QBスタッフォードのトレード報道は100%間違いとライオンズGM
2020年02月14日(金) 10:11デトロイトにおけるクオーターバック(QB)マシュー・スタッフォードの未来はオフシーズンが始まって以来、次第に疑いが濃くなってきた。デトロイト・ライオンズが全体3位指名権を持っていることから、一部ではライオンズがこれまでの先発QBから離れるときが来たと考える人がいる。
現地12日(水)には、ここ2、3週間でスタッフォードをめぐるトレードトークがあったとデトロイトの『WDIV-TV』が報じていた。
それを素早く拒絶したのがライオンズだ。
ジェネラルマネジャー(GM)のボブ・クインは『Detroit Free Press(デトロイト・フリー・プレス)』のデイブ・バーケットに向けたテキストメッセージに「100%間違い!!」とつづった。
ダブルエクスクラメーションがついているあたりにむきになって否定しているような印象が否めないが、よく状況を考えればライオンズがスタッフォードをトレードに出すことにあまり意味はない。
スタッフォードと11シーズンを過ごし、プレーオフでは1勝にとどまっているライオンズの中で、おそらく次の時代に進むべきとの議論はあるのだろう。多くのベテランQBが市場に出てくる今オフシーズンだが、32歳のスタッフォードをオークションに出せば、それでも高値がつくと見込める。好条件のドラフトピックを手にし、新たなシグナルコーラーを選択するのも手だ。
スタッフォードのトレードにかかわる分析がここまでの段階であれば、確かにそこには十分意味があると言える。しかし、より掘り下げればスタッフォードがどこにも行かない理由が分かる。
まず一つ。“金の流れを追え”。いつでも、お金の流れだ。
12月にライオンズはスタッフォードの契約でシンプルな再構築を行った。ロースターボーナスをサインボーナスに変更したのだ。この動きによって、ライオンズは2020年に900万ドル(約9億9,000万円)分のキャップスペースを確保できる。しかしながら、スタッフォードが今年カット、もしくはトレードされた場合、ライオンズには3,200万ドル(約35億1,000万円)のデッドマネーが生じることになる。一方、デトロイトでプレーした場合のキャップヒットは2,130万ドル(約23億4,000万円)だ。そこに生じる1,070万ドルの差が、スタッフォードが負傷し、ドラフトの上位指名権を獲得することが分かっていたシーズン終盤にさえ、ライオンズがスタッフォードを自分たちのQBとして計画していたことを強調している。
次に考えるべきが、オーナーのマーサ・ファイアストーン・フォードがヘッドコーチ(HC)のマット・パトリシアやクインに、今勝てないのなら2021年は別の仕事を探すように命じていることだ。たとえ新しく輝かしいQBがライオンズをもっとおもしろいチームにしてくれるとしても、今季に勝利する可能性を最も高めるのはスタッフォードだろう。攻撃コーディネーター(OC)ダレル・ベベルの元、背中を負傷するまでのスタッフォードが近年でベストのパフォーマンスを発揮していたことを合わせ、ライオンズがベテランQBと共に勝利できると考える理由は見えてくるはずだ。
さらに、どのQBを彼らが求めているかという問題もある。それがアラバマ大学のトゥア・タゴヴァイロアであれば、臀部の負傷からの回復を1年待つ必要があるかもしれない。その場合、トゥアを選択したとしてもライオンズが高価な1年のチューターとしてスタッフォードをとどめることに意味はある。また、ライオンズが有しているのが全体3位指名権であることを踏まえれば、ドラフトが来る前にスタッフォードのトレードに動けば、他にQBを必要としているチーム(たくさんある)がワシントン・レッドスキンズと交渉して全体2位にトレードアップする可能性がある。
雪のデトロイトに住むケリー夫人がロサンゼルスへの引っ越しを思い描くことはあるかもしれない。しかし、歴史的にQBを動かして失敗してきた経緯のあるライオンズにとって、スタッフォードファミリーをトレードしないことに意義があると考えるべき理由は多い。
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