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復帰をあきらめれば「眠れなかっただろう」とQBアレックス・スミス

2020年08月18日(火) 17:36


ワシントン・レッドスキンズのアレックス・スミス【AP Photo/Nick Wass】

足をほぼ失いかける重傷を負い、その後も難しい状況に直面したクオータバック(QB)アレックス・スミスが再びNFLのフィールドに立つなど、当時はとても予想できなかった。

しかし、スミスは現地16日(日)にワシントン・フットボール・チームのPUPリストを外れ、フットボール活動復帰へと進んでいる。

3人の小さな子どものいるスミスが、なぜあり得そうにない復帰を試みたのか、疑問に思う者がいるかもしれない。36歳になった元全体1位指名選手はすでに多くのことを成し遂げ、巨額を手に入れてきた。今の段階では、ぜいたくな金額がもたらされるような試みではないというのに。

スミスは復帰という決断に対する疑問の声について「そういう風に考えるのは簡単だと分かっているよ。長い間プレーしたし、多くのお金を手に入れたし、なぜ日没に向かって漕ぎ出すのかとたくさんの人に言われた。NFLの世界では自分が年寄りで、時代遅れだっていうのは分かっているけれど、人生のより大きな側面を見れば、僕は36歳で、3人の子どもがいて、これからの残りの人生が目の前にある」と話した。

「身勝手だけど、クレイジーに見えようと僕はそれでもやるんだ。そこへ出て行ってQBをプレーできれば、この人生で何だってできる。スポーツ界でも最も困難な仕事の一つだし、この2日間にあのジャージーを着て出ていき、トライできるチャンスがあったことをとてもありがたく思っている」

さらに、フットボール復帰についてスミスは「僕にとってはそのチャレンジに臨むってことさ。立ち去ることなんてできないし、もしそうしていたら夜も眠れなかっただろう。子どもたちの目を見て、全力で何かをやることについて話せなくなる。逆境は誰の人生にもあるし、それぞれ違った形でやってくる。僕がそれについて語るタイプか、自らぶつかるタイプかは分かるだろ? 自分にとってはまさにそうだし、どうなろうとその方がいいんだ」と述べた。

スミスにとってカギになるのは、特定のゴールを設けていないことだ。スミスは16試合出場やタッチダウン40回等、復帰における最終的なバーを掲げていない。スミスは今あるタスクに集中しており、それはフットボールの環境でより快適に感じることだ。

全体としてのスミスのキャリア、そして、特にワシントン時代を振り返れば、本当に信じられないことだ。スミスはかつてフランチャイズの救い手であり、カンザスシティで成功を収めた後、大型契約でワシントンにやってきた。そして、骨折したスミスは合併症で足を失いかけた。創外固定器の装着を強いられ、フットボール復帰はあらゆる人々の念頭から消えていた。

決して歩みを止めないフットボールの世界において、ワシントンは前に進まざるを得なかった。オハイオ州立大学のQBドウェイン・ハスキンズをドラフトで選択し、2019年の半ばで基本的にはハスキンズにカギを預けた形になっていた。スミスが今復帰したチームは、2018年にフィールドからカートで去ったときとは様変わりしている。なにしろ、名前からして違うのだ。

スミスはPUPリストから外れたことについて「言葉にするのは難しいな。あらゆる感情や考えがあったから。特に、自分が知ったときにはね」と振り返っている。

「確実にここ数日は、本当に本当にスペシャルだった。670日前には練習することでさえなかなか考えられなかった。何であれ、復帰について考えるなんてね。それがいかに恐ろしく、おじけづく考えだったか。挑戦するどころか、それを考えてみることさえそうだった。それを考えれば、スパイクのひもを締めてもう一度ジャージーに腕を通し、ヘルメットをかぶって出ていくだけで、素晴らしい感覚だった」

次のステップはまだどうなるか分からない。ヘッドコーチ(HC)のロン・リベラは医療上でプレーの許可が出ればスミスもプレー時間を分かち合うことになると話していたものの、チームの未来がハスキンズと共にあることは明らかだ。スミスは高額の支払いを受けるベテランメンターにしてハスキンズをプッシュする存在になるかもしれないし、世界に真のショックを与え、正QBの座を勝ち取るかもしれない。

未来がどうなるかは分からないが、スミスにとっては今の到達点にいることだけでも偉業だ。今後がどうなろうとボーナスのようなものだと考えるのは簡単だが、スミスの中の静かな闘志がそれで満足することはない。

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