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チームの決断にかかわることを望んだパッカーズQBロジャース

2021年07月29日(木) 14:16

グリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャース【AP Photo/Matt Ludtke】

クオーターバック(QB)アーロン・ロジャースは現地27日(火)にキャンプに集合することでグリーンベイ・パッカーズから距離を取っている状況を終わらせた。水曜日には長い記者会見が行われている。

多くの公人が語るべきことをいずれ出版する本や独占インタビューのためにとっておくものだが、ロジャースはトレーニングキャンプの最初の記者会見で何が自分の不満の種かを惜しむことなくぶちまけた。ロジャースは『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロが発した最初の質問に5分をかけて答え、グリーンベイでふさわしい対応を受けていなかったと考える多くのチームメイトの名を上げている。

最初に報じられた自分の不満について、ロジャースは「そこで起こっていたたくさんのことだったと思う。ドラフトの日のことじゃない」と語り出した。

「シーズンが終わった後の2月の会話から始まって、僕は自分の仕事に直接かかわる話にはもっと深くかかわりたいという自分の願いを表明しただけだった」

「それに、僕の見解としてチームが過去に犯したと思う過ちからこの組織が学ぶのを助けたかった。ここを去っていったベテランの何人かがどう扱われていたかや、僕たちの基礎の部分やロッカールームの核になる選手だと感じていたたくさんのプレーヤーを、僕たちが維持しなかったという事実についてね。人間として素晴らしい選手たち。チャールズ・ウッドソンやジョーディー・ネルソン、ジュリアス・ペッパーズ、クレイ・マシューズ、ランドール・コブ、ジェームス・ジョーンズ、ジョン・クーン、ブレット・グード、T.J.ラング、ブライアン・ブラガ、ケイシー・ヘイワード、マイカー・ハイド。僕たちにとってたぐいまれな選手たちで、ロッカールームでも最高の仲間であり、素晴らしい人間性の持ち主だったのに、彼らの多くが契約をまったく提示されなかったか、極端に低かったか、もしくは僕の意見としては彼らのステータスや名声、高い人間性にふさわしい敬意を払われていなかった。そして、2021年やそれ以降の契約の話に進んだけれど、それがどの段階でもまったく与えられなかった」

「だから、僕としてはこの状況を評価する必要があった。必ずしも死に体のクオーターバックになりたかったわけじゃない。分かると思うけど、MVPシーズンの後だからなおさらね。一方で、2月にはフリーエージェントに関する議論にかかわりたかった。それは僕のキャリアでこれまでなかったこと・・・。僕は情報を伝えようとした。実際には使われなかったみたいだけど。僕はリクルーター的な役割を申し出たかった」

「僕たち皆がグリーンベイはバケーションを満喫する場所じゃないって理解できると思う。皆はここに僕とプレーするために、僕たちのチームとプレーするためにやってくる。ここでならチャンピオンシップに勝てると分かっているんだ。こういう議論に僕がかかわってこなかったという事実をこの先に変えていきたかった。自分の過ごしてきた年月や、僕に今もできるプレーのことを踏まえて、そういうことが議論に含まれるのが当然であるべきだと感じている」

チームとの間にあるのは金額の問題ではなく、ロジャースをグリーンベイの未来における主要な存在としてチームが前に進んでいくかどうかだった。ロジャースは水曜日の会見でフィールド上でのチームの方向性にかかわったことはなく、意見を求められてもいないと明かし、2021年以降に自分がチームから必要とされているのかも定かではなかったと語っている。

ロジャースはパッカーズがグリーンベイでの自分の未来にゆっくりとドアを閉じようとしていると感じていたようだ。そして、自分の状況をコントロールしたいと思っていた。多くの愛するチームメイトたちが自分の状況を制御できず、本質的に置き去りにされるのを見てきただけに、その思いはなおさらだった。

