3回目のチャンスが来たら「今度こそつかむ」とドルフィンズQBローゼン
2020年08月27日(木) 00:37昔々、ジョシュ・ローゼンがチームの救世主と呼ばれたことがあった。2年前のことなのだが、まるで30年前のように思える。
元アリゾナ・カーディナルスの1巡目指名選手は、カイラー・マレーを指名したチームからマイアミ・ドルフィンズへとトレードされ、今では年配の魔術師ライアン・フィッツパトリックと、同じくトップ5で指名された神童クオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアの後ろでデプスチャートの奥深くに沈んでいる。
3両電車の車掌車の位置にはまってしまったローゼンが今年のフィールドに立てる見通しは、総菜屋のプロシュートより薄い。それでも、トレードを求めたり、運の悪さを嘆いたり、月並みな文句に頼ったりする代わりに、彼は自分の状況を受け入れている。
「俺はドラフト1巡目で指名された。リーグの人々は今でもそれなりのプレーができると思ってくれているはずだ」と彼は『The Palm Beach Post(ザ・パーム・ビーチ・ポスト)』に12月20日以来となるコメントをしている。「いつどこで機会がやってこようと、その準備をしておきたい。それはすごくまれなものだし、俺は今までの2回でうまくやれなかったから」
「3度目のチャンスをもらえる人はそう多くない。だからチャンスが来た時には必ずそれをつかんでみせる」
ローゼンの最初の2回のチャンスは最高の状況でやってきたわけではなかった。1回目はカーディナルス時代、悲惨なオフェンシブラインと低迷するチームでのことだった。次は昨年、ドルフィンズがスペアパーツのためにボートを解体していた時だ。どちらのケースでもローゼンは確かに難しい状況の中でプレーを向上させ、周囲を改善させていた。その代わりに彼は沈んでしまった。
底辺に達したのはドルフィンズのヘッドコーチ(HC)ブライアン・フローレスがフィッツパトリックを選び、彼をベンチ送りにしてしまった時だ。この頃のローゼンはオフェンス陣の中で途方に暮れているように見え、簡潔なパスよりも祈りをつぶやく方が多く、プレッシャーでスローは乱れ、ボールを動かすことができなくなっていた。フィッツパトリックとの交代に疑問を唱える声は、あったとしてもごく小数だった。
将来的にトゥアが交代することはほぼ決まっており、ローゼンがドルフィンズでチャンスを得られる見通しはほとんど消滅してしまった。しかし23歳のQBは、自分がコントロールできることだけに集中している。
「将来、どこかの時点で俺の考え方は変わるかもしれない」と彼は述べた。「でも、仕事を得ることにはそれほど焦点を置いていないんだ。俺はどんどん良くなっている。キャリアの中で今、ちょっとした飛躍を遂げたと感じている」
ローゼンによると、3年で3つのオフェンスを学んだことによって適応速度が上がり、より良い選手になれたという。
「今までで一番早くボールを出し、早い判断ができるようになった。ボールにしがみついて、自分のオフェンシブラインを悪く見せることもなくなった」と彼は述べた。
過去の苦戦が周囲のせいではなく、自分のせいだと責任を持てるようになったのは、正しい方向への一歩かもしれない。だがこのコロナ禍の中、スナップの機会もほとんどないデプスチャートの奥深くに埋まってしまっていては実力を示すことは難しい。
彼が元1巡目指名でなければ、この記事も存在しなかっただろう。人々が3番目のQBのことを気に掛けることはめったにない。彼のプレーを望む者もいない。
ローゼンにできるのは、いずれ別のフットボールチームを率いるチャンスを与えられる時が来るとしたら、今度こそ手綱を握れるよう日々改善し、できることをするのみだ。
「16年か17年のベテランのフィッツや、長年この世界にいるチャン(ゲイリー)のようなコーディネーターと一緒にいられる瞬間を大事にしなければいけない」とローゼンは述べた。「俺にはそれがいつ、どこで起こるかも分からない。できれば今年、ここで、プレーするチャンスが欲しいよ」
ドルフィンズとしてはローゼンがフィールドに立つ機会がない方がありがたいだろう。なぜならそれは誰かが深刻なけがを負うか、新型コロナウイルスの感染者が多発することを意味するからだ。トレードならばローゼンがどこか別の場所でプレーする扉が開かれるはずだが、これまでに起きていないとすれば期待しても無駄だろう。もしかするとこの先、来年あたりには状況に変化が訪れるかもしれない。その時こそはローゼンの準備もできているはずだ。
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