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オフェンスの軌道修正まで“あと少し”とカーディナルスQBマレー

2020年12月11日(金) 15:48

アリゾナ・カーディナルスのカイラー・マレー【AP Photo/Frank Franklin II】

“ヘイルメアリー”ならぬ“ヘイルマレー”と名づけられた奇跡のタッチダウンパス以来、アリゾナ・カーディナルスは不振に陥っている。3連敗を喫して自力でのプレーオフ進出の道は絶たれた。

この下り坂の中で一番驚くべき問題は、オフェンスの一貫性のなさだ。3連敗におけるクオーターバック(QB)カイラー・マレーの記録は、1試合当たりのパッシングヤードとラッシングヤードで、シーズン初めの9試合に比べてそれぞれ平均59.9ヤードと46.8ヤード少ない。

第11週で肩を負傷したことはこの急降下のパフォーマンスにまったく影響ないとマレーは繰り返し主張している。理由は何であれ、カーディナルスのスターQBはシーズン前半ほどの成果を挙げていないのは明らかだ。

第1週から第10週:1試合当たり263.9パスヤード、1回のアテンプトにつき7.6パスヤード、1試合当たり67.1ラッシングヤード、ラッシングタッチダウン10回

第11週から第13週:1試合当たり204.4パスヤード、1回のアテンプトにつき5.3パスヤード、1試合当たり20.3ラッシングヤード、ラッシングタッチダウン0回

恐らくカーディナルスが苦戦している主な理由は、相手ディフェンスがマレーのダイナミックなラン能力に適応してきていることだろう。プロ2年目のマレーをポケット内にとどめさせ、タイトなウィンドウへのパスをさせる戦略は、ヘッドコーチ(HC)クリフ・キングスベリーのオフェンスを乱すことに成功していると言える。

だが最近の苦境にあってもマレーはオフェンスが噛み合うまで“あと少し”だと信じている。

マレーは「実際よりもことを難しくしようとしている」とチームの公式サイトにコメントした。「ゲームをもっとシンプルに捉えることができれば、そんなに複雑なことではないはずなんだ。ただ、このレベルで結果を出すことは決して簡単ではない」

「プレッシャーとかそういったことは心配していない。まだ4試合残っている。そしてそのどれもが重要な試合だ。それは俺たちも、周りの誰しもが分かっていることだ。勝つしかない崖っぷちの状況なのは十分理解している」

ディフェンスはマレーを攻略し始めた。追い込みに向けて今度はマレーとキングスベリーHCがその裏をかけるかにかかっている。

キングスベリーHCはマレーについて次のように話した。

「彼の選手としてのポテンシャルを十分に掘り下げられていないと思っている。考えてみれば、彼はまだNFLのレベルでの経験は浅い。正確な試合数は分からないが、今の時点でだいたい28くらいだろうか。つまりそれだけ伸び代があるということだ。1年目から2年目にかけての成長は目を見張るものがある。これから先も期待できる。彼は自分の仕事をしっかりやっている。マレーにとってお手本になるような選手もいなく、手取り足取り教えてくれる人もいなかった。その場で一気に学ぶしかなかったんだ。それにしては覚えも早く、素晴らしいできだと思っている。これから先どう成長するかが楽しみだ」

そしてカーディナルスはマレーの成長を早急に必要としている。

残り4試合しかない中でカーディナルスが自力でプレーオフに進出する可能性はない。現地13日(日)に対戦するニューヨーク・ジャイアンツのディフェンスは、シアトル・シーホークスのQBラッセル・ウィルソンを潰したばかりであり、マレーにとっては試練の一戦となる。カーディナルスが再び得点に苦しむようなことがあれば、ポストシーズンへの望みはついえてしまうかもしれない。

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