いまだ野球の可能性を捨てていないカーディナルスQBマレー
2021年06月11日(金) 11:57アリゾナ・カーディナルスのクオーターバック(QB)カイラー・マレーがフットボールへのコミットメントを誓ってから2年がたった。それ以来、NFLの若手の中でもトップ選手の一人に成長してきたマレーは、今やフランチャイズQBを務めている。シーズンが過ぎていくごとに、マレーが野球をプレーするという考えは現実味を失っていった。
ただし、本人にとってはその限りではない。
『Sports Illustrated(スポーツ・イラストレイティッド)』でゲームの腕前を特集されたマレーは現地10日(木)、いまだダイアモンドに戻る扉は閉じられていないと話した。
カーディナルスの公式サイトによれば、マレーは「俺は今も3つのスポーツのタイトルを持っている。自分がやりたいことをやるときが来たら、実際にそうなるかはともかく、俺はその可能性を捨てていない。確実に今でもプレーできると思うけれど、今はそこにゲームを足さなきゃ。俺をごまかさないでくれよ」と話したという。
NFLとMLBで同時にプレーすることは、もちろんマレーにとって幻想ではない。両方のスポーツで1巡目指名を受けたのは、マレーが初めてだ。オクラホマ大学出身のマレーは2019年にオークランド・アスレチックスの春季トレーニングに参加する予定だったが、ハイズマン賞を勝ち取ってトップQB候補となり、フットボールの道を進むことを選んだ。
マレーのコメントからは、たとえ常に思い浮かべていなかったとしても、まだ野球が胸のうちにあることが分かる。そのことが、カーディナルスとそのスターQBの間にさらなる対話を必要とさせるかもしれない。
「周りの皆は多分違うふうに感じているんだと分かっている。でも、俺個人としては、そのゲームをずっとプレーしてきた。チャンスがあれば、間違いなく挑戦するだろう。俺たちが何について話しているかって? 俺にそのことを聞いているやつだって、誰でもそういうチャンスがあればつかむと思うぜ。何かを始めようとしているわけじゃない。ただ話しているだけさ」とマレーは言う。
マレーにそういったチャンスが再び現れる可能性は否定できない。まだ23歳なのだ。とは言え、今の契約は野球をプレーすることを禁じている。3年目のQBが次の契約を結ぶときに、事情が変わってくるかもしれない。それは早ければ2022年のことになる。
ボー・ジャクソンやディオン・サンダースも20代前半でプロフットボールか、ベースボールか、どちらでキャリアを積むのかジャッジしてきた。フットボールをやめて野球のみに専念することを決めたとき、ブライアン・ジョーダンは25歳だった。とは言え、これらの3人は時代が違い、今よりもサラリーがずっと低かった。そして、彼らの誰もQBではない。
言い換えれば、マレーがフィールドでフットボール以外のものを投げるところを見なかったとしても、まったく驚きではないということだ。
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