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トレード話など「超越」したイーグルスQBハーツ、仕事の獲得に集中

2021年07月30日(金) 01:03

フィラデルフィア・イーグルスのジェイレン・ハーツ【AP Photo/Rick Scuteri】

NFLでまだ1シーズンしか過ごしていないが、ジェイレン・ハーツは多くのことを見聞きしている。

今年のフィラデルフィア・イーグルスの先発クオーターバック(QB)はハーツだと予想される。昨年彼がバックアップを務めたQBカーソン・ウェンツはシーズンを通して低迷し、ハーツはやがて先発入りを果たすという嵐のようなルーキーイヤーを経験した。その先発起用を決めたヘッドコーチ(HC)もウェンツも、今はもうチームにいない。

これを見て、ハーツが荒海を乗り越えて順風満帆に進み出したと考える者もいるかもしれない。だが、それにはまだ早い。

新HCのニック・シリアニはまだそう明言してはいないが、ハーツはQB1としてこのトレーニングキャンプをスタートする。彼はオフェンスの全指揮権を引き受ける覚悟でフィラデルフィアに戻ってきた。ジャージーナンバーもオクラホマ大学の最終学年で使用していた、なじみのある1番に変わっている。

「彼は指揮権を手にするために、フィールド外と春の練習でできる全てのことをしてきた。われわれも彼にそうしてほしいと思っている」とイーグルスのジェネラルマネジャー(GM)ハウィー・ローズマンは『Philadelphia Inquirer(フィラデルフィア・インクワイヤラー)』に語った。「1年目から2年目への移行というのはどんな選手にとっても大きな年だ。われわれも彼の成長を目にし、チームとの働きを見るのを非常に楽しみにしている」

ハーツが絶え間ない努力でトレーニングキャンプに臨むのにはもう一つ理由がある。彼はまだ、自分が現実的なQBのソリューションであることを証明しなければならないのだ。まずは短期的展望から始める必要がある。もしイーグルスが今後、ドラフト指名権などを使ってセンター下のアップグレードを図ろうとするなら、その展望はぐらつくことになる。

たとえイーグルスがQBを変えないとしても、やはり、2021年とそれ以降もハーツこそが適任者なのだという証拠が必要だ。つまり、ハーツにとってはここが勝負どころだ。トレード話など振り払い、自分の未来を支配しなくてはいけない。

「うわさって? そんなのはいろいろある」とハーツは言う。「俺はそういうのを全て超越している。自分にできるものをコントロールするんだ。俺はここにいる。それが俺の仕事。フィールドに立ち、このチームのQBでいることさ」

9月にNFLのレギュラーシーズンが開幕する前に、ハーツには達成すべきことが山ほどある。そこにはシリアニのオフェンスを自分のものとして活用することが含まれている。彼は春の間に新HCのシステムを学ぶことができたが、プレーブックを知ることと、それをフルスピードで実行するのは別物だとフットボール選手なら誰でも知っている。

そうした努力が今週、イーグルスのトレーニングキャンプとともにスタートする。

「成功には日々の努力が必要だ」とハーツは述べた。「本当にそうなんだ。そういうつもりでやっている。俺みたいな人間は、フィールドに出る時はいつでもハイレベルでプレーする責任を負うべきだと思っている。俺以上に高い基準を掲げるやつは他にいない」

彼のナンバー変更は、最終学年でアラバマ大学からオクラホマに移った過去の記憶を呼び起こす。アラバマではよきチームメイトとして役目を果たし、年下のQBトゥア・タゴヴァイロアに仕事を取られても忍耐力を見せ、代役としてチャンスを得ると、SECチャンピオンシップゲームでクリムゾンタイドを逆転勝利へと導いた。

そして優雅におじぎをしてオクラホマへと移り、1番を付けてスターダムを取り戻すと、オクラホマ・スーナーズをカンファレンスタイトルとカレッジフットボール・プレーオフへと押し上げた。

その2年間でハーツは成熟ぶりを見せ、急な招集でも活躍できる準備能力を示した。運動能力にも優れていたハーツに目を留めたイーグルスは、2020年のドラフト2巡目で彼を指名した。

彼らはきっと、ハーツのポテンシャルを知っているのだろう。ならば、あとは彼がその正しさを彼らに証明すればいい。

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