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「ひざまずくことを決めた」とカーディナルスQBマレー

2020年06月18日(木) 22:52


アリゾナ・カーディナルスのカイラー・マレー【AP Photo/Ross D. Franklin】

アメリカ国内で巻き起こっている社会正義を求めるための抗議の波は、今が語るだけでなく、実際に変化する時であることを示した。オフェンシブ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーのカイラー・マレーはそう強く信じている。

多くのNFL選手にとって、アメリカにおけるアフリカ系アメリカ人の窮境を正すための行動といえば、2016年に社会的不公正と警察の蛮行への抗議として、国歌演奏中に平和的にひざまずいたコリン・キャパニックが思い出される。彼のこの行為は当時国内で大きな波紋を広げ、対立を呼んだ。復帰のうわさを中心にキャパニックの名前が再び取り上げられる中、アリゾナ・カーディナルス2年目のクオーターバック(QB)マレーは来るシーズンでキャパニックに倣い、自分も意思表示をすると宣言した。

「ああ、俺は膝をつくよ。正しいことを支持する。それが何より重要なんだ」と現地17日(水)、電話会見でマレーは述べた。「俺は自分の見た通りに受け止めるし、今起きていることは完全に間違っている。だから、そう、俺はひざまずくことを決めた」

近年多く見られるように、こうした組織的人種差別と戦う声や活動は支持者の多さに関係なく、ソーシャルメディアによって大きく、広く世界に届くようになった。NFL屈指の才能を持つマレーのプラットフォームは今後も成長し続けるだろうが、若きスターは不正を非難する行為は有色人種である自分のアイデンティティーの延長であって、アスリートであることとは関係ないという。彼は他者にも同様に声を上げるよう促す。

「アメリカに住む黒人として、俺は間違っていることは間違っていると言う。個人的には、みんながお互いに責任を持つべきなんだと思うよ」と彼は述べた。「俺の場合は特に、もし周りに白人の友達がいて、同じように感じられなかったり、今の出来事を理解できなったりしたら、それを教える責任が俺にはあると思う。黒人と同じく、ヒスパニックとかどんな民族であっても、友達に人種差別主義者がいたら、それを直ちにやめさせて、なぜそれが良くないのか、彼らの考え方の何がおかしいのかを教える責任がある」

「目を開かせるんだ。そして、彼らの思考プロセスの何が間違っているのかを分かってもらうようにする。だって俺たちはみんな人間なんだから、平等に扱われるべきだよ。どうしてかという議論はよく分からない。俺には理解できないけど、それが現実なんだし、それを正そうとしている」

カーディナルスはこの問題により深く関わっているクラブの1つだ。彼らはかつて奴隷解放宣言が出された6月19日を永久に社内の休日とすることを決めた企業リストに名を連ねた。

マレーにとってはこれが後押しになったようだ。

「これは本当に深刻だ。軽く受け止めるような話じゃない。世界は今、本気で変わろうとしているように感じる」とマレーは述べた。「もうどっちつかずは許されない。“あー”とか“でも”でごまかしちゃいけないんだ。正しいことは正しい。おかしいことはおかしい。みんなで呼び掛けることが必要だと思う――仕事の分野でもね。俺が今まで関わってきた全ての偉大なチームは、間違ったことをしている人がいればそれを指摘し、教える。そうしてお互いに責任を果たしている。悪い感情はない。全ては愛情があるからなんだ」

「俺たちはみんな1つのゴールを目指している。世界はそうあるべきだと思う。遠回しに言ったって、問題を引き起こすだけ。言ったように、俺は正しいものを支持するし、チームのみんなは世界で起きていることの重大さを理解していると思う。他のみんなもそうなってくれたらいい。俺たちはチームとして、同じページにいる気がしている」

【M】