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レイダースがRBリンチとお別れ、リンチはそのまま引退へ

2019年04月25日(木) 13:28

オークランド・レイダースのマーショーン・リンチ【AP Photo/Matt Dunham】

マーショーン・リンチが再びフットボール用シューズを履くことはもうないのかもしれない。

リンチは自身の地元チームであるオークランド・レイダースでプレーするために2年前にNFL復帰を果たしていた。レイダースはそんなリンチと袂(たもと)を分かつ意向であり、一方のリンチには他チームでプレーするつもりはないようだ。これは現地24日(水)に『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地の情報筋の話を元に伝えたもの。この動きを最初に報じたのは『ESPN』だった。

ラポポートによると、レイダースはリンチに好意的であるものの、ヘッドコーチ(HC)ジョン・グルーデンはチームが33歳のRBから手を引くと明言したようだ。チームは25日から開催される2019年ドラフトの早期段階でRBを指名する予定だとラポポートは伝えている。プロスペクト内でトップRBと評されるジョシュ・ジェイコブスがレイダースの持つ全体20位指名権の対象になると予想されている。現在のレイダースには他にも全体24位と全体27位の指名権がある。

レイダースが前を向いて歩み出す一方、“ビースト・モード”のNFLキャリアは再び幕を閉じることとなる。

シアトル・シーホークスでの6シーズンを通じ、リンチは破壊力抜群のパワーランでタックルを試みてきた相手をなぎ倒し、チームのスーパーボウル出場にも大きく貢献した。実際に、この男が生み出した1プレーはファンを大興奮させ、彼らがジャンプを止めなかったために発生した人工的な揺れ、いわゆる“ビースト・クエイク”を起こした。この現象はNFL界で今後も語り継がれていくことだろう。

シーホークスのランファーストの攻撃をけん引したリンチはシアトルの地で4年連続1,200ヤードを駆け抜け、チームの職人としての立場を定義付けてもいた。メディアに対して果てしなく不愛想なリンチはまた、スーパーボウル出場時のインタビューで「自分がここにいるのは罰金を科されないため」というコメントを繰り返すなど、NFL界の中では伝説的なネタの提供者でもあった。

2016年はフィールドに登場しなかったリンチだが、2017年には地元のレイダースでNFL復帰を果たした。レイダース1年目のリンチはその充分な生産性を保持し、207回のキャリーで891ヤード(平均4.3ヤード)、タッチダウン7回を記録。このシーズンではリンチが攻撃の中心となった試合も何度か見られていた。

しかしながら、先シーズンは再び故障に苦しめられ、出場試合はわずか6試合で376ヤード(平均4.2ヤード)でタッチダウン3回を記録するにとどまっていた。

今オフシーズンを通してビースト・モードから手を引く雰囲気を醸し出していたものの、レイダースはいまだリンチの代わりに核となるRBを手に入れていない。アイザイア・クロウェルと契約を交わしたレイダースだが、クロウェルには堅実さはあれども華やかさはない。また、ジェイレン・リチャードやディアンドレ・ワシントンが復帰したものの、いずれもすべてのダウンをこなせるといった選手ではない。レイダースは今、来たるドラフトでデュアルスレットとなる若きRBを指名しようと試みている。

1巡目指名のトップRBだと考えられているアラバマ大学出身のジェイコブスであれば、ランとパスキャッチの両方をこなせる現代的なRBとしてフィットするだろう。

リンチは地元を拠点としていたチームがラスベガスへと完全に移転する直前までは現役を続けた。チームがRBポジションに関して先を見据える中、リンチがフットボールを再びプレーすることはないだろうが、オークランドに住む人々にとってこれからも良き人物であり続けることは間違いないだろう。

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