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ブレーン総出でパンサーズからQBを奪ったセインツHCペイトン

2020年05月02日(土) 01:06

2020年ドラフト【NFL】

良いものは多いに越したことはないとたいていの人は主張する。NFC南地区の2つのライバルチームの間で、このイデオロギーが2020年NFLドラフトの中で強い力を発揮した。

ドラフトを前に、ニューオーリンズ・セインツとカロライナ・パンサーズは最も重要なポジションに入る手堅い選手をすでに持っていた。しかし、それでも両者はもう1人、クオーターバック(QB)を加えようと貪欲だった。事実、彼らのウォールームはそのために白熱し、同じ選手をめぐる頭脳戦が展開されることに。標的はミシシッピ州立大学のトミー・スティーブンスだった。

「(パンサーズは)もう彼とサインを交わした気分で、契約を終えたつもりになっていた」とセインツのアシスタントジェネラルマネジャー(GM)ジェフ・アイルランドが現地4月27日(月)にチームの公式ポッドキャストに語った言葉を『The Athletic(ジ・アスレチック)』のジェフ・ダンカンが伝えている。「(スティーブンスの代理人バディ・ベイカーは)われわれとあまり話してくれなかったので、だったら彼らから取ってしまおうと考えたんだ。私もショーン(ペイトン)も熱くなっていて、“この選手がどうしても欲しい。他の誰かに取られてたまるか”と必死だった」

2日目までの指名を終え、6巡目も終わってあとはドラフト外フリーエージェント(UDFA)のプールでダイヤモンドの原石を探すばかりと考えていたセインツの前に突如現れたのが196cm、108kgのスティーブンスだった。

実はセインツの他にパンサーズも彼を狙っていた。しかし、攻撃コーディネーター(OC)のジョー・ブレイディは守備の選手に指名権を使い果たしていたため、彼がこのまま指名されずに残ることを祈るしかなかった。

UDFAになるのはほぼ確実とみたスティーブンスと彼の代理人は、ドラフトが終わる前にパンサーズと交渉を始めていたという。ダンカンによると彼らは1万5,000ドル(約160万円)の契約金と3万ドル(約320万円)のサラリーを保証する契約をオファーしたという。ペイトンはそれを許さなかった。

オファーを知ったセインツは同条件を約束した上で、スティーブンスに“君は2代目テイサム・ヒルになれる”と甘い言葉をささやきかけた。だが、スティーブンス陣営は動かなかった。そこで保証額を14万4,000ドル(約1,500万円)に引き上げて再度オファーしたにもかかわらず、“またご連絡します”と冷たくあしらわれたペイトンはもはや負けられなくなっていた。

ペイトンいわく、スティーブンスの獲得はもはや“私のプロジェクト”になっていたという。彼はセインツのブレーンを総動員して電話をかけさせ、トレードで7巡目の指名権を確保させた。

応じても良いと返答してきたチームは2つ――全体244位の指名権を持つミネソタ・バイキングスと全体240位のヒューストン・テキサンズだった。彼らはテキサンズを選んだ。代わりに2021年の6巡目を差し出し、見事、目標を達成した。スティーブンスを手に入れたペイトンは2つの勝利のメッセージを送ったという。ダンカンによると1つはブレイディ宛てで、“遅いね”というもの。もう1つはスティーブンスとベイカーに向けて、「伺いを立てるのはもう飽きた。だから、奪うことにしたよ」というものだった。

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