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国旗への敬意についての発言で批判を浴びたセインツQBブリーズ

2020年06月04日(木) 18:10

ニューオーリンズ・セインツのドリュー・ブリーズ【AP Photo/Bill Feig】

ニューオーリンズ・セインツのクオーターバック(QB)ドリュー・ブリーズは現地3日(水)、『Yahoo Finance(ヤフー・ファイナンス)』とのインタビューで“アメリカの、僕らの国の国旗に敬意を払わない人には、誰であれ決して賛成できない”と語り、激しい批判を浴びた。後にブリーズはその意図の説明を試みている。

ブリーズのコメントは、今季に警察官の暴行と人種的な不公平への抗議として国歌演奏中に選手が膝をつくという状況が起こった際、NFLはいかに対応すべきか、そして、こういった時期にリーダーであることに対する自分の責任は何かと問われた際のものだ。

このコメントは先週にミネアポリスの警察官の手によってジョージ・フロイドさんが殺害されたのを受け、現地水曜日の朝にブリーズが『Instagram(インスタグラム)』で団結を呼びかけて以降で初めてなされたものだった。

ブリーズは「アメリカの、僕ら国の国旗に敬意を払わない人には、誰であれ賛成できない」と述べ、次のように続けた。

「国歌が演奏されているときや、アメリカの国旗を見るときに僕が見ているもの、感じているものについて話させてほしい。僕は第2次世界大戦でこの国のために戦った2人の祖父を思い描いている。一人は陸軍で、一人は海兵隊で。2人とも自分の命を賭してこの国を守り、僕らの国とこの世界をより良い場所にしようとした。だから、僕はいつも胸に手を置いて立ち、国旗を見つめて国歌を歌う。それが僕の考えていることだ。そしてそうすることで、多くの場合、犠牲になったすべての人々を思って涙が出る。軍隊にいた人だけじゃなく、もっと言えば1960年代の公民権運動で犠牲になった人々や、今このときまで本当に多くの人々が耐えしのんできたことを思って。では、今の僕らの国は何もかもが正しいか? いや、そうじゃない。まだ先は長いんだ。それでもそこに立って胸に手を置いて国旗に敬意を示すことで僕らがしているのは、団結を表すことと思う。僕らは全員が共にあり、もっとうまくやることができ、全員が解決の一部だということを示すんだ」

このコメントに対して即座に批判を浴びたブリーズは『ESPN』とのインタビューで説明を試みた。

ブリーズはESPNのインタビューで、自身の発言とソーシャルメディア上のメッセージの間で“矛盾があると受け取られていること”についてや、それが人種間の不平等の撤廃を目的とする『Players Coalition(選手連合)』のリーダーであるマルコム・ジェンキンスやデマリオ・デービスらのいるロッカールームに分断が生じさせないかについて問われ、次のように答えている。

「僕はチームメイトたちを愛し、尊敬していて、人種的な平等性や公正さのための戦いにおいて彼らを支持している。そして、この国のために命を危険にさらした祖父たちや、それを日常的にやっているそのほかの数えきれないほどの男女の兵士たちも支持しているんだ」

最も鋭い批判のいくつかは、このオフシーズンにニューオーリンズ・セインツと契約を結び、2009年から2013年もブリーズのチームメイトだったジェンキンスが行ったものだった。

ジェンキンスはインスタグラムの『IGTV』に4分20秒の動画を投稿し、ブリーズを直接名指しして批判している。

「ドリュー・ブリーズ、もしもあなたが自分のコメントがどれほど人を傷つけ、心ないものなのか分からないのなら、あなたも問題の一部だ」とジェンキンスは高ぶる気持ちを抑えながら語った。

「あなたの祖父がこの国のために働いて、あなたが国旗に大きな敬意を払っているから、誰もがあなたと同じ理想と考えを持つと考えるのはばかげているし、それはあなたが歴史を知らないということだ。なぜなら、俺たちの祖父がこの国のために戦い、務め、帰ってきたとき、彼らはヒーローとして迎えられたわけじゃなかった。彼らは戻ってきて、軍服を着ていることを攻撃された。彼らは人々の元に、人種差別に、完全な暴力の元に戻ってきたんだ」

「そして、今僕らは燃え上がる世界にいて、あなたは俺たち全員の目の前で一人の男性が警察官によって殺害され、それは何世紀も続いていることだと認識もしないで、自分のしていることや考えと合わないという理由で、俺たちがいかに平和的に抗議しているかに対して批判を続けている。それはあなたがすべてのゲームで一緒にハドルブレイクしているのと同じ兄弟なんだ。あなたが毎日互いに血を流して戦い、破壊されたコミュニティへ帰っていくのと同じやつらなんだ。ドリュー、残念だ・・・残念だよ、あなたが彼らの名誉を理解しない人間であるなんて」

この動画のキャプションでは投稿する前にブリーズがジェンキンスに連絡を取ってきたことに触れられているが、ジェンキンスは「これらの言葉と行動が、自分たちが助けたいと思っている人たちにいかに影響するかを知る協力者だと自分自身をみなすことを望む人にとってなら、誰にでも重要」との考えから動画を投稿したという。

ESPNによれば、ブリーズは以前のインスタグラムへの投稿内容に触れ、自身の行動が重要だと訴えている。

「僕は国歌には全員が立つべきだと考えているし、僕たちの国や、自由のために犠牲になってきた人々全員に敬意を払うべきだと考えている」とブリーズは『ESPN』の記者へのテキストメッセージにつづった。

「それには1920年代に婦人参政権を求めた人たちや、公民権運動のために歩んだ人々、そして、今も人種的平等を求め続けている人たちが含まれている。僕らの全員・・・“全員”が国旗によって象徴されているんだ。同じように僕はこの国のすべての市民を尊重している。人種や肌の色、宗教を問わずにだ」

「そして、僕の発言で問題があった人には、僕がこの人生を歩んできたさまをどうか見てほしい。僕はこの世界をより良い場所にし、公正さと平等性、そして希望と機会を持たない人々にそれをもたらすために、自分の最大限のベストを尽くしていない人間として思い浮かぶだろうか? それが、行動は言葉より声高に物語ると言った理由だ。僕の“行動”そのものが物語っているんだ」

ブリーズは新型コロナウイルスのパンデミックの初期段階だった3月に、ルイジアナ州で食事を必要としている人を助けるために500万ドル(約54億5,000万円)を寄付していた。

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