イーグルスはQBウェンツを傷つけるためにハーツを獲得したわけではないと元HCペダーソン
2021年07月08日(木) 17:441年前のこの時期、フィラデルフィア・イーグルスがクオーターバック(QB)ジェイレン・ハーツを指名したことはいまだ困惑を呼んでいた。
彼はイーグルスのオフェンスに、例えばテイサム・ヒルのようなもう1つの要素をもたらすことができるのだろうか? フランチャイズQBがまだ全盛期にあっても、未来のQBとなり得るのだろうか? さまざまな臆測が飛び交った。
現在、ヘッドコーチ(HC)だったダグ・ペダーソンはいなくなり、悪夢のような2020年シーズンを終えたQBのカーソン・ウェンツもチームを去った。ウェンツがキャリアワーストを記録し、ペダーソンがNFCワーストの4勝11敗1分に終わったシーズンで、ハーツのポテンシャルだけがハイライトとして残った。
イーグルスが2020年のNFLドラフト2巡目でハーツを指名したことが、クラブを内部から崩壊させた不協和音のスタート地点だったとして、多くのことが書き立てられた。
だが、ハーツの指名はウェンツの価値を下げるためになされたことではないとペダーソンは強く主張する。NFLでは常にQBを探し求めているものであり、特に唯一のスーパーボウル勝利がバックアップQBによって達成されたものならなおさらだというのが彼の持論だ。
「ドラフトというのは、毎年QBを探しにいく場所だ」とペダーソンは『SiriusXM NFL Radio(シリウスXM NFLラジオ)』に述べた。「われわれも、QBを探し続けた。それは今後も決して変わることはない。われわれはバックアップQBでスーパーボウルに勝利した。フィラデルフィアではバックアップでプレーしなければならないことが何度かあった。だから、1年前もそうしてジェイレン・ハーツを獲得した。そこにはカーソン・ウェンツを傷つけようなどといった意図はない。彼の仕事を取り上げようとか、そうした考えも一切ない。カーソンは間違いなくわれわれの先発だったからだ。彼がフランチャイズなのは分かり切ったことだった。それでも、誰かを加えて、その人物がバックアップとなり、NFLでのやり方を学ぶことができたとしたら、フィラデルフィア・イーグルスに才能をもたらしてくれるのはいいことではないか」
そのハーツの才能は、イーグルスの新時代で1年目のHCニック・シリアニの下、新たなリーダーとして活用されるだろう。昨年、NFC東地区最下位に終わった彼らがそこから立て直すには、大がかりな仕事が必要だ。波乱に満ち、勝利はまれで、障害が山積みだった昨シーズンは、イーグルスにとって惨禍だった。
伝統と化したけが人の多発は続き、ウェンツのプレーは急激に落ち込んだ。ペダーソンの目から見て、それはフリーフォールのようだったが、彼は自らの手でそこからフランチャイズを脱出させたいと願っていた。しかし、そのチャンスが彼に与えられることはなかった。ウェンツはインディアナポリス・コルツに送り出され、ペダーソンはサイドラインではなく、新たな機会を求めて地上をさまよい歩いている。
「いよいよシーズンが始まると、物事が手に負えない状況へと陥っていった」とペダーソンは述べた。「けが人が絶えなくなっていった。プレーはどうにもうまくいかない。ターンオーバーやら何やらいろいろ起きて、ペナルティ、さらなるけがが問題を悪化させた。1年が進むにつれ、どんどん状況が難しくなっていった。昨年の出来事は全て、誰か1人の責任ではない。私にとっても不運だった。なぜなら、本気で自分たちの問題解決に取り組み、今年か来年かは分からないが、全てを軌道に戻す機会が欲しいと願っていたのだからね。だが見ての通り、それは実現しなかった。私は“たられば”についてうだうだと考え続ける方ではない。未来に集中し、それを楽しみにするんだ」
思い返してみれば、2017年シーズンにスーパーボウルで優勝したイーグルスが頂点から転落し、2021年にほぼまっさらな状態からスタートする姿には驚きを禁じ得ない。
ペダーソンも同様にフレッシュなスタートを求めており、イーグルスをスーパーボウルへと導いた唯一のHCという経験に裏打ちされ、コーチ復帰への意欲を示す。彼は過去ではなく、前に目を向ける。
「2016年に雇われた際の私のゴールは、フィラデルフィアにタイトルをもたらすことだった。それをわれわれは2年目に達成した」とペダーソンは述べた。「だから、そこでの任期を振り返り、多くのポジティブ面を引き出せる。私は過去のことでくよくよするつもりはない。そこから学び、もう一度コーチの機会を与えられたなら――そうなることを願っている――良かった部分を生かしたい」
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