国外に飛び出したアメリカンフットボールは過去10年を通じてかなりの飛躍を遂げてきた。

2018年シーズンのロンドンゲーム最終戦は昨年度のスーパーボウル覇者であるフィラデルフィア・イーグルスと、2017年年度のAFC（アメリカン・フットボール・カンファレンス）チャンピオンシップ戦にまで進んだジャクソンビル・ジャガーズとの一戦であり、この試合を見れば分かるようにアメリカンフットボールの国際的人気度は相当に高まっていると言える。

しかし、何十万人ものファンがフットボールボールをさまざまな手法で楽しみ、ヘルメットを着用したフットボールプレーヤーに注目を向ける一方で、究極的なイベントがロンドンで開催となる日はまだまだ訪れないようだ。

NFLのコミッショナーであるロジャー・グッデルは現地27日（土）朝、『Good Morning Football Weekend（グッドモーニング・フットボール・ウィークエンド）』に出演し、その理由をはっきりとこのように述べていた。

グッデルコミッショナーはロンドンでスーパーボウルを開催するというアイデアについて「その考えは何度も議題に上がってきた。しかし、オーナーシップからすれば、それはわれわれのファンたちに対するご褒美であるようだ。フランチャイズがロンドンにあればその可能性も出てきそうだが、フランチャイズがなければ、それは難しい話になるだろう」と述べていた。

つまり、スーパーボウルは地元のチームありきで成立するということなのだろう。それでは海外でのフランチャイズ設立にはどれほどの可能性があるのだろうか。

グッデルコミッショナーは次のように説明している。

「ここ数年を通して常に言ってきたことだが、1チームに対するファンベースはあると信じている。頭数や情熱といった面でも、ビジネスのコミュニティや商業的コミュニティは十分に強固だ。この件に関する政治的なサポートも尋常ではない。それらすべての要素がここにはある。ただし、1つだけまだ納得しきれていない部分はゲーム運営の点だ。自国でプレーするチームと、ロンドンに来てプレーするチームの公平さはどうすべきかというところだ」

「私の見解からすると、最も難しい課題はプレーオフだ。それについてのプラン作り自体ができないからだ。だから、シーズン中は公平な方法で運営することはできるだろうが、ポストシーズンに入れば、あるチームにとっては不公平なものになりかねない。たとえば、シアトルが1試合のプレーオフゲームのためにロンドンに行くのはなかなか大変なことだろう。それゆえ、われわれはそれについての答えを見つけ出す必要がある。しかし、そのような事情は差し置いても、この市場規模や、フットボールに対する情熱には心底感心している。問題はないだろう」

複数のチームはシーズン中、大西洋を横切るロンドンへの旅行が組み込まれたスケジュールをバイウィークと共に何とかこなしている。バイウィークは旅によって少しずれた体内時計を修正し、疲れを癒すためのプレーヤーにとっての安息日だ。

しかし、グッデルコミッショナーが挙げた例（シアトルからロンドン）のように、リーグは世界の3分の1ほど離れたチーム同士のプレーオフゲームにつき1週間のバイウィークを入れることはできないだろう。これがロンドンにフランチャイズを設立する際の最大の課題になる。

その一方で、リーグはロンドンとメキシコで開催するインターナショナルゲームを今後も継続していく様子だ。まだ同意は得ていないにせよ、NFLのチケットを求める大勢のファンがいることからも、比較的に市場の大きいロンドンという土地は考慮に値するはずだ。

イギリスにおけるNFLの重要性についてグッデルコミッショナーはこう発言している。

「そのようにしてわれわれはゲームを成長させるのだろう。ゲームを共有し、プレーすることが成長を促進するベストな方法だ。そうやって彼らはスタジアムの雰囲気などを経験し、街の雰囲気を感じることができるからのだからね。まだここには24時間しかいないが、興奮や期待を感じることができるし、ここのファンたちはゲームをよく理解していると思う」

「過去20年以上、約30年間にわたってNFLの試合を見てきた経験を通して言えるのは、彼らがフットボールを本当によく理解しているということだ。彼らはすばらしいフットボールファンである。彼らは良いタイミングに反応を示すし、われわれにとってもそれは楽しいもの。つまり、われわれは計り知れない程の進歩を遂げてきたということだ」

年に1回はロンドンで試合をするジャガーズが、一歩リードしてロンドンのファン層を厚くしている。28日、残念ながらジャガーズはイーグルスに24対18で黒星を喫した。

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