大な祝福を受けたのは言うまでもない。
ジェッツ2年目のSジャマール・アダムスは試合後、『NFL Network(NFLネットワーク)』のキンバリー・ジョーンズに対して次のように語っていた。
「ファーストプレーはちょっとしたミスだった。次のシリーズからはそんなミスなんかなかったかのようなプレーぶりさ。彼はそんなことを気にしなかったし、勝負していた。本当に落ち着いていた。サムのことを本当に誇りに思うし、一緒にプレーできることがうれしいね」
ヘッドコーチ(HC)トッド・ボウルズは表情を変えずに「サムはひるまなかった。一瞬たりともだ」と述べていた。
ダーノルドの次なる対戦相手は同地区ライバルのマイアミ・ドルフィンズだ。ホームゲームとなるこの試合には希望に満ちた大勢の地元ファンが駆け付けるだろう。デビュー戦で大活躍した“救世主”ダーノルドの背中には相当なプレッシャーがのしかかるはずだが、次週もまた今回のようにその期待に応えられるようであれば、ジェッツが残りのシーズンも勢いをそのままに好調をキープする可能性は高そうだ。
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