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タイタンズは「ゴミくずのように」トレードしたとDEケーシー

2020年06月09日(火) 23:08

ジャーレル・ケーシー【AP Photo/Ed Zurga】

1月下旬、ディフェンシブエンド(DE)のジャーレル・ケーシーは『ESPN』の番組、”Wide World of Sports(ワイド・ワールド・オブ・スポーツ)”の複合施設にあるいくつものフィールドの一つに立ち、自分のいるテネシー・タイタンズの将来について熱く語った。

それからわずか2カ月後、彼はデンバー・ブロンコスにトレードされる。

テネシーディフェンス陣の主力ベテラン選手として、クオーターバック(QB)のライアン・タネヒルやランニングバック(RB)のデリック・ヘンリーら要となる選手をチームがキープできることに望みをかけていたところから、必要なキャップスペースを空けるためにトレードの駆け引き材料として使われたことについて、ケーシーは自身の扱い方を不満に思っている。ニューイングランド・ペイトリオッツでプレーするマコーティー兄弟の『Podcast(ポッドキャスト)』番組、”Double Coverage(ダブル・カバレッジ)”に出演したケーシーはその不満を遠慮なくぶちまけた。

「なにが一番頭にくるかって、どれだけチームに貢献してきたかってことだ」とケーシーは語った。「特にフリーエージェント(FA)になって、他のチームにいく機会もある中で。俺たち(ケーシーとジェイソン・マコーティー)がいて、2勝14敗、3勝13敗だったときは本当につらい時期だったけど、それでもチームに残った。自分が忠実な男で、物事が正しい方向に向かっていると感じて、自分がその中心になっているとき、戦い抜く以外の選択肢はないわけだよ。とにかく頑張れば良くなるっていうマインドセットで俺はずっといたんだ」

「俺たちがそこに到達するため、より良くなるために、そして俺はその主力になるためにやってきたのに、まるで俺がその中心にいなかったかのようにいきなりゴミ箱にポイさ。その前の年はけがから復帰したばかりだったけど、彼らのためにシーズンを通してプレーした。一言も文句を言わなかった。彼らの期待にすべて応えたのに、ゴミくずのような扱いだ。結局のところ、こういうビジネスに忠誠なんてものはない」

まだ癒えていない心の傷がケーシーの言葉に表れている。タイタンズ――3月までケーシーが9年間の全キャリアをささげてきたチーム――が安定して優勝争いに絡めるチームになってきたところで彼をトレードしたという事実が、この30歳をいまだに苦しめている。

1月の時点で、ケーシーはタイタンズの今後数年間のチャンスについて完全に肯定的だった。財政面からすると、彼が処分されたことはまったく驚きではない。ケーシーの契約は、2020年には1,200万ドル弱(約13億円)、2021年には1,200万ドル強、そして32歳のシーズンである2022年には1,400万ドル(約15億1,000万円)近くのキャップヒットがある。2020年以降はデッドキャップが発生しないため、近い将来、彼がトレードや放出によってキャップの犠牲者になる可能性が高いことは予想された。

だが、その近い将来がこんなに目先のことだとは誰も思っていなかっただろう。ブロンコスのジェネラルマネージャー(GM)であるジョン・エルウェイは3月下旬、この取引――ブロンコスは7巡目の指名権だけでプロボウル5度出場の選手獲得――を“盗み”と呼んだ。けがからの復帰直後とはいえ、ケーシーは明らかにまだ生産性の高い選手だった。

平等性を保つために設けられたサラリーキャップのもとでプレーしている以上、それは仕方のないことだ。財政的な決断を迫られる中でいい選手を維持できる期間は限られている。残念ながらケーシーは、このことをじかに体験することになってしまった。

「誰か一人でも俺に話してくれると思ったのに、そうならなかったことがショックだった」とケーシーは話す。「一番傷ついたのは、トレードが成立する30秒くらい前まで連絡がなかったことだよ。その後の3、4日は妻の前でも涙があふれてくることが何度かあった」

【R】