トッテナムのハリー・ケイン、「10年後くらいにNFLのキッカーになりたい」
2019年03月28日(木) 12:58ハリー・ケインならば“フットボール”の扱い方をよく知っているはずだ。
トッテナム・ホットスパーのスター選手である英国出身のケインはトップクラスのストライカーとして世界的に知られている。2017年、ケインはリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドといった選手らをも凌ぐ欧州最高の56ゴール(全大会合計)を記録した。その翌年、クラブチームで輝き放ちながらもイングランド代表として6ゴールを決めたケインはチームをFIFAワールドカップの準決勝へと導き、英国出身のプレーヤーとしては1986年以来の快挙となるゴールデンブーツを受賞した。
しかしながら、ケインはもう1つのフットボール、“アメリカン”フットボールに対する情熱も持っているのだ。現地27日(水)、『ESPN』が組んだ特集の中で25歳のエースストライカーはいつの日か自身の足をNFLでのキックに使いたいとのコメントを残していた。
ケインはESPNのブルース・ショーエンフェルドに対し、「本当だよ。10年か12年くらいしたらね、本当に挑戦してみたいんだ」と明かした。
さらに、NFLへの愛がニューイングランド・ペイトリオッツのクオーターバック(QB)トム・ブレイディに対する尊敬から来ているとも述べたケインは、ドラフト6巡目指名という低評価を覆してスターダムへとのし上がったブレイディの姿や、そのハイライトを動画サイトの『YouTube(ユーチューブ)』を通じて見てきたという。
そういったケインの行動がNFLのキッカー(K)になりたいという願望の要素になってきたようだ。
ケインはこのようにも説明している。
「結局は一番になりたいっていう気持ちの話になるんだ。携帯でゲームをダウンロードしても、自分が世界一のアスリートとは言えないだろう?・・・(中略)プレミアリーグでプレーしてワールドカップにも出場し、そして、その後にNFLでプレーするとしよう。そうしたら、みんなも史上最高のスポーツマンの1人と認識してくれるんじゃないかな?」
実際、ケインは以前からNFLとの関わりを持ってきた。NFL関連動画に出演した経験や、第53回スーパーボウル後のパーティにブレイディのゲストとして参加したことに加え、所属するトッテナムの新スタジアムは今後10年間にかけて少なくとも1シーズンに最低2試合はNFLの試合を主催するという事実もあるのだ。
世界的に知られたサッカー界の名手が35歳を超えた頃からNFLのキッカーとして活躍するという話はどれだけ現実的なのだろうか。NFLにいるキッカーたちの多くにはサッカーのバックグラウンドを持つ者も多い。しかしながら、ほとんどはプロサッカー界でプレーした経験はなく、ましてや、その美しいフィールドを技術で支配した経験を持つキッカーはほぼゼロと言っていい。
おそらく、そのような選手として最も有名なのはトニ・フリッチュだろう。ラピード・ウィーンのストライカーとして1960年代にオーストリアンリーグで活躍したフリッチュはその後、米国に移住し、NFLのプレースキッカーとして活躍した。ルーキーシーズン(1971年)からダラス・カウボーイズで活躍し、スーパーボウル制覇まで経験したフリッチュは1979年にオールプロとプロボウルに選出されてもいる。フリッチュはUSFL(ユナイテッド・ステイツ・フットボール・リーグ)でのプレーを含め、40歳になるまでプロキッカーとして現役をまっとうした。
それゆえに、たとえ可能性は低いとしても、われわれはケインがNFLで劇的な“ゴール”を決めてくれる日が絶対に来ないとは言い切れないはずだ。
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