ニュース

復帰を遂げたことに「感謝」するアレックス・スミス、今後については時間をかけて検討

2021年01月11日(月) 07:22

ワシントン・フットボール・チームのアレックス・スミス【AP Photo/Keith Srakocic】

2020年、レギュラーシーズンにNFLフィールドに復帰したアレックス・スミスは素晴らしいカムバックを遂げた。さらに、クオーターバックとしてはワシントン・フットボール・チームのベストオプションとなり、負傷により欠場を余儀なくされるまでチームを引っ張ると同時にプレーオフ進出にも貢献した。

スミスにとっては残念な運命のいたずらとなったが、彼が経験したことを考えれば最悪とは程遠い。ワシントンがタンパベイ・バッカニアーズに僅差で敗れた結果、他の誰よりも高く評価されるであろうオフシーズンに突入することになった。スミスは不可能にも思われたNFL復帰を遂げ、重要な役割を担うまでに上り詰め、そして再びキャリアの物語が終わっていないことを証明して見せた。

その物語の続きはスミスと妻エリザベスさんが望むかどうかにかかっている。

『ESPN』に「今年は本当に楽しかった。ロッカールームに戻り、フィールドで自分の大好きな試合に出て夢中になることができたのは世界中で一番気分のいいことのひとつだ」と話したスミスは「妻は多くのことを経験し、家族もたくさんのことを経験したけど、それはその時じゃないタイミングと場所のために経験したものだ」と続けた。

レギュラーシーズン終盤に痛めたふくらはぎの負傷が影響し、現地9日(土)に行われたバッカニアーズとのワイルドカードゲームにスミスは出場できなかったが、ヘッドコーチ(HC)ロン・リベラはスミスがプレーオフの試合にインアクティブとなった理由について、ラッシャーから逃れられないと考えたスミスの意向を引用している。プロの試合においていかなるクオーターバックにとっても不可欠な能力であり、今回の負傷は新たなケガではあるものの、スミスがフットボールキャリアのどこにいるかを物語っていると言えるかもしれない。

しかし、これまでに経験してきたすべてを踏まえ、スミスは試合に参加するチャンスを得られたこと自体に感謝しているようだ。

「シーズンをこういう形で締めくくりたかったわけじゃない。でも、1年前や2年前に、こういう状況にあるんだと教えられていたら、自分はそれに飛びついただろうね」

これがビジネスである以上、報酬がひとつの要素を占める。スミスの契約はデッドキャップにより2020年まで高額に設定されているが、5年契約で初めてキャップヒットがデッドキャップを上回る2021年にはそれが変わる。新リーグイヤーにワシントンがベテランQBのスミスをリリースすれば1,300万ドル(約13億5,000万円)以上をセーブできることになり、別れを告げる可能性に多くの意味をもたらす。

リベラHCは「めったに現れない」素質を持ったプレーヤーであり、「無形」の価値があるとしてスミスを「特別な」選手だと言う。現時点まで、スミスの旅路は間違いなく彼自身にフィールド上のパフォーマンスや振る舞いを通して輝きを放つ特殊な経験をもたらしているとも語っており、ワシントンがそのポジションの進め方を決めるにあたっては検討項目の一部になるだろう。

スミスにとっては復帰で十分だったはずだが、彼自身はまだどちらの方向にも決断を下していないようだ。フットボールの試合でプレーするという陶酔感、ロッカールームの友情、より大きな目標の追求、それらを懐かしんでいたことはスミスも理解している。しかし何よりも、スミスは人生の今のポジションに満足しているのだ。

「結果というよりも、試みと旅が大きかった。もし自分が復帰しようとして物足りない結果に終われば、トライしたんだと思ってぐっすり眠ることはできただろうと思う。今ここにいられることに感謝している」とスミスはコメントした。

【C】