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頂点に向かってマニング兄弟の足跡を追いたいQBジャクソン

2020年06月08日(月) 15:47

ボルティモア・レイブンズのラマー・ジャクソン【AP Photo/Chris O' Meara】

わずか2シーズンを送っただけですでに輝かしいキャリアを築いているボルティモア・レイブンズのクオーターバック(QB)ラマー・ジャクソンは、これまで達成されていなかったことを成し遂げて過去から現在におよぶベストQBの一人として身を立てた。

今、ジャクソンは――そしてレイブンズも――ペイトン・マニングやイーライ・マニングといった卓越したQBと並び立つことを望んでいる。

先例のないほど壮麗な数字をたたき出すジャクソンだが、それがかえってプレーオフのスターターとしては0勝2敗という記録を目立たせている。

ジャクソンとレイブンズにとっては、最終的な目標を達する上で決して幸先の良くないスタートだ。

1950年以降、31人のQBがプレーオフ先発デビューから2試合を0勝2敗で終えており、そこからスーパーボウル制覇まで行きついたのはペイトン・マニングとイーライ・マニングのみだと『NFL Research(NFLリサーチ)』が伝えている。

トップシードだったレイブンズがAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)のディビジョナルラウンドでテネシー・タイタンズに驚きの敗戦を喫したのを受け、これがレイブンズとジャクソンにとって不安要素になっている

レギュラーシーズンの先発QBとして19勝3敗という見事な記録を誇っている一方、ポストシーズンの0勝2敗という苦戦ぶりはジャクソンの2シーズンに影を落としている。

22試合と2試合を比較するのはやや極端だが、食い違っている部分が多いのも事実だ。レイブンズ攻撃陣はジャクソンが率いるレギュラーシーズンで試合平均30.7ポイントを稼いだのに対し、プレーオフの敗戦2試合では14.5ポイントにとどまっていた。ジャクソンの下でレギュラーシーズンに1試合平均1度しかギブアウェイのなかったレイブンズだが、プレーオフの平均ターンオーバーは3回だった。

2019年のNFLハイであるタッチダウンパス36回を投じたジャクソンは、1,206ラッシングヤードで1シーズンあたりのQB記録も打ち立てた。わずか2年目にして、ジャクソンはこれまでに他のQBが築いたことのなかった数字を積み上げたのだ。

ジャクソンの1シーズン記録(NFL Researchによる)
・1シーズンに3,000パッシングヤード以上、1,000ラッシングヤード以上の両方を記録した初めての選手
・1シーズンにパサーレーティング100以上および1,000ラッシングヤード以上を記録した初めての選手
・1シーズンに試合平均200パッシングヤード以上、および試合平均60ラッシングヤード以上を記録した初めての選手
・1シーズンに100ラッシングヤード以上を5回達成した初めてのQB

ジャクソンは2018年に将来性を見せた。

2019年には目を見張るような活躍をした。

そして、いずれのシーズンも同じ結末を迎えている。

それでも、ペイトン・マニングは最初の3回のプレーオフ進出を0勝3敗に終え、その後スーパーボウルで2度勝利している。ポストシーズンを0勝2敗で始めた弟イーライと同じように。

前に進んで行くにあたり、1シーズン前には決まって力不足なところを見せてきた相手ディフェンスたちは、この類まれな才能に追いつき、スローダウンさせようと狙ってくるだろう。また、ヘッドコーチ(HC)ジョン・ハーボーがすでに指摘するように、レイブンズが昨年のように予想外の存在として誰かを驚かせることはもうないだろう。

ただ、プレーオフでの最初の2回の先発を0勝2敗でスタートしてスーパーボウルで複数回勝利したQBはマニング兄弟のみだが、これまでに5人の選手(すべてQB)がMVPになった次の年にスーパーボウルで勝利している。

最近でそれを実行したのはトム・ブレイディ(2017年MVP)とパトリック・マホームズ(2018年MVP)だ。したがって、歴史的には2019年MVPのジャクソンに追い風が吹いていると言えるかもしれない。

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