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シーホークス、HCキャロルと2021年まで契約延長

2018年12月25日(火) 10:05

シアトル・シーホークスのピート・キャロル【AP Photo/Elaine Thompson】

ピート・キャロルは今後の数年間もエメラルドシティこと、シアトルの街に滞在する。

シアトル・シーホークスは現地24日(月)、ヘッドコーチ(HC)キャロルとの契約を2021年シーズンまで延長した。1年1,100万ドル(約12億円)以上を受け取る予定のキャロルHCはリーグでもトップクラスに高額なコーチとなっている。これは『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地の情報筋の話を元に伝えたものだ。

シーホークスのオーナーで、ポール・G・アレン・トラストの後を継いだジョディ・アレンは声明の中で次のように語っている。

「ヘッドコーチのピート・キャロルと2021年まで契約を延長したことを発表でき、非常に嬉しく思っています。これにより、シアトルの街で作り上げてきたチャンピオンの文化を継続することができるでしょう」

キャロルHCは「ジョディとこの組織にとても感謝している。このチームを愛しているし、12sを代表できることを心から誇りに思っている」と述べている。

チーム史上、最も勝ち星を上げているキャロルHCはレギュラーシーズンで88勝54敗1分を記録し、ポストシーズンでは9勝5敗の戦績を収めてきた。キャロルHCはチームを2回にわたってスーパーボウルへと導き、第48回スーパーボウルではチャンピオンに輝いている。

キャロルHCは24日、地方新聞『The News Tribune(ザ・ニュース・トリビューン)』に対して「私がここにいる間中、この組織はずっと私にフィットしてきた。彼らがこのポジションを継続させてくれて、これ以上幸せなことはない」とも表現していた。

67歳のキャロルHCを続投させるチームの決断は、シーホークスが過去9シーズンで7回目のプレーオフ進出を決定させた翌日に下された。

チームのスター選手であったリチャード・シャーマンやマイケル・ベネット、キャム・チャンセラー、クリフ・アブリルなどが去り、チーム再建のシーズンとなる予定だったシーホークスだが、キャロルHCはスタッフ陣を改組し、若い選手たちを正真正銘のプレーオフ進出レベルに成長させた。

チームの古株たちは新しい人物たちによって取って代わられた。シーホークスは攻撃コーディネーター(OC)ダレル・ベベルと袂(たもと)を分かち、新たにブライアン・ショッテンハイマーを入閣させ、そして、守備コーディネーター(DC)のクリス・リチャードもまた、ケン・ノートンJr.と交代させた。チームはボビー・ワグナーとフランク・クラークを中心に新たなディフェンスを構築し、シャキール・グリフィンとシャマー・スティーブン、新人のプーナ・フォードなどのインテリアのディフェンシブラインマンを使ってシャーマンの穴を埋めた。オフェンス側ではクリス・カーソンがマーショーン・リンチ以来となる1,000ランヤード超えを達成しており、デュアン・ブラウンやジャスティン・ブリットがけん引したオフェンシブラインは過去数年を通して見てもトップクラスの出来だった。

これらすべての功績はキャロルHCと、ジェネラルマネジャー(GM)であるジョン・シュナイダーのおかげであろう。シュナイダーGMもまた、2016年に契約を延長し、2021年まで同チームを指揮することが決まっている。

23日夜、強敵カンザスシティ・チーフスから白星を勝ち取った後、キャロルHCは今オフシーズンに急ピッチで行われた組織改革の難しさについて、記者にこう語った。

「この順位に立つことができると予想していた者はそんなに多くないはずだが、彼らはよくやってくれた。ボビーやラッセル(ウィルソン)、ダグ(ボールドウィン)、フランク、(ジェイラン)リード、タイラー(ロケット)らリーダーたちは今年、このチームで何か特別なことをやってのけること以外は考えていなかったのだろう。その時は厳しいと思うこともあったし、始まりもよろしくなかった。しかし、これは本当にリーダーシップの問題だったんだ。若い選手の多いチームだが、リーダーたちが彼らをこうなるように信じ込ませた」

シーホークスは確かに若いチームだが、今後の3年間はベテラン選手たちによるけん引が継続されるはずだ。2021年ともなれば、キャロルHCは70歳の年を迎えている。延長した契約が満期となれば、キャロルHCは1997年に72歳でバッファロー・ビルズを指揮していたマーブ・レビー以来の70代HCとなる。

これに反し、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区は若返りの中にいる。ロサンゼルス・ラムズのショーン・マクベイやサンフランシスコ・49ersのカイル・シャナハンといった若き指揮官たちがリーグの次世代を担うジャレッド・ゴフやジミー・ガロポロといったスタークオーターバック(QB)の背後にはいる。一方で、アリゾナでは新人ジョシュ・ローゼンがフランチャイズQBになろうともしている。

不可能を可能とした今季のキャロルHCはその見た目よりも若いハートを持ち、来たる難局をどのように乗り越えていくのだろうか。

【S】