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ベリチックHCにQBニュートンを推していたパンサーズOCターナー

2020年06月30日(火) 17:23

カロライナ・パンサーズのキャム・ニュートン【AP Photo/Mike McCarn】

クオーターバック(QB)キャム・ニュートンのニューイングランド・ペイトリオッツ加入に対するすべての分析は壮大な“If(もしも)”で包まれている。そこに内包される可能性と期待はあまりに大きく、今にも張り裂けそうな勢いだ。

もしもキャム・ニュートンが健康なら。もしも。

もしもニュートンが健康なら、QBジャレット・スティッドハムとのQB争いは争いにすらならない。もしもニュートンが健康なら、ペイトリオッツは常勝軍団のままでいられる。もしもニュートンが健康なら、柔軟性のインストラクターとしても知られ、不動の地位を占めた偉大なQBの存在によりここ何年も発揮されることのなかった攻撃コーディネーター(OC)ジョシュ・マクダニエルズの創造力が開花するかもしれない。もしも・・・もしも・・・もしも・・・

ソーシャルメディアへの投稿を見る限りニュートンは健康そうで、足も肩も2020年シーズンに向けて問題ないと主張している。

カロライナ・パンサーズでニュートンを最後に指揮したOCのノーブ・ターナーは、ニュートンとペイトリオッツの組み合わせはリーグの中で秀でる可能性があると考えている。今オフシーズン初めにペイトリオッツのヘッドコーチ(HC)ビル・ベリチックと話し、ニュートンを絶賛したとターナーは『Sports Illustrated(スポーツ・イラストレイテッド)』のアルバート・ブリールに伝えている。

「私がとにかく言いたいのは、キャムがパンサーズにいた時(2018年)は6勝2敗だったということだ」とターナーは話した。「ビデオを見れば絶好調だったことは一目瞭然だよ。彼の問題は何より健康状態であって、私が知る限りで彼が乗り越えられない健康面での問題はない。彼は必要な休みをとった。これからはいい仕事をしてくれるはずだ」

2018年、ターナーの下でプレーしたその8試合でニュートンは驚異的な活躍を見せ、2015年にNFLのMVPを獲得した時と同じレベルだったと言える。そのオフシーズン、ニュートンをQBベン・ロスリスバーガーのようなパサーに育てたいとターナーはニュートンと話し合った。最初の8週間は順調な滑り出しを見せ、263回のパスアテンプト中177回を成功させ(パス成功率67.3%)1,893ヤードを獲得、タッチダウンは15回、インターセプトは4回、アテンプト平均7.2ヤード、ラッシュ73回で342ヤードを稼ぎ、得点を4回記録している。

だがやがて肩の問題が再び浮上し、ニュートンは正確性とボールを前に進めることに苦しむ。それから6試合を戦った後、明らかに調子がおかしいと判断され、とうとう出場停止となった。そして昨年は足のけがによりダウンフィールドに5ヤードも投げられない状態となり、ニュートンがプレーしたのはたったの2試合。いずれにしても、ニュートンは2018年11月以来、レギュラーシーズン中に健康な体を維持できていない。

ベリチックHCがニュートンの心理的状況と選手としての能力を知る上で、彼の最後のコーディネーターだったターナーは頼りになる情報源だ。特に一般の多くの人に認識されているニュートンの姿と、チームメイトやコーチのそれとが大きく二極化している中で一層重要となる。

ニュートンが健康であれば、ベリチックHCも彼がどれだけの変化をもたらしてくれるかを考察するのにそれほどの手助けを必要としなかっただろう。古いスカウティングレポートを掘り起こせば済む話だ。

『ESPN』のマイク・レイスが伝えたところによると、2017年のパンサーズ戦を前にベリチックHCは「タックルを仕掛けたり相手にしたりするのが難しく、その上投げられる、走れる、判断もいい機動力のあるQBとなると、ニュートンは私の中で一番だ」と話していたという。

「これだけの選手が他にいないわけではないが、ここ数年で対戦した、あるいは最近対戦した選手の中で彼は一番手ごわい。ニュートンは判断もいいし走れる。力もあってタックルするのが難しい相手だ。色々なプレーが可能で、色々な方法で突破してくる。2013年の試合でわれわれはそれを見てきたから、やはり彼は私の中で一番だ。他の選手が問題ではないとは言わない。もちろんそうだから。しかしニュートンは大敵だ」

ニュートンはベリチックHCとのこれまでの対戦で2勝0敗をマークしており、パス成功率71.9%で525ヤードを稼ぎ、タッチダウン6回とインターセプト1回を記録している。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、ビル・ベリチック時代のペイトリオッツに対して(2000年以降、プレイオフも含む)先発を2回以上務めたすべてのQBの中でニュートンは最も高いパス成功率(71.9%)とパサーレーティング(128.2)を保持している。

もし健康状態を維持できれば、ペイトリオッツでのニュートンの動向は2020年シーズン中に追うべき最も目を離せない展開の一つとなるだろう。もしそうでなければ、ベリチックHCによる少額のギャンブルとして一掃されるだけだ。一方でニュートンが万全の状態であれば、ペイトリオッツの可能性は計り知れない。

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