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カーディナルスWRグリーン、新天地アリゾナで気分一新

2021年03月19日(金) 22:27


A.J.グリーン【AP Photo/Nick Wass】

ワイドレシーバー(WR)のA.J.グリーンは10年にわたりシンシナティ・ベンガルスの顔として活躍した。チームのスター選手ではなくなるものの、新たな機会を求めて西へと向かったグリーンの足取りは軽い。

これまでの全キャリアをともにしたチームを去り、フレッシュなスタートを切れる場所を探し求めた結果、グリーンは今週にアリゾナ・カーディナルスと1年契約を結んだ。今回の移籍は2019年シーズンが始まる以前から、多くの人がグリーンの将来として思い描いていたものと言える。グリーンは砂漠地帯が広がるアリゾナで新たな生活を始める。

現地18日(木)に開かれた紹介記者会見でグリーンは「俺はシンシナティに10年間いて、そこしか知らない。アリゾナに来たことでかなりリフレッシュできている」と述べた。

「去年トム・ブレイディがやってのけたことを誰もが知っている。あれは良かった。特にアリゾナの気候や“芝”、ホームスタジアムがインドアなのも楽しみだ。このチームのオフェンスの一員として練習して、とにかくフットボールがプレーできるというだけでワクワクするよ。何かを証明する必要はないと思っている。このゲームでは長い間高いレベルでプレーしてきた自負がある。俺にとって大事なのはフィールドに出てフットボールをプレーして、楽しいという気持ちを取り戻すことだ」

ここ数年、ベンガルスでプレーすることが楽しいとは言い難い状況だったのは言うまでもない。とりわけ2020年以前は、将来のフランチャイズクオーターバック(QB)を見据えたチームに向けて再建が進められているのが明白な時期だった。そしてそのフランチャイズQBとなったジョー・バロウには大きな期待が寄せられるも、ケガによりベンガルスとの初シーズンは途中で終わる。

ケガによって失うものの大きさをグリーンは身をもって知っている。物腰のやわらかなグリーンが木曜日に“芝”を強調していたのは、ベンガルス時代に負った最近のケガと関係しているからだ。オハイオ州デイトン近郊のウェルカム・スタジアムで行われたトレーニングキャンプ中の特別練習でグリーンは足首を痛めている。このスタジアムのフィールドは人工芝だった。グリーンはこのケガにより2019年シーズンを棒に振る。さらに、その前年の2018年にはベンガルスの本拠地であるポール・ブラウン・スタジアムで負った親指のケガが原因でプレーした試合は9試合。このスタジアムも人工芝だ。

2020年にやっと万全のコンディションに戻ったグリーンを待ち受けていたのは、終わりの見えないパンデミックという新たな逆境だった。今度はバロウと関係を築くために必要な時間が奪われた。チームがバロウを失ってからグリーンはQBブランドン・アレンやQBライアン・フィンリーからのパスを受けることになるが、その結果、歴史的なキャリアは残念な形で終わりを遂げることになる。

若く、エネルギーに満ちたQBカイラー・マレーを擁するカーディナルスに移ったグリーンはこの新しい環境が自分にとって理想的だとし、新しいチームメイトとなるWRディアンドレ・ホプキンスの存在が特に大きいと話した。

ホプキンスについてグリーンは「彼がこのリーグで成し遂げてきたこと、彼のプレーヤーとしての資質を考えると、俺の肩の荷がだいぶ降りる」と述べている。

「彼のような選手の逆サイドでプレーするということは、きっとマンツーマンで守られることが多くなるだろう。楽しみだよ。毎週すべてが自分にかかっているオフェンスで10年間プレーしてきた。他にも優秀な選手のいるオフェンスで、プレーメイクのできる選手と一緒にフィールドに立てるこのチームなら、俺の仕事もかなり楽になるはずだ」

カーディナルスのレシーブ陣の中には他にもクリスチャン・カークや俊足のアンディ・イザベラがおり、将来の殿堂入りが有力視されているラリー・フィッツジェラルドも、本人が続投を望めばチームにとどまる可能性がある。フィッツジェラルドがもし残れば、カーディナルスはロースターに3人もの殿堂入り候補を抱える。グリーンは30歳を超えているとはいえ、しばらく現役を退くつもりはないようだ。

「まだまだプレーできる気がしている。気持ちは若いままだ」とグリーンは話した。

「足もまだいける。去年は何人ものQBとプレーすることになって、ケガから復帰したばかりだったし、俺にとっては厳しい年だったけど、それはそれで貴重な経験だった。フィールド上で人として成長でき、精神的にも強くなった。その一方でまだまだ高いレベルでプレーする余力があると思っている」

この秋にグリーンにはそのことを証明する機会が与えられる。選手をそろえたカーディナルスの可能性がいかほどかも、その時になれば分かるだろう。

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