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ワシントンが史上初の黒人チーム社長にジェイソン・ライトを起用

2020年08月18日(火) 17:46

ジェイソン・ライト【AP Photo/Alex Brandon, File】

ワシントン・フットボール・チームはジェイソン・ライトをチームの社長に任命し、歴史的採用を果たした。NFL史上初めての黒人チーム社長の誕生となる。

NFLの元ランニングバック(RB)である38歳のライトは、リーグ最年少の社長となり、この役職に就く4人目の元選手となる。彼の職務はオペレーション、財務、営業、マーケティング部門を含むワシントンのビジネスを運営することだ。

オーナーのダン・スナイダーは声明の中で次のように述べている。

「われわれの歴史にとって重要な局面を迎えている今、もし理想のリーダーをデザインできるとするならば、それはジェイソンしかいない。元選手としての経験に加え、ビジネスに対する鋭い洞察力によって彼は、リーグ内では例を見ない視点を持っている。常勝チームになるまでわれわれはフィールドの内外で気を緩めることはない。ジェイソンには企業の文化的、経営的、財政的な変革を支援してきた実績がある。彼はすべての人々を受け入れることを積極的に、そしてはっきりと主張してきた。われわれの組織とこのリーグにとって新しい基準をもたらしてくれることだろう。ワシントン・フットボール・チームが新しい時代を迎えるに当たって、ジェイソン・ライトとヘッドコーチ(HC)ロン・リベラの組み合わせほど適した人材はないと確信している」

ライトは7シーズンをNFLのRBとしてプレーし、サンフランシスコ・49ers、アトランタ・ファルコンズ、クリーブランド・ブラウンズおよびアリゾナ・カーディナルスに在籍していた。2011年のロックアウトの時にはカーディナルスのキャプテン兼労働組合の代表を務めている。引退後はシカゴ大学でMBAの学位を取得し、ワシントンD.C.にあるグローバル戦略・経営コンサルティング会社の『McKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)』に勤務し、運営実務のパートナーに任命されていた。

ライトは声明の中で「フットボール、ビジネススクール、マッキンゼー、その全ての場において私は常に新しくエキサイティングなことを創り出し、他の人がやりたがらないような難題に挑戦することを楽しんできた。深い歴史と価値観を持ち、しっかりとした基盤を作っている組織と一緒に取り組むことが特に好きだ。このチーム、そしてこの時期は私にとって理想的な機会だ」と話している。

「ワシントン・フットボール・チームの変革は、フットボール、運営、ブランディング、文化などの組織のあらゆる側面ですでに始まっている。その結果、われわれを真に近代的で向上心の高いフランチャイズにしてくれるに違いない。NFLにとって新しい基準を築いていきたい。自分が一員になれることを知るずっと前から、DMV(ワシントンD.C.、メリーランド州、バージニア州の地域)の地元民として、またファンとして、私はこのチームに興味を持って目を向けてきた。私はこの組織に対するダン・スナイダーのビジョンを信じている。そして選手にとってチャンピオンであり、フットボール界の偉大な頭脳の1人であるリベラHCと組むことをとても楽しみにしている。共にワシントン・フットボール・チームの未来を作り上げていく」

ライトはワシントン・フットボール・チームのビジネス面を担当し、ロン・リベラHCはフィールド上のフットボールに係る全ての決定権を委ねられる。2人ともスナイダーの直属の部下となる。

リベラHCは「選手としてのジェイソンを覚えている。彼が引退後にビジネスの世界へと進み、そこで成功を収めたことは私にとって何ら不思議なことではない」と話している。

「彼の元チームメイトやコーチたちとの会話、そして直接ジェイソンと話すことを通じて、私たちは同じ価値観や信念を共有していることが分かってきた。ジェイソンはNFLを直に経験し、その動きの早さも理解している。だから彼をフロントオフィスとオペレーションの責任者として迎え入れることで、私はわれわれのファンとコミュニティーにとって一番大事なことに専念できる――フットボールの試合に勝つことだ」

『Fritz Pollard Alliance(フリッツ・ポラード・アライアンス)』の会長であるハリー・カーソン氏と常務理事のロッド・グレーブズ氏は現地17日(月)にこの採用を称賛する声明を発表した。

「われわれフリッツ・ポラード・アライアンスは、ワシントン・フットボール・チームが社長としてジェイソン・ライトを選んだことをほめ称えます。ライトがNFL史上初の黒人チーム社長になるというのは歴史的なできごとです。この選考は、有色人種が持つ才能を認めた包括的なプロセスの結果です。これによりNFLの指導者の選び方に真の変化をもたらすものと期待しています」

ライトの起用はこのフットボールクラブの変革期と重なる。今年にチームは長年親しんだ名称の変更に踏み切った。また、先月の『Washington Post(ワシントン・ポスト)』の報告書には職場で常態化している性的不正行為の社風が詳述されており、その対応にも追われている。

ライトの採用によってリベラHCはビジネスの運営を彼に任せ、フットボールに専念することができる。ワシントンンは2人の連携により合理化された運営を実現し、チームがNFLの一流クラブの1 つとして復活できることを願っている。

「スナイダーとリベラHCが立ち上げた活動に参加できることを嬉しく思う。準備は万全だ!」

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