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個人的な人種差別体験を明かしたシーホークスQBウィルソン

2020年06月05日(金) 18:09

シアトル・シーホークスのラッセル・ウィルソン【AP Photo/Mike Roemer】

シアトル・シーホークスのクオーターバック(QB)、ラッセル・ウィルソンは現地3日(水)、メディアとの会議中にフットボールの話はせず、人種差別的な不正に対して声をあげる重要性に比べたら「そんなことはどうでもいい」と述べた。

『ESPN』によれば、「“Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)”について考えた時、それは本当に大切なんだ」とウィルソンは話している。「俺たち黒人にとって、路上で殺される、銃殺される、それが現実だ。他の人種はそうじゃないことも分かっている。こういう扱いを受けるのは黒人のコミュニティーだけなんだ。子どもたちやまだお腹の中にいる息子のことを思いながら、いま目の前で起きていることを見ると唖然とするばかりだよ。だから今は心が重くてたまらない」

アメリカ全土に広がる警察官の暴力や組織的な人種差別に対する抗議運動を巻き起こしたミネソタ州のジョージ・フロイドさんの死以来、はじめて口を開いたウィルソンは個人的に体験した人種差別について語った。

「アメリカで黒人であるということは本物だ」とウィルソンは言う。「その歴史、苦しみ、という意味で本物なんだ。自分の家族にとっても個人的にも」

31歳のQBは、2014年にカリフォルニアで――シアトル・シーホークスがスーパーボウルを優勝してしばらくたったころ――朝食のために並んでいた際、年上の白人男性に「それは君のためのものではないよ」と言われた、と話す。

「俺は“え? なんですか?”って言ったよ。最初は冗談かと思ったから」とウィルソンは振り返る。「その時は背中を向けていた。スーパーボウルが終わったばかりで、だからああいうふうに話しかけられたら、別の状況や違う意図を考える。その瞬間、若いころに戻った気分だった。ポケットに手を入れているだけで何か言われるような、そういう経験。俺にとっては重い瞬間だった。西海岸にいるのに、本当に今もこういうことが現実なのかよ、と思った。これが今の本当の現実なんだ」

「すごく傷ついたよ。でもそんな中でも俺は分かったんだ――そしていつも父親が俺に教えてくれていた――その場で反撃してはいけないと。反撃したら取り返しのつかないことになる。だから“失礼ですが、そのような話し方をされて気分が悪いです”と言ったら、その男性は何も言わずに立ち去ったんだ。こんな些細なことでも、その時は大事にならなかったけど、もしなっていたら? そこが悲しいところだよ。俺たちが話していることは」

確実な進歩のためには警察署や政府、社会全体で大規模な変化が必要だとウィルソンは話した。

「すべての警察官が悪いわけではないけど、現実的にはプロセスが必要だ――常にバックグランドチェックをする――最初に採用した時だけでなく、働いている間もずっと」とウィルソンは言う。「変えなければならないことがたくさんある」

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