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第53回スーパーボウルのMVPはペイトリオッツWRエデルマン

2019年02月04日(月) 14:39

ニューイングランド・ペイトリオッツのジュリアン・エデルマン【AP Photo/Carolyn Kasterl】

史上、最もスコアの低いゲームとなった第53回スーパーボウルにおいて、MVPに選出されるべき明白な理由を持つ選手は攻撃陣、守備陣、スペシャルチーム陣のどこにもいなかった。むしろ、それこそがニューイングランド・ペイトリオッツの強さの本質とも言えそうだ。

現地3日(日)夕刻、それでも誰かが指名されなくてはならない状況で、ペイトリオッツのワイドレシーバー(WR)ジュリアン・エデルマンがスーパーボウルのMVPに選出された。

この試合で最多となる10回のキャッチで141ヤードを記録したエデルマンは、常に良い位置とタイミングでパスを受け取り、キャッチした全パス中8回はファーストダウン奪取に関わるものだった。

エデルマンがキャッチした10回中、8回は試合前半に記録されていたが、その際のペイトリオッツの得点は3点と伸びていなかった。一方、エデルマンが最後にキャッチしたパスは、第4クオーターでペイトリオッツが決勝タッチダウンを奪うドライブを成功させた際の第2プレーに記録されていた。

栄えある賞を受賞したエデルマン。ペイトリオッツの選手としてクォーターバック(QB)トム・ブレイディ以外にこの賞を獲得したのは第39回スーパーボウルのディオン・ブランチ以来、史上2人目の出来事でもあった。

ペイトリオッツのロースターにいる多くの選手にとって、この大舞台はもはやこなれたものであり、エデルマンにとってもそれは同じだ。エデルマンにとって今回のスーパーボウルは4度目であり、大きな役割を果たすのは3度目のこと。シアトル・シーホークスと対戦した試合では決勝のタッチダウンを決め、アトランタ・ファルコンズに勝利した第51回スーパーボウルでは手からこぼれたボールを空中に浮きながらも再度キャッチする神業(かみわざ)とも言えるプレーを披露し、歴史に残る大逆転劇のハイライトシーンを演出していた。

しかしながら、先シーズンのエデルマンはACL(膝前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)を断裂するケガを負い、黒星を喫したフィラデルフィア・イーグルスとのスーパーボウルではサイドラインから観戦する他に術がなかった。

2018年シーズンも故障とは関係のない事由(リーグ規定に違反するPED/運動能力強化薬物使用に伴う出場停止処分)で開幕4戦を欠場したエデルマンだったが、チームに復帰して以降はブレイディのトップターゲットとなり、12試合で74キャッチ、850レシーブヤード、タッチダウン6回を記録している。

そして、プレーオフが開始してもエデルマンの活躍は続き、2019年のポストシーズンではペイトリオッツが白星を収めた3試合を通じてキャッチ26回、388ヤードをマークしていた。

ラムズ戦では積極果敢なルートランや決定力のあるコンバージョンが今回のMVP受賞に大きく寄与したはずだが、これはポストシーズンのみの活躍ではなく、さらに言えば、エデルマンのキャリア全体を通した成功に対して与えられた賞であるとも言えそうだ。

ポストシーズンのキャリアを通じ、エデルマンはラムズ戦で自身7度目となる100ヤード超えを成し遂げた。エデルマンは今や、ダラス・カウボーイズの伝説的選手であるマイケル・アービンと並んでポストシーズン中の100ヤード超えを史上2番目に多く記録している。史上1位はジェリー・ライスによる唯一無二の8度だ。

同カテゴリー内で比較されているアービンやライスがすでに殿堂入りを果たしていることからも、エデルマンが殿堂入りするに値する選手であることが分かるだろう。

メルセデス・ベンツ・スタジアムの天井から紙吹雪が舞い落ちる中、エデルマンはNFLでスポーツキャスターを務めるジム・ナンツに対し、「勝ったかどうかだけが問題なんだ。クレイジーな年だった。元気ある仲間がたくさん駆けつけてくれたみたいだね。本当に嘘みたいな話だよ。なんだかホームゲームみたいだった。ここにいるみんなのことが大好きだ。最高だった」とコメントしていた。

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