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ブレイディ、「ペイトリオッツには尊敬と愛情しかない」

2020年03月25日(水) 22:35

ニューイングランド・ペイトリオッツのトム・ブレイディ【Aaron M. Sprecher via AP】

すでにタンパベイ・バッカニアーズの一員となったトム・ブレイディだが、ニューイングランド・ペイトリオッツに関する質問がやむことはない――少なくとも今は。

現地24日(火)、バッカニアーズとの2年契約にサインしてから初めてブレイディが電話会見で口を開き、そこでは彼の新しいチーム関連と同じくらい、前チームに関する質問が多く投げ掛けられた。最大のテーマは、なぜ今ペイトリオッツを去るのか、そして、この離別を防ぐために誰かが何かできなかったのかということだ。

予想通りではあるが、ブレイディはデビューから20シーズンを過ごし、6度のスーパーボウル制覇を成し遂げたペイトリオッツでの輝かしい日々を振り返るにとどめ、質問の答えを与えようとはしなかった。ブレイディ自身が望めば今もペイトリオッツにいただろうというペイトリオッツオーナー、ロバート・クラフトの最近のコメントにも動揺することなく、彼は前を向き、感謝の言葉を口にしている。

「他の人の発言について責任を負う立場にはない」とブレイディは述べた。「クラフト氏は僕の人生に大きな影響を与えてくれた。この20年にとても感謝しているし、先日も述べた通り、僕の家族にとって素晴らしい日々だった。いつかプレーをやめる時が来たら、過去を振り返って、自分のキャリア全体をきちんと評価する機会が来るだろう」

「同時に、僕は今与えられたこの機会にワクワクしているんだ。僕には自分の気持ちを話すことしかできない。それについては先日のソーシャルメディアの投稿で書いた。フリーエージェント(FA)になり、バックスの一員になる機会を得て僕はすごく興奮したんだ。それでこういうことになっている」

ペイトリオッツについての質問は1つ2つでは終わらない。ブレイディは繰り返し、世間の目の届かぬところで進行したチーム離脱の背景について追及を受けた。それでも彼は態度を変えず、2001年に自分を起用してくれたクラフトオーナーとヘッドコーチ(HC)のベル・ベリチックに対し、“心からの尊敬と愛情”を感じていると述べた。

ブレイディはペイトリオッツを去る寂しさを隠そうとはしなかったが、声のトーンにそれを表すことはなかった。それは『USA Today(USAトゥデイ)』のジャレット・ベルから、子ども時代の憧れの選手、ジョー・モンタナの名前が出た時も変わらなかった。モンタナはサンフランシスコ・49ersからカンザスシティ・チーフスに行き、そこでキャリアを終えている――ブレイディと重なる部分は多い。

ブレイディもかつてのモンタナと同じように、最初のチームを去り、キャリア終盤になってプレーを続ける新天地を求めたことになる。

「キャンドルスティック・パークでのジョーの最後の試合、僕はあの場にいたんだ」とブレイディは振り返った。「実際に会場へ行って、友達と一緒に見た。決して忘れないよ。彼は素晴らしい選手だった。彼とスティーブ・ヤングは僕の子ども時代の憧れのクオーターバック(QB)だった。思うに、人生ってのは誰にとっても変わり続けるものだ。僕はフットボールを続けてチームを率いるという自分の大好きなことをする機会を与えられた。子どもの頃からこのスポーツが大好きだった。キャンドルスティックの駐車場でボールを投げていた頃からずっと。今でも大好きだ」

「厳しいトレーニングをしているよ。可能な限り自分の体をいい状態に保とうとしている。メンタル的にはシャープでいたい。でも、今年は学習面で違うチャレンジになる。それでも精いっぱいにできることを全てやるつもりだ」

モンタナはチーフスをポストシーズンに2度導いており、1993年にAFCチャンピオンシップゲームに到達後、1994年の終わりにワイルドカードで敗れて引退した。バッカニアーズと2年契約を結んだブレイディも同様の道をたどろうとしているように見える。

どのような結末を迎えるかはまだこれからだ。ブレイディは自身の粘り強いトレーニングや入念な準備に新しいチームメイトたちがついてくることの重要性に言及した。そして最後にもう一度ニューイングランドでの年月を振り返ると、やはり出てきたのは共に戦ってきた人々への思いだった。

「本当に尊敬の念でいっぱいだ。僕より大きなペイトリオッツファンはいないよ」とブレイディは述べた。「だから、完全な尊敬と愛情以外に何もない。クラフト氏と経営陣、ベリチックコーチと全てのコーチたち、そしてもちろん、チームメイトたち全員。この何日かチームメイトたち、元チームメイトたち、僕が長年の間に出会ってきた多くの素晴らしい人々からありがたいメッセージが届いていて、返事を送っていた」

「このたくさんの素晴らしい関係はこれからも続いていく。フットボールが与えてくれた最も素晴らしいギフトは、一緒に仕事をした本当にたくさんの人々と築いた関係だと思う。確かに大きく変わるけど、人生には時としてそういうことがある。変わらないのは僕の試合へのアプローチ、自分の役割や責任へのアプローチだ。常にベストを尽くし、僕たちのチームを勝てる位置に導いてみせる」

【M】