ブロンコスQBロックは「自分の未来を握っている」と元チームメイトRBリンゼイ
2021年04月01日(木) 16:22ランニングバック(RB)フィリップ・リンゼイの地元大学のスター選手からドラフト外のフリーエージェント(FA)、そしてプロボウラーへと至る信じがたい選手生活は、2020年を前に始まったばかりのように思われた。
リンゼイは今、長年住み続けたデンバーを離れ、テキサンズとの新しい機会を求めてヒューストンへと向かう。リンゼイはデンバー・ブロンコスとの最初の2シーズンで合計2,048ヤードとタッチダウン16回をランで達成。だがRBメルビン・ゴードンの加入によってリンゼイのキャリー数は半減し、使い捨ての選手のような扱いを受けた。それもこれも今回の移籍によって終わりを迎える。リンゼイは今となってはすべてのことが起きて良かったと話す一方で、元チームメイトが同じ運命をたどらないように活躍することを願っていると言う。
その元チームメイトとは、クオーターバック(QB)ドリュー・ロックのことだ。ロックは重要な3シーズン目を迎えるが、ブロンコスの期待に応えられるようなプレーができなければ、これが最後のシーズンになるかもしれない。実力を証明できないQBに残されたゲームクロックの時間はいつになく少なく、ロックは第4クオーターに突入したも同然。今ならリンゼイにもそのことが痛いほど分かるだろう。
リンゼイは『SiriusXM NFL Radio(シリウスXM NFLラジオ)』に出演した際に「ドリューは自分の未来を握っている」と『9News(9ニュース)』のマイク・クリスに話した。
「ドリューには成功できる条件がそろっている。彼はそれを活かさなきゃいけない。成長し続けられるかは彼にかかっている。敵は自分自身なんだ。他に相手はいない」
過去2シーズンの大半でロックとハドルをともにした選手からの力強い言葉と言える。周りの人ではなく、責任はすべてロックにあるとリンゼイははっきり述べている。ロックは最高の選手たちに恵まれていないかもしれないが、だからといってニューヨーク・ジェッツのQBサム・ダーノルドが置かれていた状況ほどブロンコスのチームは悪くない。
2021年に向けてデンバーはより良い結果を出すための準備を進めており、デンバーでの自分の運命を握るロックの手に、ブロンコスの運命も委ねられている。
リンゼイはさらに次のように続けた。
「ブロンコスのディフェンスはすごく良くなる。(ヘッドコーチの)ファンジオはその辺りがうまいんだ。でもドリューはそれとは関係なく、“去年やらなかったことで今年やるべきことは何か。それによって自分はもっと成長できるのか”ということに集中しなければならない。彼ならそれができる」
「ドリューは飢えてるんだ。自分に対する批判を耳にしている。でもドリューにとって大事なのは周りの声ではなく、自分と向き合うことだ。鏡の中で本当の自分を見つけることができれば、これから素晴らしいキャリアが待っている」
リンゼイはロックのことを信じている一方で、ロックが自分の成果に責任を持たなければならないことも分かっている。ロックは2019年のシーズン後半から起用されながらも有望株と見なされた。ところが主力選手がケガに見舞われ、自身も負傷したことにより2020年シーズンは冴えず、パサーレーティングが89.7から75.4に落ちたのに加え、先発としての戦績は4勝9敗に終わっている。挽回する時間が刻々と減る中で言い訳をしている余裕などない。リンゼイは、最終的にはロックが自分の成長のためにどのような努力をするかにかかっていると考えているようだ。
ブロンコスにはもう、支える手や補助輪は存在しない。それがNFLという世界だ。リンゼイがこの数カ月で素早く学んだ教訓ともいえる。直近の成果が最も重要であり、それまでに輝かしい功績を収めてきた一部の選手にのみ、スランプというものが許される。
ロックは2021年にスランプに陥っている場合ではない。新しくジェネラルマネジャー(GM)になったジョージ・ペイトンに人事権があるとなればなおさらだ。誰もが問いかけている、ロックにしか答えられない問題の解決をリンゼイは遠くから見守ることになる。
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