ロジャース本人の言葉を借りれば「変化をもたらして前進したければ、前に踏み出し、やるんだ」ということだ。

「僕はオフシーズンプログラムやミニキャンプに行かなかった。僕にとって、それ以上に大きいことだった。僕は自分が大切にし、深く愛する組織のために、一つのリソースになろうと努力していた」とロジャースは説明している。

パッカーズは金額の上昇以上のものを含むオファーをロジャースに提示したが、本人が言うように、それを求めていたわけではない。パッカーズのグリーンは、ロジャースにとってドル紙幣のグリーン以上の意味を持っている。大事なのはロジャースのプロとしてのアイデンティティの本質の部分であるチームのケアだった。

「だから、金額が知らされたときにその背景にあったのは、シーズンが終わった後で、僕の方では延長についての話し合いがあるだろうと思っていたということだ。今季や来季の僕のキャップナンバーに基いてね。自分のプレーの仕方を踏まえれば、少なくともそれについての話し合いがあるのが当然のように思えた。だけど、議論はなかった。5月までなかった」

「僕からすれば、こんな例えなら皆に分かりやすいかもしれない。1年ファンタスティックな仕事をして、素晴らしいストーリーを描いた。それでボスのところに行って“信じられないシーズンをやりましたよ。昇給とか、何らかの保証にふさわしいと思うんですが”と言う。するとボスは“あー・・・まあ考えてみよう”と言うわけだ。2カ月がたって、別の仕事の機会がある。またボスのところに行ってこう言う。“こんな素晴らしい仕事のチャンスを手に入れました”。とたんに“ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ。われわれは君を愛している。どうしてもここにいてほしいんだ。われわれは本当に君を大事に思っている”って具合だ」

「お金の問題じゃないとは言ってきたし、それについては強調してきたつもりだ。夏の間は本当に何も変わらなかった。先週になってからはっきりとした進展があったけれど、夏の間は自分のことや自分のメンタルな部分に集中していた。いろいろなポイントで、自分がそもそもプレーし続けたいか、でも、炎はまだ燃えているかを確かめ、僕はこのフットボールチームにいたいと思った。ここ何日間かでいくつかのことを解決し、僕は今ここにいる」

オフシーズンの間に引退を考えることもあったと明かしたロジャース。記者会見の中で「ああ、確かにそれも考えた」と話している。

「フルタイマーであることがどんなに大事かは、長い間話してきたことだ。COVID(COVID-19/新型コロナウイルス感染症)やロックアウトとは関係なく、オフシーズンを離れて過ごしたのは初めてで、それを満喫した。本当にね。自分自身のことに時間をかけて取り組み、自分のパターンやコンディショニングを踏まえてもっと改善できると感じたいろいろなエリアで自分をより良くしようと努力した。かなり成長したよ。そのプロセスの中で、フィールド以外のことの中に喜びや幸せを見つけ続けた」

「だけど、自分の中に競争を求める大きな穴が開いていて、それを埋めなきゃならないんだ。ワークアウトに戻ったとき、まだプレーできるし、まだプレーしたいと実感した。まだチームに100%を捧げられるなら、そうしなきゃって」

ロジャースは2021年もプレーする。しかし、もし水曜日の記者会見から一つの啓示を得るとするならば、ロジャースとパッカーズマネジメント陣の間の亀裂はまだはっきりと存在するという点になるだろう。ロジャースは“ここで犠牲者になっているわけではまったくない”と強調しつつこう語った。

「それはとにかく強調したい。十分にたくさんの支払いを受けている」

ロジャースが望むのは金額ではなく、アクションの部分で自分にふさわしいと思う価値をチームから見いだされることだ。

高い期待と共に今季をスタートするパッカーズだが、ロジャースはそれが終わって以降のことについては「まったく分からない」とコメントしている。

「つまり、状況はその方向に進んでいるとは思う。まったく変わっていない。とにかく今年のことに集中するよ。自分以外にもたくさんのピースが動くから――契約が切れる選手がたくさんいる――、今年の最後にはキツイ決断がたくさんありそうだ」

「とにかく今年を楽しみ、シーズンの終わりにその議論を再開するつもりだ」

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