テキサンズがブロンコスからWRトーマスを獲得
2018年10月31日(水) 12:06デマリウス・トーマスはデンバーで過ごす日々が限られているとうすうす感じていた。その感覚は正しかったようだ。
現地30日(火)、『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートは現地の情報筋の話を元に、デンバー・ブロンコスがWRトーマスを2019年ドラフトの4巡目と引き換えにヒューストン・テキサンズへ放出したと伝えた。ラポポートによると、両チームは7巡目の指名権も交換トレードしたようだ。後に、ブロンコス側は正式にこのトレードを認めた。
トーマスはトレード期限の最終日に初めてトレードが成立したビッグネームの選手だ。30日のトレード締め切り時刻は午後4時(ET/東部標準時間)で、日本時間31日の午前6時だった。
トーマスは今週末、テキサンズがブロンコスを訪れた際に元チームメイトたちとすぐさま再開することになる。
ブロンコスのジェネラルマネジャー(GM)ジョン・エルウェイは声明文の中で次のように語っている。
「デマリウスはここで信じられないような走りを見せてくれた。彼が成し遂げてきたすべての事にはブロンコスにとって大きな意味があり、それらを感謝してもしきれないだろう。彼はここでの数年間を通じてエリートプレーヤーへと成長し、NFLの中でも最も生産的で、安定感、そして、信頼感のある選手の1人へと自らを向上させてきた。D.T.(トーマスの愛称)はわれわれの勝利に何度も貢献し、ブロンコスの一員として、チームの数々のすばらしい瞬間における中心的存在だった。この1つの章を終えてしまうのはつらいことではあるが、われわれはワイドレシーバーのポジションにいる全員の才能に期待している。デマリウスがテキサンズで健闘することを心から願っている」
ブロンコスのCEO、ジョー・エリスは「われわれはD.T.をリング・オブ・フェイマーとして称え、チームへの多大なる貢献に感謝する日が来るのを待ち望んでいる」と述べていた。
今シーズンは生産力が落ち始め、ケイス・キーナムとの連携がうまくいっていなかった現在30歳のWRを、ブロンコスがトレードに出すのではないかといううわさはここ数週間にかけて広まっていた。2019年のベースサラリーが1,400万ドル(約15億8,000万円)となっていたことだけがデンバーでのトーマスの生活にピリオドを打たせたわけではない。3勝5敗と、またもや負けの先行するシーズンを送っているブロンコスが、ドラフト指名権を条件にトレードを成立させるのは合理的と言えよう。
さらに重要なことに、チームはトーマスの放出によって感銘的なパフォーマンスを披露している新人WRのコートランド・サットンにより多くのチャンスを与えることが可能となる。ドラフト2巡目指名のWRはボールの扱いがすばらしく、オープンスペースを見つけるのもうまい。過去8週間を通じ、オフェンシブスナップの68.7%でプレーしている今季のサットンは17レシーブで324ヤードをマークしているが、トーマスがチームを去った後にこれらの数字が一気に伸びるのは明白だ。サットンは今や、エマニュエル・サンダースに次ぐ正真正銘のチームナンバー2ワイドレシーバーである。
ただし、サンダースは地方ラジオ番組の中でトーマスの移籍について、「それに関しては全然うれしくないよ」と述べていた。
一方で、シーズン第8週にスピードスターのウィル・フラーがACL(膝前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)を断裂して今季絶望となり、新人WRのキキ・キューティーもハムストリングの故障と格闘する中、テキサンズにとってはプレーメイキング能力を持つWRを補強することが急務とされていた。
トーマスをディアンドレ・ホプキンスの隣に据えることで、クオーターバック(QB)デショーン・ワトソンにとっては信頼感のある2人のレシーバー陣を生かした攻撃パターンを追加できる。30歳という年齢によって以前よりは衰えを見せているトーマスだが、適切な起用をされればまだまだ生産力は高いだろう。プレーオフ進出が狙えるチームに所属したことでさらなるパワーもみなぎるはずだ。
とりわけ、トーマスは今季のテキサンズが嘆かわしいパフォーマンスを見せているレッドゾーン内で活躍できる選手だ。ホプキンスとトーマスがその身長を生かし、密集したフィールド上でもワトソンにパスのオプションを与えることが可能となる。
シーズンの折り返し地点で5勝3敗のテキサンズはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)南地区で唯一勝利が5割を超えているチームだ。しかし、同地区に所属するインディアナポリス・コルツ、ジャクソンビル・ジャガーズ、そして、テネシー・タイタンズはシーズン後半に巻き返す力を持っている。現在は地区首位に立つテキサンズだが、ポストシーズン進出に向けて不調気味な攻撃陣を活性化することが彼らにとって必要な動きであったのは間違いない。
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