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厳しい戦いを振り返りつつ先を見据えるバッカニアーズQBブレイディ

2021年01月18日(月) 17:35

タンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディ【AP Photo/Butch Dill】

タンパベイ・バッカニアーズは若き才能のそろったロースターにクオーターバック(QB)トム・ブレイディの存在を必要としていた。ブレイディは再び力を発揮し、スーパーボウルを目指すために、バッカニアーズを必要としていた。

現地17日(日)にバッカニアーズが30対20でニューオーリンズ・セインツを下したのは、ランを防ぎ、ターンオーバーを生じさせたディフェンス陣の力によるところが大きい。しかし、バッカニアーズは今季をブレイディやその周囲にいた選手たちと戦い抜いたからこそ、ここにいるのだ。セインツとの試合は、ニューイングランド・ペイトリオッツが最後にスーパーボウルに出場したときの試合運びに似ていた。ディフェンスの力によって圧倒する一方、ブレイディは大きな火花を散らすことはないものの、ひどいミスをすることもなく、ショートパスによって入念にボールを動かしている。バッカニアーズがブレイディを求めていたのはジェイミス・ウィンストンよりずっとインターセプトが少ないという理由だけではなく、ブレイディなら周りにいる皆に自分に匹敵する努力と勝利だけに向けた集中を促すことができるからだ。

「皆が本当にまとまっている」とブレイディは言う。

「僕らには最高の絆がある。練習には楽しみがあるし、この地点まで来るためにものすごくハードに働いてきた。残っている他の3チームと同じようにね。ここまで来るのはきつかった。ここから先については何も保証されていないけれど、とにかく出ていかなければならなかったし、リーグでも最高のチームの一つを倒すためには僕らの本当のベストを尽くさなければならないだろう」

10カ月前にバッカニアーズと契約を交わしたとき、ブレイディはジェネラルマネジャー(GM)のジェイソン・リヒトに、バッカニアーズがシーズン開幕戦に備えるためには何時間が必要なのかを正確に告げた。そして、新チームメイトたちの電話番号を求めた。すぐにだ。また、ブレイディはリヒトGMに、バッカニアーズは14シーズン目を共に始めようとしているニューオーリンズ・セインツのQBドリュー・ブリーズやショーン・ペイトンヘッドコーチ(HC)とディビジョンを共にしていることを指摘。NFL史上最も悪いと思われるタイミング――パンデミックの影響でオフシーズンの練習やプレシーズンゲームがなくなる――でシーズンをスタートしようとしているブレイディに対し、ブリーズとペイトンHCの関係はアドバンテージになると予測された。

「素晴らしいフットボールチームに勝つのは最高の感覚だ。ベストの感触だね。それがどれほどのコミットメントなのかを物語っている」とブレイディは話している。

ブレイディがペイトリオッツをカンファレンスチャンピオンシップに導き、驚きのスーパーボウル制覇を最初に果たしてから20年が経った。今年に新しいチームで初めてのスーパーボウル優勝を遂げるには、ランボー・フィールドでQBアーロン・ロジャースを倒す必要があり、それは6巡目指名を受けた当時無名のQBがドリュー・ブレッドソーの後を継いだ頃と同じくらいなさそうに思える。

普段着に着替えたブレイディとブリーズがフィールド上で試合後の長い会話を抱擁で終えたとき、ブリーズは子どもたちと共に膝をつき、記念撮影をした。ブリーズにとって、これが最後の試合だったのかもしれない。しかし、ブレイディの戦いはまだ終わっていない。ブレイディは馴染みの地を離れ、新たなホームを見いだし、新しいチームで今も戦っている。かつてポストシーズンでおなじみだった、あの場所を目指して。

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