元HCエリアンスがバッカニアーズHCとしてNFL復帰へ
2019年01月09日(水) 11:09ブルース・エリアンスの引退期間がそう長く続くことはなかった。
タンパベイ・バッカニアーズが元アリゾナ・カーディナルスのヘッドコーチ(HC)を次期HCとして雇用する予定だ。これは『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが報じたもの。エリアンスには4年契約が提示され、5年目はオプションになる模様だ。
元カーディナルスのHCハロルド・グッドウィンをランゲーム兼オフェンシブライン(OL)のコーディネーターとして、バイロン・レフトウィッチをパスゲームのコーディネーター、そして、クライド・クリステンセンをクオーターバック(QB)コーチとして採用すると予想されている。エリアンスはまた、元守備コーディネーター(DC)のトッド・ボウルズに対してバッカニアーズで同じ職を打診する構えのようだ。
ラポポートは現地8日(火)午前にバッカニアーズがエリアンスにオファーを提示したようだと報じていたばかりだったが、事態はそこから急速に発展した。
自身の健康問題やフットボール以外の生活に集中することを願い、2018年序盤に引退を表明したばかりのエリアンスは、昨シーズンにスポーツ・コメンテーターとして『CBS』の放送ブースに座り、解説などを務めていた。奇しくもエリアンスがNFL界に復帰するとのうわさが舞い始めたのも同じブースだった。
昨年12月30日にダーク・コッターを解任したばかりのバッカニアーズはすぐさまエリアンスに触手を伸ばした。なお、コッターは8日にアトランタ・ファルコンズの攻撃コーディネーター(OC)として雇用されている。エリアンスは以前、引退を撤回するならばクリーブランド・ブラウンズだけが考慮の対象となると語り、過去10年ほどそう思っていたとも打ち明けていたものの、バッカニアーズからのオファーにも耳を傾けるよう方針転換をしていたようだ。
この思考の変化により、エリアンスは再びHC職に就くこととなった。
攻撃側のコーチとして長年を過ごしてきたエリアンスは後にオールプロの選手へと成長する若かりし頃のペイトン・マニングやベン・ロスリスバーガーを指導していた。エリアンスはまた、テンプル大学、クリーブランド・ブラウンズ、ピッツバーグ・スティーラーズからの解任も経験している。その後にOCとしていきなり活躍したエリアンスはインディアナポリス・コルツで一時的HCを務めてNFL最優秀コーチ賞を受賞、それ以後はHCとしてカーディナルスに所属していた。
ベテランQBのカーソン・パーマーとラリー・フィッツジェラルド、パトリック・ピーターソンや当時新人だったデービッド・ジョンソンら多数の強力な選手を率い、エリアンスはカーディナルスでの5シーズンを通じて49勝30敗という戦績を収めた。2014年と2015年にはカーディナルスをプレーオフへと導き(1勝2敗)、カーディナルス史でいえば最も熱い時期をけん引したHCとなっている。
その後、負傷者続出で苦しんだ2シーズンは勝率をほぼ5割とする7勝8敗1分け、8勝8敗とし、アリゾナでのエリアンス時代は幕を閉じた。
バッカニアーズはエリアンスを指揮官に従えてどのような方針を採るのだろうか。2015年にバッカニアーズ入りしたQBジェイミス・ウィンストンにとってエリアンスは最高峰の経験値を持つ指導者となるだろう。新人契約の最終年に突入するウィンストンにとってこれは非常に大きな要素だ。2018年シーズンは出場停止処分から始まり、見ていられないようなプレーの連発でベンチに下げられることもあったウィンストンには、大きなてこ入れが必要とされている。さもなければ、バッカニアーズがウィンストンと袂を分かつ可能性もある。
周囲が思うよりもクリス・グッドウィンやその他の若き才能ある選手が多く在籍するバッカニアーズには、エリアンスと選手たちとの適応がうまくいきさえずれば大きく飛躍する可能性が十分にあると言える。そうするにあたって、エリアンスはまず自身の脇を固める必要があり、今後にある程度の入れ替えが起きることも想定されている。
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