ニュース

スタッツに関係なくQBタネヒルは無敗のタイタンズの“大将”

2020年10月15日(木) 23:19


テネシー・タイタンズのライアン・タネヒル【AP Photo/Wade Payne】

テネシー・タイタンズが最後に試合をしてから17日間で、チームは多くの人から徹底的に調べあげられ、多くの悪評を受けた。

タイタンズ内で新型コロナウイルス(COVID-19)の陽性反応を示した関係者が続出したのを受けて、第4週に予定されていたピッツバーグ・スティーラーズとの試合はシーズン後半に延期され、第5週のバッファロー・ビルズ戦もサンデーゲームから現地13日(火)の開催となった。NFLでの大幅なスケジュール変更を招いたとして、チームに対する風当たりは強かった。

火曜日の試合で4回のタッチダウンを決め、42対16でビルズ戦を制したタイタンズのクオーターバック(QB)ライアン・タネヒルは、試合後に次のようにコメントしている。

「俺たちはたくさんの非難を浴びた。どうしてそこまで言われるのかは正直いって理解できないけど、俺たちは団結していたよ。ここ数週間はずっと非難されっぱなしだったけど、やっと試合ができて、それを振り払うことができてすっきりした」

タネヒル率いるタイタンズを悪役に仕立て上げた人がいたとしても、チームは決してタネヒルを否定的には見ていない。

駿足と広い肩幅を誇るランニングバック(RB)デリック・ヘンリーを中心としたオフェンスを統率するタネヒルは、勝利を収めた火曜日のちょうど1年前にQBマーカス・マリオタから手綱を引き受けた。そしてタイタンズの先発QBとして迎えた初シーズン。チームは前代未聞の障害と苦難を乗り越え、タネヒルは現在4勝0敗のタイタンズのリーダーとして揺るぎない地位を築いた。

2年目のワイドレシーバー(WR)A.J.ブラウンは「彼が大将だ。彼が俺たちをまとめる頭だ」と試合後に話している。「彼は俺たちを引っ張ってくれる最高のリーダーだ」

待ちに待った火曜日の夜にシーズンを再開させたタイタンズは連勝を続け、タネヒルは見事なまでの活躍を見せた。28回中21回のパスを成功させて195ヤードを稼ぎ――今のNFLの基準では月並みかもしれないが――タッチダウンを3回決めてインターセプトはなし。129.3のレーティングを獲得した上に自ら42ヤードを走ってタッチダウンを決めている。これまでのところタネヒルの今季の記録は、タッチダウン9回に対してインターセプトは1回と1,004パッシングヤードをマークしている。

昨年のAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)のディビジョナルラウンドで、タネヒルはヘンリーにハンドオフで30回もボールを渡して逆転勝利を収めた。しかし、派手なQBの記録であふれているリーグにおいては、そのことよりもパスアテンプトが14回しかなかったことで叩かれる。だが彼をリーダーとして必要としているタイタンズにとってそんなことは関係ない。

誰もが予想していなかった展開となった昨年のプレイオフで、タネヒルとタイタンズはQBトム・ブレイディ率いるニューイングランド・ペイトリオッツと、QBラマー・ジャクソンのボルティモア・レイブンズの両方を打ち負かしている。2人のQBはタネヒルよりも有名であり華々しい記録を持っているが、オフシーズンに入るのは彼らの方が先だった。そして多くの人が忘れているのは、負けを喫したACFのカンファレンスチャンピオンシップでは、偉大なるQBパトリック・マホームズ相手に堂々と戦ったということだ。

バッファロー・ビルズのQBジョシュ・アレンは、当然たくさんの称賛を受けることを期待し、輝かしいスタッツに後押しされた勢いに乗って火曜日の試合に臨んだことだろう。ところがタネヒルよりもヤード数を稼いだにもかかわらず、負けチームのQBに終わっている。

あらゆる努力を求められた激動の2週間を乗り越え、勝利とともに復活したタイタンズにとってタネヒルは間違いなくリーダーであり、それがこの無敗軍団にとって何よりも意味のあることだ。タイタンズを無法者と呼ぼうと、AFC南地区のトップには変わりない。

ブラウンはタネヒルとチームについてさらに語った。

「ライアンはすごくいいQBだ。他のQBみたいに500ヤードなんていう記録は出さないかもしれないけど。俺たちは個人の記録のために戦っているわけじゃない。チームとして戦っている。チームとしてフィールドに立っている。ビッグゲームで彼が500ヤード投げられなかったからって何だって言うんだ。俺たちは勝てればそれでいい。俺たちはやるべきことをやる。それだけが重要だ」

マリオタの後を継いでからの1年でタネヒルは何を見せてくれたかと、試合後に聞かれたヘッドコーチ(HC)のマイク・ブラベルは、彼の身体能力や腕の強さ、能力を自慢することはなかった。ブラベルの褒め言葉は至ってシンプルだった。

「彼は素晴らしいリーダーとしてチームを引っ張ってきた」

【R】