ニュース

ビルズのマクダーモットHC、キャンプ開始に向けて選手らのワクチン接種状況を「心配」

2021年05月26日(水) 16:03

バッファロー・ビルズのヘッドコーチ(HC)ショーン・マクダーモット【AP Photo/Charlie Riedel】

バッファロー・ビルズのヘッドコーチ(HC)を務めるショーン・マクダーモットはもし十分な人数の選手が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種しなければ、トレーニングキャンプ開始時にCOVID-19プロトコルの制限が緩和されず、チームが後れを取る可能性があることを懸念している。

マクダーモットHCは現地25日(火)、ビルズの有名プレーヤーとその配偶者の間で意見が分かれている問題を取り上げ、選手にワクチン接種を説得するのではなく、教育することに重点を置いたメッセージを発信した。

何人のビルズ選手がワクチンを接種したかを明かすことはなかったが、マクダーモットHCはチームのミーティングや練習を正常に実施できるようになるには時間が足りなくなっていると明かしている。

ビルズが第1週の自主練習を開始した翌日に開かれた30分ほどのビデオ会議で、マクダーモットHCは「それを心配している。率直に言うとそうなる。今は時間的な要素が少しずつ関わってきており、それが自分たちの不利に働いているか、あるいはより多くの選手たちが受けられないようになっているのではないかと思っている」と語った。

マクダーモットHCが言及しているのは2回の接種を必要とするCOVID-19ワクチンを完全に接種し終えるには少なくとも6週間かかる点だ。このタイムフレームはまもなく7月下旬に始まるトレーニングキャンプにかかってくる。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)がワクチンを完全に接種した人々に対するマスク着用のガイダンスを緩和したことに伴い、NFLでは5月14日よりワクチンを完全接種したNFL選手と関係スタッフは地域のガイドラインに従っている限り、クラブ施設の内外でマスクの着用義務を課されないことになっている。また、NFLはルーキーのミニキャンプを前に、新人選手らにCOVID-19ワクチンを提供するよう各チームに呼びかけていた。それ以前の4月には、NFLはワクチン完全接種者の毎日の検査を免除し、週に一度の検査で済むようになること、移動後の“エントリー”検査を受ける必要がなくなることを発表している。これらの緩和されたプロトコルはワクチンを接種していないビルズの選手らには適用されない。

NFLの全チームが自施設での練習を制限してから1年が経過する中、ワクチンを接種した選手の人数は、ビルズがいつもプレシーズンを過ごしてきたニューヨーク州郊外のロチェスターでのキャンプを再開するという提案にも影響する可能性がある。

マクダーモットHCはキャンプの一部を遠隔地で実施することで、選手の絆を深められると考えている。

しかしながら、マクダーモットHCは個人的な判断であるとしつつ、プロとしての自覚や健康面および安全面での配慮が必要であるとも指摘した。

「いわゆる両面があることだと思う。健康と安全が伴うのなら、仕事をするためにやるべきことをやる必要がある。つまり、今考えるべきはこの2つであり、真剣に考えていかなければならないと思っている」

先月、ビルズのクオーターバック(QB)ジョシュ・アレンは『The Ringer(ザ・リンガー)』のポッドキャストでワクチン接種の判断は個人の自由だと話し、自身がCOVID-19ワクチンを接種するかどうかはまだ検討中だと明かしていた。

25日にメディアの取材に応じたアレンはワクチンを接種したかどうかを問われたものの、この問題に関する自分の考えやチームメイトの考えを「内輪の話」にとどめる意向を主張した。

「その質問に関しては、ワクチンが話題になるだろうとは思っているし、シーズン中もずっとその話題が続くだろう。俺たちはチームとして会話している。そういう会話のこともそうだし、自分やチームメイトの選択肢については内々で話すことだと思っている」

同じ日、マクダーモットHCは選手がワクチンを接種するべき理由として、タイトエンド(TE)トミー・スウィーニーという具体名を挙げて説明。スウィーニーはCOVID-19の陽性反応を示した後、シーズンを全休しており、さらに後遺症とされる心臓の炎症の診断も受けたが、今シーズンには復帰すると見られている。

NFLとNFL選手会(NFLPA)は選手らにワクチン接種を奨励しているが、強制はしていない。ただ、NFLは選手やスタッフの接種率が一定以上に達したチームに関しては、練習やミーティングの制限緩和を検討している。

昨年は一度に集まれる選手やコーチの数が制限されており、どのチームもミーティングをZoomで実施する必要に迫られ、さらに、チーム関係者や選手は毎日COVID-19の検査を受け、マスクの着用も義務化されていた。

自主練習には70名ほどのビルズプレーヤーが参加していたが、ワイドレシーバー(WR)ステフォン・ディッグスや、昨季をオプトアウトして今季に合流予定のディフェンシブタックル(DT)スター・ロトゥレレアは欠席している。

ワクチン接種に関する疑問は一部の者にとってホットトピックではあるものの、今オフシーズン、ビルズでは具体的な議論の種になってきた。

今月初旬にはNFLが各チームに対し、ワクチン接種を受けていないことを理由に選手を放出することはできないと通達している。

これはビルズのジェネラルマネジャー(GM)を務めるブランドン・ビーンがチーム施設内でのミーティングやオフシーズンプログラムの自由度が高まるのであれば、ワクチン未接種の選手のリリースを検討するかもしれないと発言したことを受けての対応だった。

WRコール・ビーズリーは先ごろ、ワクチン接種やマスク着用の義務化に疑問を呈するツイートを投稿し、また、先発セーフティ(S)ジョーダン・ポイヤーの妻であるレイチェル・ブッシュさんは自身のツイッターアカウントでマスク着用やワクチン接種の義務化について積極的に抗議している。レイチェルさんは約9万1,000人のフォロワーを持つインスタグラムモデルでもある。

3週間前、レイチェルさんは多数の有名選手がワクチン接種に反対していることを指摘し、ビルズにワクチンを接種させようとする動きが分裂的になるのではないかと疑問を呈す内容を投稿していたが後に削除している。

マクダーモットHCはレイチェルさんの投稿について具体的な質問を受けたものの、コメントを差し控えた。


著作:『The Associated Press(AP通信)


【C】