ブリーズの代わりなどいないとセインツQBヒル
2021年06月02日(水) 17:0515年にわたって殿堂級のクオーターバック(QB)のプレーを見続けてきたニューオーリンズ・セインツの先発QBが今季に変わる。ドリュー・ブリーズの引退によって、誰が2021年にショーン・ペイトンHC(ヘッドコーチ)の攻撃陣を率いるのかを競うテイサム・ヒルとジェイミス・ウィンストンによるオフシーズンのポジション争いが幕を開けている。
昨シーズン、ブリーズは負傷によって4試合を欠場した。シーズンが始まる前にペイトンHCが約束していた通り、その際に先発の役割を担ったのはヒルだった。オフシーズンプログラムをフルで実施できる今年は、ヒルはトレーニングキャンプの間にウィンストンを倒さなければならない。
ヒルは『New Orleans Advocate(ニューオーリンズ・アドボケート)』のロッド・ウオーカーに対し、競争に勝つためにギアを上げていると語ったものの、すぐにブリーズの大きな存在を埋めることはできないと承知している。
「俺が何よりも最初に把握したのは、ドリュー・ブリーズの代役など存在しないということだ」とヒルは言う。
「彼はこれをやってきた中で最高の選手の一人。でも、俺がNFLへ向けた準備を整えた中で、俺の目標やマインドセットは自分がひとかどの男になれるチャンスがあるならば、ただ自分にできるすべてをやるってことだった。NFLにはたった32人の先発しかいない。だから、今年やトレーニングキャンプ、OTA、シーズンを楽しみにしている中で、そんなチャンスがあることに本当にワクワクしている。それはルーキーだった2017年に最初にNFLに来てからの俺の目標であり、考え方だ。だからこそ間違っても軽くは捉えていないし、自分の持てる全力を尽くす」
ヒルは過去4年間をニューオーリンズで過ごし、何でも屋としてスペシャルチームのメンバーやレシーバー、タイトエンド、ブロッカー、ランニングバック、クオーターバックとして働いてきた。
常にQBとして成長してきた30歳のヒルは、QBに戻るよりもさまざまな役割を学ぶことの方が難しいと考えている。ヒルはシグナルコーラーの役割だけに集中することは、ブリーズの後任を目指す上で大きな後押しになるとつけ加えた。
QBに集中することについてヒルは「ああ、いいことだよ」と応じている。
「結局のところ、俺が最初にここに来たときも、俺はこういうことすべてを始めた。“目標は?”と聞かれれば、いつでもQBをプレーすることだった。俺の心は一人のQBであり、それが俺のマインドセット。自分のオフシーズンプログラムのすべてを使ってQBとしてできるだけ良い状態になるために調整できるのは本当にいいことだ」
ヒルはまず、ウィンストンを倒さなければならない。
「当然だけど個人としての目標があり、上限いっぱいの目標がある。競争やそういったすべてについてさまざまに話されているけれど、俺としては結局のところ、自分ができるだけいい位置にいることを助けてくれるはずのものをいくつか手にしている。だから、一人のQBとして、集中していくべきところはいつでも意思決定やタイミング、正確性だ。結局、俺はできるだけ良い人間であるため、できるだけ良い選手であるためにいつも自分自身と競っているんだ」とヒルは話した。
昨シーズン、ヒルは先発4試合でパスアテンプト114回、成功率72%、834ヤード、タッチダウン4回、インターセプト2回を記録。セインツはヒルが先発に立った際に試合平均24ポイントをマークしている。攻撃陣はときに行き詰まり、ヒルの正確性の不足がドライブキラーとなっていた。ヒルがもたらした最も良い要素は、多次元的なランニングアビリティだった。
ヒルとウィンストンの間の違いは大きい。前者はランナーであり、後者はポケットパサーだ。ペイトンHCがブリーズから離れてどういったタイプの攻撃陣を目指すのかが、いずれかに有利になる可能性はある。
セインツのロースターに長期的なQBのアンサーがない状態だ。どちらかが1年限りの代役にはとどまらないことを証明しない限り、ブリーズの後継者になるためのヒルとウィンストンの争いは1年にわたるものになるかもしれない。
【A】