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ブロンコスHCファンジオ、NFLに人種差別はないという発言を反省

2020年06月04日(木) 18:24

デンバー・ブロンコスのビック・ファンジオ【AP Photo/David Zalubowski】

デンバー・ブロンコスのヘッドコーチ(HC)であるビック・ファンジオは現地3日(水)、前日に選手による積極行動主義の進展についての質問に答える中で行った「NFLの中に差別は一切見られない」という発言に対して謝罪した。

「昨日のコメントを振り返り、けさ選手たちの話を聞いて、NFLでの人種差別や差別についての発言は間違っていたことに気づいた」とチームから発表された声明の中でファンジオは述べている。「NFLで過ごしてきたこの33年間、私は個人的にそのようなひどいことを直接経験したことはないが、多くの選手、コーチ、そしてスタッフが違う視点を持っていることが分かった。もっと明確にすべきだったと反省している」

「昨日伝えたかったのは、私が入ったことのあるロッカールームやコーチをしているフィールド上では肌の色による差別はないということだ。残念ながら、われわれはそのような領域だけで生きたり働いたりしているわけではない。その線の外では――NFLでも社会の中でも――多様性の面や役員会の中でマイノリティに機会を提供することにおいて、やるべきことはまだたくさんある」

「HCとして、選手たちの話を前向きに聞き――個人としても集団としても――サポートし、手を取り合って意味のある変化を起こしたい」

火曜日のファンジオのコメントは広く批判され、昨季ファンジオが指揮するデンバーでプレーしていた元ブロンコスのコーナーバック(CB)クリス・ハリスの注意をひいた。ハリスはファンジオの発言について書かれた記事に対して「混乱しているよ(笑)」と『Twitter(ツイッター)』につづっている。

これは、先週にミネアポリスの警察官によって命を奪われたジョージ・フロイドさんの死を受けてアメリカ各地で抗議行動が起きて以来、ファンジオが最初に臨んだ記者会見でのコメントだった。

選手の積極行動主義の発展について聞かれた際、「正直あまり変わったとは思えない」とファンジオは答えていた。

「大きな変化は目にしていないが、それ以外には――悪い意味で言っているわけではないが、とにかく何かものすごい変化があったとは思えない。その辺りの問題については、NFL内では最小限にとどまっていると思う。実力主義のリーグだからね。自分で勝ち取ったものを手にし、手にしたものは自分が勝ち取ったものだ。NFLの中で人種差別は一切ない。他の差別もない。われわれはとてもいい雰囲気の中で過ごしている。先ほども言ったように、われわれは運がいい。共通の目的のために一丸となり生活し、全員が混ざり合って多くの交流を持つ。社会がNFLのチームを反映していたら、皆どれだけ素晴らしくなれることか」

殿堂入りを果たしているHCのトニー・ダンジーは水曜日の朝、『ESPN Radio(ESPNラジオ)』に出演し、ファンジオのコメントについて、フィールド上ではリーグが実力主義である点には同意するが、まだ問題があるのも確かだと話した。

『ESPN.com』によれば、ダンジーは「人種差別はなく、問題はないと発言するのは状況を理解していないと私は思う」と語っている。「リーグ内に占めるアフリカ系アメリカ人選手の割合は70%から75%であるにもかかわらず、チームの会長になっている黒人はいなく、ジェネラルマネジャー(GM)も数名しかいない。いい環境ではあるが、完全な実力主義とは言えない。この国についても同じことが言えるだろう」

ファンジオは火曜日の記者会見の冒頭でフロイドさんの死について触れた。

「手錠をはめ仰向けになったジョージ・フロイドさんの上に警察官が乗り、死に至らしめたところを見たときはショックを受け、悲しみと怒りを覚えた」とファンジオは述べた。「ミネアポリスの元警察官デレック・ショービンは、バッジと制服に課せられた責任を果たさなかったことで反逆罪に問われることに加え、彼が告発された犯罪の法の最大限の範囲で処罰されるべきだ。これは全員で参加して正さなければならない社会問題だ」

ブロンコスは火曜日のバーチャルミーティングでフロイド氏が亡くなったこととそれを受けてアメリカ全土に広がる抗議運動について話し合った。チームの会長兼CEOであるジョー・エリスはチーム全体、コーチングスタッフ、フットボール界のリーダーたちに直接訴えかけ、ファンジオとGMのジョン・エルウェイも同席している。

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