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49ersのトレードアップはTEピッツ獲得のためだと見ていたラムズQBマクベイHC

2021年07月09日(金) 22:03

アトランタ・ファルコンズのカイル・ピッツ【AP Photo/John Bazemore】

サンフランシスコ・49ersがいくつもの指名権と引き換えに2021年のNFLドラフトで全体3位指名にまで順位を上げた際、当日までの数週間は49ersがどの選手を狙っているのかという憶測が飛び交った。

そのほとんどは、クオーターバック(QB)ジミー・ガロポロの控えとして、大きな代償を払ってまで49ersが獲得しようとしているQBは一体誰なのかというところに集中した。4月に最も盛んだったのは、それがマック・ジョーンズかトレイ・ランスかという議論だ。

当時は少数派ながらも、49ersがフロリダ大学のタイトエンド(TE)カイル・ピッツを指名して、世間をあっと言わせるのではないかと考えていた人たちもいた。それは、ピッツがヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハンのシステムにぴったりで、TEジョージ・キトルと組めば49ersのオフェンスは空中戦でも地上戦でも、ほとんど止められなくなるだろうという考えに基づく。

ロサンゼルス・ラムズのショーン・マクベイHCと『NFL Network(NFLネットワーク)』のピーター・シュレーガーがホストを務める『Flying Coach podcast(フライング・コーチ・ポッドキャスト)』でマクベイHCは、収録に参加したシャナハンHCがピッツを狙っていると思っている一人だったことを明かした。それを報じた『49ers Web Zone(49ersウェブ・ゾーン)』によれば、マクベイHCはこう話している。

「カイルは3位指名でピッツを選ぶと思っていたんだ。真面目な話、彼には先見の明があるからな。ニューイングランド(ペイトリオッツ)が2人のタイトエンドをセットで起用していた頃は今とまったく違うオフェンスだったことを考えれば、それほどクレイジーな発想ではないだろう。そこでキトルが頭をよぎって、ジミーがまだ活躍していることを考えれば合点がいくんだ。これはプレーを生み出せるかどうかの問題じゃなくて、手に入れられるかどうかの問題だ。すべてがそうであるように“あれは無理だな”ってなっていくんだよ」

「それで私は、マック・ジョーンズじゃないなら…と考えていたんだ。トレイはほとんどノーマークだった。ここ数年の動画はあまり出回っていなかったようだし、われわれのチームはQBを狙っていなかった。だからプロデーで投げる彼の姿を見たくらいで、その日は自分の興味のあるものを中心に注意を向けていた」

結局49ersはランスを選んだ。ジョーンズ指名の推測もある中、シャナハンHCは初めからランスを狙っていたと話している。ドラフトの夜に電話がかかってくるまで自分が指名されるとは思わなかったとランス自身も言っているくらい、49ersは周囲を騙し通したのだ。ピッツはというと、全体4位でアトランタ・ファルコンズに指名されている。

マクベイHCによると、親友のシャナハンHCはディビジョンライバルたちの裏をかくことにも成功したという。「みんな彼には騙されたよ。私たちが少しでも情報を引き出そうとした相手さえも巻き込んで」とマクベイHCはシャナハンHCについて述べている。

ピッツのような武器を手に入れた49ersのオフェンスを想像するのも悪くないが、指名順を12位から3位に上げるために49ers が1巡目の指名権を3つも手放したことを考えると、やはりQBという選択が妥当だろう。ピッツとキトルを組み合わせたシャナハンHCのオフェンスは相手ディフェンスにとって悪夢のようなものになったかもしれないが、長い目で見れば、この代価に見合う唯一のポジションはQBしかない。

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