QBウィルソンは「どこにも行かない」とシーホークスLBライト
2021年02月28日(日) 01:34K.J.ライトはこれまでずっとラッセル・ウィルソンとキャリアを共にしてきた。クオーターバック(QB)のウィルソンはシアトル・シーホークスへの不満をあらわにしているが、ラインバッカー(LB)のライトはよくあるオフシーズンの騒動だと真剣には取り合っていない。
現地26日(金)、『Good Morning Football(グッド・モーニング・フットボール)』に出演したライトは、この件についての見解を明らかにした。
「俺自身ちょっと驚いたけど、ラス(ウィルソン)はどこにも行かないよ」とライトは断言する。「俺がシアトルにいる限り、ラスがQBだ。彼の存在はあまりにも大き過ぎる。このチームにとっても、この町にとっても」
「人々はシアトルに来たがり、出ていこうとはしない。彼とチームはきっと解決策を見つけるはずさ。彼にはいつも感心しているし、一緒にプレーするのを楽しんでいる。だから、ラスはずっと長いことシーホークスにいると思っている」
ウィルソンの挙げている成果と、シーホークスにとっての重要性を改めて誇張する必要はない。ウィスコンシン大学出身のウィルソンは2012年のNFLドラフトで3巡目に指名されて以来、全ての期待を上回る成績を残している。MVPにはまだ選ばれてはいないものの、シアトルに来てからはその大部分で大役を任されている。彼とコーチ陣の間に亀裂が入ったとの報道もあるが、ウィルソンの進む通りにシーホークスは進むのであり、どちらが欠けてもうまくいかないことを関係者誰もが知っている。
しかし、ライトはそれについて興味深い見方を示した。自分がシアトルにいることが、ウィルソン残留の理由になり得るというのだ。現在31歳で、32歳の誕生日の数カ月前にフリーエージェントになろうとしているライトには、シアトルでの時間の終わりが見えてきているはずだ。もちろん、彼は出ていきたくないと思っているが、そのためには契約が必要であり、チームのキャップスペースにはそれほど余裕がない。
リーグが提示した下限の1億8,000万ドル(約191億9,000万円)の少し上に設定されると予想されるサラリーキャップで、シーホークスには今のところ400万ドル(約4億3,000万円の)のスペースがあるという。シーズン中に追加したディフェンシブエンド(DE)のカルロス・ダンラップをカットすればかなり節約できる。ダンラップは1,400万ドル(約14億9,000万円)のスペースを占めており、その一部をライトとお得な契約を結んで回せばいい。3月で切れる彼の現行契約は平均年俸が700万ドル(約7億5,000万円)となっており、彼の年齢を考慮すれば、新たな契約というのも現実的になってくる。
2020年のライトのタックルは、全16試合で先発したシーズンの中でワーストの86回だった。パスカバーのできるLBとしては今も優秀で、10回のパスディフェンスと1回のインターセプトをマークした。『Pro Football Focus(プロ・フットボール・フォーカス)』によると、全体ディフェンスとしては2015年以降で最も高い75.7を記録したという。彼を残すのは正しい判断だろう。だが、それに見合った金額であればの話だ。
「もし俺がシアトル・シーホークスに地元割引のパフォーマンスを見せているんだったら、受け入れるよ」とライトは述べた。「でも、今の俺の状態、今のプレーから考えるなら、むしろおまけをつけてほしいぐらいだな。いいプレーができたし、リーダーシップもバッチリだ。俺は本当に絶好調だぜ。言っておくけど、シーホークスから減額の話をされたことはない。でも俺はビジネスってのを理解している。全員が戻ってこられないのは分かっているけど、それでも気持ちが冷めることはない。俺のパフォーマンスは見ての通りだ。だから、それにふさわしい報酬が欲しい」
2013年と2014年にシーホークスが連続でスーパーボウルに到達した際に、評価されたディフェンスの中で今も残っている1人がライトだ。彼らは初めてのスーパーボウルの舞台でパワーを誇るデンバー・ブロンコスを43対8で下して劇的勝利を収めた。何度か内部のゴタゴタを経験しているチームにとって経験は重要だ。
ライトもそれを知っており、今後の交渉にも影響すると考えている。
「経験に値段はつけられない。リーダシップにも値段はつけられない」と彼は述べた。「俺はフットボールの世界でだいたいのことを見てきた。シーズン中にはいろんなことが起き、いろんな出来事がある。チームでみんなをまとめているのは誰だ? フィールド上で12プレーのドライブになった時、みんなを落ち着かせるのは誰だ?」
「ルーキーにはルーキーの素晴らしさ、ベテランにはベテランの素晴らしさがある。フィールド上ではそのバランスをうまく取る必要があるんだ。成功するチームってのは、偶然そうなったわけじゃない。日曜日にたまたま勝つことなんてあり得ないんだ。いいフットボールチームにはいいフットボール選手がいる。俺は多くをもたらせる存在なんだから、これを続けたいと思っているよ」
ライトの未来がシアトルにあるかどうかは、数週間以内に分かるだろう。彼の発言には確かに説得力がある。
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