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フィラデルフィアは「最高の町」と涙で語るイーグルスTEアーツ

2021年01月06日(水) 18:22


フィラデルフィア・イーグルスのザック・アーツ【AP Photo/Daniel Kucin Jr.】

ザック・アーツのフィラデルフィア・イーグルスでの時間は終わりに近づいているのかもしれない。それを十分に自覚しているタイトエンド(TE)は、現地4日(月)の記者会見で非常にエモーショナルになっていた。

イーグルスでの8年間の思い出を振り返りながら、アーツは最後には涙を浮かべて言葉を詰まらせてしまい、フィラデルフィアへの感謝の言葉を口にした。

「ここはプレーするには最高の町だよ」と涙をぬぐい、しばし沈黙してから彼は述べた。「これ以上ないってほどの経験をさせてもらった。俺にとっても俺の家族にとっても、それは大きな意味を持っている。感謝しているよ」

会見の最後には地元のメディアメンバーに自分のイーグルス時代をカバーしてくれたことへの感謝を述べ、まるで別れのあいさつのようだった。終わりだと確定したわけではないが、チームは2021年シーズンの開幕前にアーツをカットすることでおよそ450万ドル(約4億6,000万円)のキャップスペースを節約できる。ダラス・ゴーダートをそれよりはるかにお手頃なルーキー契約で2021年のロースター入りさせる方がいいのは明らかだ。

アーツはイーグルスでの8シーズンで、2巡目指名に見合った働きをしてみせた。2017年から2019年まで3年連続でプロボウルに選ばれ、シーズン平均760レシーブヤード近くを達成し、毎年4回以上のタッチダウンを挙げてきた。2016年にノースダコタ州立大学からクオーターバック(QB)のカーソン・ウェンツが全体2位指名でやって来てからは彼の一番のターゲットとなり、2人は抜群のコンビネーションでチームを輝かしい2017年シーズンへと導き、ウェンツのバックアップを務めたニック・フォールズによって、イーグルスはスーパーボウル制覇を成し遂げた。翌年も、ウェンツとアーツの気心知れたコンビがチームのオフェンスの基盤として働いた。

しかし、2020年はそのコネクションが失われてしまい、いまだにアーツは首をかしげている。

「序盤はどうしてもうまくかみ合わなかった」とアーツは述べた。「これだけ長くやっていると、相手が次にどうするのかだいたい分かっているもんだから、うまくいかずにただぼうぜんとした。原因特定はできなかったけど、ただ努力し続けるしかないのはお互い分かっていたんだ。でも残念ながら俺がけがをしちまって、修正する機会がなくなり、俺が復帰したら、次の週に彼がベンチに下げられちまったから、同じ舞台に立つことができなくなってしまった」

ウェンツのイーグルスでの未来も同様に不透明なことはすでに何度も書かれている通りだ。2020年の不調によって彼は非常に厳しい状況に立たされている。第13週に彼が下げられて以降はルーキーのジェイレン・ハーツがシーズンを締めくくっており、契約上、ウェンツのカットは経済的に困難ではあるものの、新天地へのトレードの可能性を除外するものではない。

強力なレギュラーシーズンと最終的なロンバルディ・トロフィーの獲得からわずか4年で、アーツとウェンツがそろって出ていく可能性がある。

「もちろん、俺はできる限り長くカーソンとプレーしたいと思っている」とアーツは言う。「俺に言わせれば彼はフランチャイズQBだ。毎年プレーオフ進出を可能にしてくれるQBだよ。スーパーボウルだって争える。そんなQBとプレーしたくないやつがどこにいいる? 日曜日に輝くために懸命に練習に取り組むようなQBだ。俺にとって答えは簡単だ。できるなら、いつまででも彼とプレーしたいよ」

いつかどこかで2人が再びタッグを組むことがあるかもしれない。しかし、どうやらイーグルスでの彼らの時間はそう遠くない未来に終わりを告げることになりそうだ。それは喜びと悲しみに彩られ、涙なくしては振り返れない思い出だった。

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