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スティーラーズの一員であり続けたいQBルドルフ、2021年だけを見据える

2021年06月09日(水) 22:37


ピッツバーグ・スティーラーズのメイソン・ルドルフ【AP Photo/Don Wright】

クオーターバック(QB)メイソン・ルドルフのNFLでのキャリアは何らかの形で常にQBベン・ロスリスバーガーと結びついている。

2018年にルドルフが3巡目の指名でピッツバーグ・スティーラーズに入団した時、新人を手助けするのに必要以上のことはしないと話していたのはロスリスバーガーだ。2019年にルドルフが10試合に出場し、そのうち8試合に先発することができたのはロスリスバーガーが負傷したからだった。

そして2020年、ロスリスバーガーの1週間の休養があったからこそ、ルドルフは先発かつフル出場を果たすことができた。ビッグ・ベンの将来が不透明なまま始まった2021年、大ベテランの存在によりルドルフはまたしても陽の目を見ないシーズンを送ることになりそうだ。そのデメリットは単純明快。今年はルドルフのルーキー契約の最終年でもある。

ルドルフはスティーラーズの先発の座を勝ち取るためのチャンスを得られないまま終わるのか。その可能性は高い。しかしながら、ルドルフには2019年にその機会があったにもかかわらず、ものにできなかったとも言える。いずれにせよ、ルドルフ本人は今のところ他のチームには行きたくないようだ。

ルドルフは現地8日(火)に「どんな状況でもピッツバーグにいたい」と『Zoom(ズーム)』を通して『Pittsburgh Post-Gazette(ピッツバーグ・ポスト・ガゼット)』に話している。「俺はこのチームにドラフトされた。ここがホームだ。ここでプレーし続けたい」

ルドルフはプロとしてのキャリアにおいては全体的に印象の薄い選手だ。それでも2019年には先発として5勝3敗の成績を残すことができ、誰も予想していなかったスティーラーズのプレーオフ進出にわずかながら貢献した。たが、その後はせっかく転がり込んできた機会を棒に振っている。ルドルフは2020年に唯一先発した試合で敗れたが、それはすでにディビジョン優勝が確実となったスティーラーズが複数の主力選手を休ませていたためでもある。

奇妙なことに、その試合はルドルフにとってNFLでの最高のゲームだったかもしれない。最後にクリーブランド・ブラウンズのファーストエナジー・スタジアムのフィールドに立った2019年11月にルドルフは4つのインターセプトを喫し、その後ブラウンズのディフェンシブエンド(DE)マイルス・ギャレットとのいさかいをきっかけに乱闘騒ぎがぼっ発。災難な形でその夜を終えた。それから1年余り、シーズン第17週のブラウンズ戦でルドルフはプロとして初めて300パスヤードを突破し、2つのタッチダウンを決め、ブラウンズをプレーオフ争いから引きずり下ろす寸前までいった。

ところが、勝利を収めたのはブラウンズだった。その1週間後に今度はロスリスバーガーがワイルドカードでブラウンズ相手に48-37の敗北を味わう。その結果、ロスリスバーガーと新たな契約を結んだピッツバーグが今シーズン以降も優勝争いに絡めるチームなのかを疑う者が増えた。ルドルフがいてもいなくても。

つまり、ルドルフが現状で果たす役割はさほど重要ではないということだ。とはいえ、あの第17週の試合はルドルフがロスリスバーガーの影に隠れている間にも成長しているかを示す最も良い例となるかもしれない。ルドルフはブラウンズの弱ったセカンダリーを相手に深いパスをつなぎ、勢いをつけた。24対9の劣勢を挽回しかけたものの、試合の残り90秒で2ポイントコンバージョンを試みて失敗。スティーラーズのオフェンスはトップ選手がいない中で活路を見いだすことができた。ここでルドルフは2021年に向けて必要な自信を得ることができたのかもしれない。

ただ問題なのは、ルドルフにはその自信を発揮する場がないことだ。その機会が巡ってくる頃にはスティーラーズとの契約は切れているかもしれない。あるいは、QBジョシュア・ドブスや新加入のQBドウェイン・ハスキンズの方が良いと判断された場合、ナンバーワンの選択肢にはならない可能性もある。

ハスキンスとドブスについてルドルフは「いつもワクワクしているし、いつだって競争を楽しみにしている」と述べた。「競争は毎年あるわけで、変わるのは相手が誰になるかだけだ」

その間もルドルフはまるで自分が先発QBかのように、もしくは今にも抜擢されるかのように振る舞っている。

「それが俺のゴールだ。このリーグで、このチームで先発QBになること。毎日そのゴールに向けて励んでいる。自分がコントロールできるのは自分自身と、どうやって準備をするかだけ。どうやってOTAやキャンプに臨んでプレーするか。そういうことを頭の片隅に置いている」とルドルフは語った。

「2022年とか、その先のことは気にしていない。この瞬間を大切にして、チームのためにベストを尽くしたいと思っている」

ルドルフがスティーラーズで活躍するチャンスは次第に減っていくかもしれないが、それはスティーラーズのあらゆることにも言える。1年後のチームがどうなっているかは誰にも分からない。

【R】