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ラムズQBスタッフォードのトレードを振り返るマクベイHCと49ersシャナハンHC

2021年07月08日(木) 11:35


マシュー・スタッフォードのジャージー【Kirby Lee via AP】

ロサンゼルス・ラムズがクオーターバック(QB)のマシュー・スタッフォードを超大型トレードによって獲得したとき、スタッフォードとヘッドコーチ(HC)のショーン・マクベイがメキシコのリゾート地、カボ・サン・ルーカスにいたのは有名な話だ。別のNFLのキーパーソンも現地でこのトレードを違った視点から見ていた。サンフランシスコ・49ersのカイル・シャナハンHCだ。

49ersがスタッフォードとのトレードの可能性を模索している中、シャナハンHCは32歳のQBを念入りに研究していた。

シャナハンHCは先日、マクベイHCと『NFL Network(NFLネットワーク)』のピーター・シュレーガーとともに『Flying Coach podcast(フライング・コーチ・ポッドキャスト)』に出演。マクベイHCはラムズの新戦力をどう思うかとシャナハンHCに尋ねてからかった。

「おい、その話は勘弁してくれよ」とシャナハンHCは切り出しながらも次のように続けている。

「あれは悔しかったな。私もカボにいて研究していたんだ。誰もが可能性があると言っていたから、念入りに目を通したのを覚えている。スタッフォードは間違いないと思った。大学を出た後の彼をくまなく調べて、いつも彼とは対戦しているからその実力も分かっていた。でも彼を獲得できるかもしれないと思いながら2週間かけて実際に観察してみると、ショーン、確かに彼は思っていた以上に優秀な選手だよ。他とは決定的に違う。私は彼を過小評価していたようだ。君がどれだけ良い選手を手に入れたかは分かっているさ。プレーアクションに長けていることも、賢いことも知っている。剛腕なだけじゃなくてボールタッチもしっかりしているから正確に投げられる。だから私だって関わろうとしていたんだ」

「あの土曜日は忘れない。ストレスがかなり溜まっていて、夜の7時頃にやっと人に相談したら、相手は“今は(トレードに)動きはない。早くても明日だろう。だから今夜はゆっくりして大丈夫だ”って言ったんだ。だから私も仕事を切り上げた。電話を切って妻に“食事にでも出かけて飲もう”って声をかけた。ところが30分後に電話があって、“スタッフォードがほしいなら今すぐ彼を捕まえろ”と言われたから、私は“どういうことだ? さっき話したばかりじゃないか。今夜は動かなくていいって。明日彼らと話すって”と返したら“俺がただ言いたいのは、今すぐ彼と話すべきだ”と。そして、すべてが終わったんだ」

マクベイHCは「気休めにしかならないと思うけど、私としても思っていた以上に早くまとまったんだよ、カイル」と返答。

シャナハンHCはこれに対して「私もカボにいたっていうのに。その場に乗り込んで、2人が気持ち良く祝福できないように気まずい雰囲気にしてやればよかった。追い出すしかないくらいにな」と冗談を返した。

ここで余談を。
 1. 1月か2月にカボに行くとNFLのコーチやスター選手に偶然会えるかもしれないから、行った方がいいようだ。
 2. マクベイHCがシャナハンHCに新しい武器のことを尋ねるのは、仲の良い友人だけができること。「おい、俺の新しいヨットはどうだ? 前のヨットより大きいぞ!」と。

最終的にラムズは1巡目指名権2つとQBジャレッド・ゴフをデトロイト・ライオンズに送ることでスタッフォードを獲得した。スタッフォードはここ数シーズン低迷しているものの、ラムズはチームをトップに導いてくれる選手として彼を見込んだようだ。

49ersはスタッフォードのトレードに興味を持ってはいたが、入札がエスカレートするのを見て結局は正式なオファーを出さなかったと報じられている。シャナハンHCは、スタッフォードを研究していたのにライバルに持って行かれてしまったと嘆いていたが、それはつまり、49ersはいずれQBジミー・ガロポロの後を継ぐ選手を見つけようとしていたことを示している。その代わり、49ersは1巡目の指名権3つと引き換えに全体3位の指名権を獲得し、QBトレイ・ランスを手に入れることになる。

49ers がNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区で年に2回もスタッフォードと対戦することを考えれば、シャナハンHCがカボで彼の動画を検証したことは決して無駄にはならないだろう。

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