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ジェイレン・ハーツの指名がQBウェンツを追い込んだのではないとライクHC

2021年05月08日(土) 03:56


フィラデルフィア・イーグルスのカーソン・ウェンツ【AP Photo/Matt Ludtke】

かつて天にも届くほどのポテンシャルがあったカーソン・ウェンツをフランク・ライクは目の前で見ていた。

そして、ウェンツが足を踏み外し、ほどなくしてフィラデルフィアでの職を失うのを離れたところから見ていた。彼と再タッグを組むことになったイーグルスの元攻撃コーディネーター(OC)でインディアナポリス・コルツの現ヘッドコーチ(HC)は、ウェンツの次のステップを素晴らしい機会だと考えている。

だがまずは、ウェンツ――イーグルスの元フランチャイズクオーターバック(QB)――がなぜ、たった4年でコルツのライクの下にやってくることになったのかを整理してみよう。2人はイーグルスで大躍進を遂げ、初のロンバルディ・トロフィーを獲得したのではなかったか?

始まりは、いや少なくとも流れが加速した地点は、2020年のドラフトでイーグルスがQBジェイレン・ハーツを2巡目で指名したところからだ。その後、フィラデルフィアのオフェンシブラインにはけが人が相次いだ――プロボウル選出のガード(G)ブランドン・ブルックス、タックル(T)アンドレ・ディラードはレギュラーシーズン中に1度もスナップをプレーしていない。かつて強さを誇ったイーグルスのオフェンシブラインは、すっかり弱体化してしまった。加えて彼らは一向にウェンツの周囲に強力なレシーバー陣を敷くことができずにいた。2020年の1巡目指名、ワイドレシーバー(WR)のジェイレン・リーゴーがけがに見舞われてしまうなど、理想とはほど遠い状況が出来上がってしまった。

それでも、ウェンツほど特別な才能を見せた選手ならば、2020年のイーグルスがどんな状態であろうとポテンシャルを最大限に発揮できたはずではないだろうか? 後知恵ではあるが、そうではなかった。彼は2020年に世界に向けて、そのプレッシャー(パスラッシュもソーシャルでも)が大き過ぎたことを露呈してしまった。シーズン末を迎える頃にはハーツによってベンチに追いやられ、かつてNFLで最も有望な選手と呼ばれた自信は次第に奪われていってしまった。

ライクはウェンツが一番輝いていた頃を知っている。ウェンツはまだへし折れていないと彼は信じており、ハーツの指名が悪影響を与えたのではなく、屈してしまったプレッシャーにも対処できるはずだという。

「私はそうは思わない。それが私の考えだ」と『Rich Eisen Show(リッチ・アイゼン・ショー)』に出演したライクは述べた。「あくまで私の意見だが、他の選手のドラフト指名がカーソンをテールスピンに追い込んだとは思わないね」

「複雑な事情があるのだろう。多くの力が作用したんだ。このリーグでは勝ち負けの際に、成功も失敗も全員で分かち合うべきなのだ。だがなかなかそうはいかない。たいていの場合はQB、HCやジェネラルマネジャー(GM)に集中しがちだ。それで、カーソンに非難が集中してしまった。それはこのリーグのQBになるプロセスの一部なんだよ。大人になり、それを引き受けられるようにならなければいけない」

インタビューの序盤、ライクはウェンツが2017年にMVP級の活躍を見せながらも、ACL(前十字靱帯)のけがによってシーズンを早期に終えた際にも非難はあったが、彼には屈強なオフェンシブラインと信頼できるラッシングアタックのサポートがあったと指摘した。2020年のイーグルスはそうではなかった。“全員が責めを負うべき”という彼の持論を説明している。

ウェンツはこれから、先ほど言及された“大人”になって、立ち直れるのかどうかを試されることになる。ライク個人は、彼のチャレンジに生き生きとしている。

「リセットボタンを押すチャンスだ」と彼は言う。「イーグルスにとってもリセットボタンのチャンスだ。私はイーグルスの成功を誰よりも願っているし、ジェイレン・ハーツも含めて両チームにとってウィンウィンになってほしい。素晴らしいQBのプレーは大好きだよ。だが、われわれは彼を獲得できて良かったと思っている」

ベストな状態のウェンツについて疑いなく証言でき、最高の状態になるには何が必要かを知っている数少ないHCの1人がライクだ。ウェンツの改善を助けるための環境を作れるかどうかは、ライクとコルツのGMクリス・バラードにかかっている。2020年に悪夢を見た彼にはそれが必要だ。

チャレンジは彼らの目の前にある。

「私ほどカーソンのことをよく知っていれば、彼がそれを受け止めることが分かるはずだ」とライクは述べた。

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