ブレイディはデンバー時代のマニングを超えたかったとバッカニアーズQBコーチ
2021年03月01日(月) 15:21クオーターバック(QB)のトム・ブレイディが20シーズンを過ごし、スーパーボウル優勝を6回も果たしたニューイングランド・ペイトリオッツを去った理由については、これまでにいくつもの報道や憶測が飛び交っている。全容はブレイディ自身が掘り下げた話をしない限り明らかにならないだろう。しかしながら、先週に明かされた有力な動機づけとして、やはりブレイディの長年のライバルであるQBペイトン・マニングが関係していることが分かった。
マニングはそれまで、スーパーボウル優勝を果たした2つのチームで先発QBを務めた唯一の選手だった。タンパベイ・バッカニアーズのQBコーチであるクライド・クリステンセンは、ブレイディがペイトリオッツを離れた理由の1つは、マニングの偉業に挑むためだと信じている。
クリステンセンは現地24日(水)に「プレイディはペイトンがブロンコスで成し遂げたことは挑戦しがいがあって面白そうだと言っていた」と『CBS Sports Radio(CBSスポーツ・ラジオ)』のザック・ゲルブに話している。「そのチャレンジにブレイディはひかれたんだ。“僕も別のチームで優勝できるかを試してみよう”って」
「そのチャレンジは彼にとって大きな意味を持っていたと思う。21年というブレイディのキャリアは長い。時には変化が必要だ。マニングの達成したことに感心し、面白そうな挑戦だと何度か話していた」
ブレイディはキャリア初となるフリーエージェント(FA)の状態でバッカニアーズと2年契約を結ぶ。そして早くもカンザスシティ・チーフスを下してチームを第55回スーパーボウル制覇へと導き、約束を果たした。
一方のマニングは、デンバー・ブロンコス時代に第50回スーパーボウルを制してロンバルディトロフィーを手にした瞬間、先発QBとしてはじめて2つのチームで優勝した選手となった。その9年前にはインディアナポリス・コルツで第41回スーパーボウルのチャンピオンに輝いている。2021年のプロフットボール殿堂入りが確実なマニングは、2度目のスーパーボウル優勝直後の2015年、パスヤードとタッチダウンで当時のNFL最多記録を残して引退した。記録は両方ともその後にブレイディとQBドリュー・ブリーズに更新されている。
クリステンセンはアシスタントとしてコルツで10シーズンにわたってマニングとともに過ごし、2010年には攻撃コーディネーター(OC)を務めている。マニングのことを良く知るクリステンセンは、43歳のブレイディがさらなる高みを目指していると次のように述べた。
「私も彼の終わりはまだ見えていないし、彼自身も終わりが見えているようには行動していない。自分のルーティーンや身体の管理には相当な自信があるから、きっとまだしばらくはプレーするだろう」
7回目のスーパーボウルタイトル獲得という圧倒的な記録を達成した直後も、ブレイディは45歳もしくはそれ以上までプレーしたいという願望を変えることはなかった。バッカニアーズのジェネラルマネジャー(GM)ジェイソン・リヒトは最近に契約延長の可能性に言及し、ブレイディには前代未聞のキャリアをさらに築いてほしいと述べている。
17シーズンでマニングが残した記録の中で、5回のNFL最優秀選手賞は唯一他の選手が超えられない記録かもしれない。ブレイディはリーグのMVPを3度しか手にしていない。とはいえ、5度のスーパーボウルMVP獲得はそれと同等もしくはそれ以上に輝かしい業績といえるだろう。
22回目のNFLシーズンに先立ち、ブレイディの次なる目標はマニングを超え、2つのフランチャイズで複数のスーパーボウルタイトルを獲得した唯一の先発QBになることかもしれない。NFL史上最も偉大なQB同士のライバル争いにとってはささいなことかもしれないが、ライバルの後を追うことこそ原動力になるもの。すでに誰よりも偉業を成し遂げている選手にとってはなおさらだ。
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