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イーグルスはタグを使用せず、史上最高の控えQBフォールズがFAに

2019年02月28日(木) 10:25

フィラデルフィア・イーグルスのニック・フォールズ【AP Photo/Ron Schwane】

ニック・フォールズが自由の身となる。

フィラデルフィア・イーグルスのフットボール運営部門副社長を務めるハウィー・ローズマンは現地27日(水)、記者にチームがクオーターバック(QB)フォールズに対してフランチャイズタグをつけない旨を伝えた。これにて第52回スーパーボウルのMVPがようやくフリーエージェント(FA)となる。

ローズマン副社長は「この問題については内部で、また、彼も一緒になって、議論にたくさんの時間を費やした。そして、われわれはニックをフリーエージェントにすると決めたんだ」と述べた。

また、ローズマン副社長によればフォールズに対する決定はチームが簡単に決めたわけではないといい、記者にこう明かしている。

「自分のチームにとって非常に有益で、最も重要なポジションに就く選手の時は難しい判断となる。また、われわれは彼がプレーした時に信じられないほどの成功を収めてきたこともある。ニックと共にチームがここ2年間を通じてプレーオフで4回も勝利した。ニックはすばらしいチームメイトであり、カーソン(ウェンツ)やネイト・サッドフェルドにとっても大きな存在だったはずだ」

「それでも、彼にはチームを引っ張っていく力もある。チームで先発することが彼のゴールであり、もう1つのチームでロッカールームを先導することが彼の目標でもある」

イーグルスのヘッドコーチ(HC)ダグ・ペダーソンはフォールズへの思いをこのように語っていた。

「ニックと私には長い歴史がある。当時の私はヘッドコーチの(アンディ)リードのスタッフとしてここフィリー(フィラデルフィア)におり、それはわれわれが彼をドラフトした時にまでさかのぼる。当然ながらチームはシーズン終了後にニックと会話をし、彼について自分がどのように思い、感じているかは知っているはずだ。だが、同時に、ここ2年間の彼は尋常でないほどチームに成功をもたらしてくれた。改めて言うことになるが、カーソンのようなケースにおいて、彼は必要不可欠なパズルの1ピースだった。ハウィーが言及したように、ニックには今、このリーグで先発となるためのチャンスが与えられる。彼なら充分うまくやれるはずだ。彼の未来にはワクワクしているよ」

ローズマン副社長はフォールズに関するトレード話には言及しなかった。

今回の話はイーグルスが今月初旬にフォールズの2,000万ドル(約22億円)のオプションを行使した結果、フォールズがこれを即座に破棄してFAとなる道を選択した後の出来事だった。イーグルスはフォールズにタグ付けし、最適な相手とのトレード要因として利用することもできたが、どうやら同組織がその戦略を採ることはなかったようだ。

30歳のフォールズは最高峰の肩書を持ったFA選手として市場に登場する。市場は来月13日(水)にオープンとなる予定だ。フォールズはQBポジションの未来が危うい状況にあるニューヨーク・ジャイアンツやワシントン・レッドスキンズといった、イーグルスの地区ライバルであるチームと契約を結ぶことも可能となる。

フォールズの移籍先候補にはその他にもジャクソンビル・ジャガーズやマイアミ・ドルフィンズの名前が挙げられている。ブレイク・ボートルスにもうじき見切りをつけるだろうと予想されるジャガーズは、フォールズの元QBコーチであるジョン・デフィリッポを攻撃コーディネーター(OC)として指名したばかりだ。一方のドルフィンズもまた、今オフシーズン中にライアン・タネヒルと袂(たもつ)を分かつだろうと予想されており、QBポジションの再建がうわさされている。デンバー・ブロンコスもまた、ボルティモア・レイブンズからジョー・フラッコを電撃トレードで獲得するまではその候補として名前が挙がっていたチームだ。

イーグルスでの2年間を通じてフォールズが何を成し遂げてきたかを改めておさらいしておこう。2017年シーズンのフォールズは故障したウェンツの代役としてシーズン第14週から先発を務め、イーグルスをスーパーボウル優勝にまで導き、自身はそのMVPまで受賞した。先シーズンのフォールズはウェンツが一連のリハビリを完全に終了させるまでの間は先発を務めていたものの、先発QBが万全の状態となってベンチに下がった。しかし、ウェンツが腰の負傷で再びサイドラインに戻ると、フォールズはシーズン終盤の3試合に先発し、ディビジョナルラウンドで敗戦を喫するまでの間、バックアップQBのフォールズはチームをポストシーズン進出へと導いた。

ここ2年を通じ、フォールズは先発したレギュラーシーズンの8試合中6試合で勝利を収め、パス成功率は66.9%、1,950ヤード、タッチダウン12回、インターセプト6回を記録し、第52回スーパーボウル制覇という偉業も達成してきた。

セントルイス・ラムズ時代の2015年に11試合に先発して以降、フォールズには本当の意味での先発の座は与えられてこなかった。

フォールズにとって2019年は潮目が変わる時だと言えよう。

【S】