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QBマホームズがチーフスと10年540億円の契約延長に合意

2020年07月07日(火) 08:46


カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【AP Photo/David J. Phillip】

カンザスシティ・チーフスはクオーターバック(QB)パトリック・マホームズがピッグスキンを投じる様子をこれから12シーズンにわたって見守り続ける。

チーフスとマホームズが10年の契約延長に合意し、これでスーパーボウルMVPであるマホームズは2031年シーズンまでチームで戦い続けることになると、この契約について知る人物の話を元に『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイケル・シルバーが報じた。5億0,300万ドル(約540億円)におよぶこの壮大な契約は4億7,700万ドル(約512億円)の“保証機構”付きで、この機構が機能しなかった場合はマホームズがオプトアウトすることが可能だとNFLネットワークのイアン・ラポポートとトム・ペリセロが伝えている。

これはスポーツ史上最大の契約であり、マホームズは5億ドルの契約を手にした初めてのアスリートにして、スポーツ界で最高額が支払われる初めてのNFL選手になる。

最初にこの件について報じたのは『ESPN』だった。

チーフスも後にこの契約延長を正式発表した。

マホームズはサインボーナスとして1,000万ドル(約10億7,000万円)を手にし、将来的には保証付きの基盤の元でより高額のロースターボーナスを獲得する見込みであり、2026年には4,940万ドル(約53億円)ものボーナスが含まれるとペリセロは説明している。さらにペリセロは、この契約はチーフスに短期的な柔軟性をかなり多く残しており、契約のほぼ全体が条件付き保証になっているとつけ加えた。ラポポートによれば、3月までに1億0,600万ドル(約113億8,000万円)が完全に保証され、ノートレード条項が契約に含まれているという。2017年ドラフトの全体10位で指名を受けたマホームズは、ルーキー契約があと2年残っていた。

マホームズがこれを受けて『Twitter(ツイッター)』に投稿した動画は“そして俺たちはずっと一緒だ・・・。俺たちは覇権を追い続ける”というメッセージで締めくくられている。

チーフスのヘッドコーチ(HC)であるアンディ・リードはチームの声明においてこう語った。

「私はこのキャリアにおいて、多くの信じられないほど素晴らしいアスリートや特別な人々を指導するという栄誉に浴してきたし、パトリックがそのリストの一員であることに一切の疑問はない。最も優れている点は、彼がまだキャリアの早い段階だと言うことだ。彼は天性のリーダーにして常に自らを磨いており、フィールド内外を問わず、ウエイトトレーニングルームだろうが映像を確認しているときだろうが、ベストであることを望んでいる。彼はコンペティターであり、チームメイトたちは彼のエネルギーを受け取っている。彼はわれわれをより優れた組織にしている。彼がこれからの年月もわれわれのQBであることをわれわれは喜ばしく思っている」

10年の契約合意は現代のフリーエージェンシー(FA)時代にほぼ聞いたことのない内容だ。一部の選手たちは短い契約にサインし、FAでより大きな実りを手にしようとする。

今回の契約がトレーニングキャンプ前に合意に至ったのは、チーフスとマホームズ両者の希望だったとNFLネットワークのジェームス・パーマーがつけ加えた。

『NFL Research(NFLリサーチ)』によれば、2000年以降でブレット・ファーブ(1億ドル/2001年)、ドリュー・ブリーズ(1億0,300万ドル/2001年)、ダンテ・カルペッパー(1億0,200万ドル、2003年)、マイケル・ビック(1億0,300万ドル/2004年)らが10年契約にサインしてきた。ドノバン・マクナブは2002年に1億1,500万ドルの12年契約を結んでいる。現在アクティブな契約の中では、マホームズの10年延長はタックル(T)タイロン・スミスがダラス・カウボーイズと結んだ8年契約を上回る(他に6年契約を結んだ選手が14名いる)。

初年度は控えとして過ごしたことがよく知られるマホームズは、過去2年にNFLで活躍し、プロボウル選出が2度、2018年にNFLのMVPとオールプロのファーストチームに選ばれ、昨シーズンはスーパーボウルのMVPに輝いてロンバルディトロフィーを手にした。先発として経験したわずか2シーズンの間に、マホームズはすでに他のQBたちがキャリア全体を通して成し遂げるような驚きのプレーの数々を見せている。

プレーオフを含む試合平均302.4パッシングヤードはNFL史上最高の記録だとNFLリサーチは伝えている。最年少スーパーボウルMVPは、108.9というNFL史で最も高いパサーレーティングもマーク(2位のアーロン・ロジャースが102.4)。2018年には5,000パッシングヤードとタッチダウン50回以上を単独シーズンで記録したわずか2人の選手として、ペイトン・マニング(2013年)と肩を並べている。マホームズはレギュラーシーズンの先発31試合で9,412パッシングヤードを達成した(1950年以来、キャリア最初の先発31回としては史上最多)。

マホームズが先発QBとなってから、チーフスは試合平均31.2ポイントという数字でNFLをリードしてきた。また、プレー平均ヤード(6.5ヤード)やサードダウン成功率(47.4%)でもナンバー1となっている。

マホームズの新契約は、チーフスのQBがデショーン・ワトソン(ヒューストン・テキサンズ)やラマー・ジャクソン(ボルティモア・レイブンズ)といった他の若手シグナルコーラーたちと共に、NFLの新たな顔であることを改めて印象づけた。マホームズはすべてのスローをあたかも簡単であるかのように見せられる選手であり、宇宙開発企業の研究者がうらやむようなロケットアームを持ち、彼らと同じくらいインテリジェントであって、模範的なチームメイトでもある。

9月に25歳になるマホームズは、新契約が終了するころには36歳になっている。現代のNFLでは中年と見なされる年代層だ。

チーフスはマホームズをNFL史上最高額が支払われる選手にしなくてはならないという事実から決して目をそらしてこなかった。その年代に一人しか出ないような選手を手元に置いておくには何が必要か、チームには分かっていたのだ。

マホームズは腰を落ち着けた。チーフスはこれから10年以上にわたって、マホームズがカンザスシティのファンたちを圧倒し続けることを確実にしている。

チーフスの会長兼CEOのクラーク・ハントは声明で「われわれのフランチャイズとチーフスキングダムにとって、決定的な瞬間だ」と述べた。

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